オンナ好きのする香り。
これを纏っているとよく「すっごいいい匂い。何これ?」と聞かれる。
それもほぼ女性である。
イヴ・サンローランの「NU」(ニュ)という香りである。
微かに紫がかったグレイ・メタルなコンパクトをぱかっと開くと
漆のような黒。
切れ込みのところをプッシュするとブラウンがかった液体が
シュッと広がる。
(画像参照)
イメージディレクターはトム・フォード。
調香師はジャック・キャバリエ。
2001年発売。

ブラック・ペッパー、カルダモン、サンダルウッド、ムスク、オーキッド。
ピリッとしたドライでスパイシーな刺激の後に濃い白檀とクールな麝香、
密やかな蘭の花の香りが広がり、最後は滑らかな樹木と香のハーモニーに落ち着く。

女性にはハーバルなアロマに感じられるらしく、落ち着く匂いだねと表現する。
しかし、家族(二人とも男性)には
「またお香みたいな匂いつけてる。」とどちらかというと不評である。
一人は石鹸かシトラスっぽい香りが好き。
もう一人は甘いグルマン系が好き。
知り合いの男性に褒められたのもガーデニアやチュベローズの甘いフローラルだった。

どうやらスパイシーでオリエンタルな香りが好きなのは男性よりむしろ女性のようだ。

ちなみにこの「NU」
フランス語で「Nude」の意味だとか。
スキャンダラスなネーミングといいエロいパッケージといいトム・フォード好みだ(笑)
確かにトップは刺激的だが、ミドル以降は肌に馴染んでとても柔らかく香る。
官能的、といってもいいような香り方である。

(人間は自分にたりないものを求めるのかもしれない・・・)

そうそう。
この香り官能的ではありますがベタベタした甘さはなくミステリアスな感じもあり。
男性用/女性用のボーダーラインの曖昧な香りでもある。
なので、男性でも十分イケると思う。
スタイリッシュで細身のスーツを着こなした色男に、ふんわりと漂わせていただきたい。

だって『オンナ好きのする香り』だから。

コメント

nophoto
茉莉花
2015年6月5日23:00

初めまして(^^)
イヴ・サンローランのNUは、復刻版『ラ・コレクション』で所有しています(^^)
イヴ・サンローランの香水は、オピウムとこのNUの二本(^^)
スパイシーな香りは何方も共通していますが、趣きが違いますね。
オピウムは、『阿片』と名の付く通り、狂気を帯びた香り。
一方、NUは、『裸』を意味するだけあって、艶かしく、淫靡な香り。
私的にはオピウムの狂気染みた香りが好きですが、NUの持つ、妖しい雰囲気も好きです(^^)
NUを始め、中性的な香りは、トランスジェンダーの方ならしっくりと来る香りだと思います(^^)
トランスジェンダーの方々は、男性的な部分も女性的な部分も両方持ち合わせてますので。
かく言う私もトランスジェンダーの一人ですが。

HT
2015年6月5日23:40

茉莉花様、初めまして。

オピウム。
あの苦いような秘薬っぽい感じを狂気と表現されるなんて、素敵です。
ちょっと秘密めいた趣があって、西欧から見たオリエンタルのイメージでしょうか。
イヴ・サンローランとトム・フォード。
彼らがゲイであることと、二つの香りの深く際立った官能的な感じは無縁ではないと思っているんですけれど、どうでしょう。
おっしゃる通り、男でもあり女でもある、両性具有的な顔を持つ香りですよね。

nophoto
茉莉花
2015年6月6日2:49

ゲイと美は切っても切れない関係ですね。
普通の男性には無い、女性的な目線を兼ね備えているからこそなんだと思います(^^)
危険なネーミングの香水には、クリスチャン・ディオールの『プワゾン』もありますが、オピウムは、そのプワゾンよりも遥かに上を行ってます。
オピウムには、曰く付きのエピソードがあったそうで、発表当初は、中国から猛烈な抗議があったり、『反社会的だ』として政府から販売中止命令が出たそう。
そんなエピソードを背負った香水は、暗闇を伴った狂気と毒気を纏っています。
イヴ・サンローラン自身も、周囲の期待に対するプレッシャーで麻薬に手を染めて居たそうなので、余計にその雰囲気を助長させます。
ある意味この香水は、彼の人生そのものを表した作品と言えると思います。
これだけ強い個性を持った香水は彼だからこそなのかもしれません。

HT
2015年6月7日0:08

茉莉花様、こんばんは。
プワゾン、好きな香りです。月下香の甘さとアンバー、熟したフルーツ。
確かにオピウムのほうがより手強い香りかもしれないですね。
あのボトルも薬を入れる容器から発想したものだとか。
麻薬の名前を香水に、というのも大胆な発想ですが、昨年見たサンローランの映画を思い出しました。
モロッコで麻薬と怠惰に塗れた退廃的な姿がオピウムのエピソードに重なって…
茉莉花様のおっしゃるように、彼の人生を象徴しているのかもしれませんね。