イントゥ・ザ・ワイルド
2010年7月11日 映画 コメント (4)
いい映画でした。
主人公がどういう最期を遂げるのか分った上での物語なので、
絶対ハッピー・エンドではないと思っていたのですが。
でもこれは、ある種のハッピー・エンド、なのかも知れない。
主人公のクリスは大学を優秀な成績で卒業。
両親は事業で成功し、外見的には何一つ不自由の無い暮らし。
しかし、幼い頃からの両親の不仲によって、ある種の人間不信に陥っている。
・・・とここまではわりとオーソドックスな設定なのですけど。
人間とその社会に不信感を抱いた彼は、究極の<真実の暮らし>を求めて
広大なアメリカ大陸を北へ南へヒッチハイクしながら彷徨う。
まずこの、アメリカの広大さ・・・そして自然の荒々しい美しさがあったからこそ
成立する物語なんですよね。
その意味では、アメリカ伝統の(笑)ロード・ムービーの体裁を取ってるわけですが。
彼が出会う人々。
ヒッピーのカップル、反骨精神旺盛な農場経営者、元軍人の孤独な老人。
それらの人たちのつかの間の交流を経て、彼は最後の冒険というか修行の仕上げとして
アラスカの大地でたった一人、狩と採集の生活へ挑む。
それは究極の自由であり、無限の<自問自答の時間>。
はからずもヒッピーの男が指摘したように、彼はまるで、若きジーザスのように
真実を求め、自分の強さを試すために一人荒野で暮らす。
物語は荒野に捨てられたバスをベースとして一人で暮らすリアルタイムの彼と、
彷徨の過程で知り合った多くの人々との記憶とが交錯する形で進行します。
自分の生きる意味、人間とその社会が存在する意味を探ろうとする彼。
思春期特有の潔癖さと熱情。
高い知性を備えながら、どうしても自分が世界に属しているという感覚を
得ることのできない青年の、
精神の繊細さと鋭さを、ショーン・ペンは丁寧に掬い取っていて、
ラストはとても悲しいのですが、見終わったあとなにか、
胸の奥に暖かいものがこみ上げてきました。
主人公の青年の感じる疎外感・違和感はたぶん、
ショーン自身のものでもあるんでしょうね・・・。
インディアン・ランナーもそうであったように、
疎外されたものへ注がれる彼の視線は限りなく優しい。
*************************************
余計な追記)
さて。
見始めてしばらくから、主人公の青年がShitaoに見えてきちゃって・・・。
世界有数の財閥の一人息子という立場を捨てて、
おそらくはアジアの貧しい地域を放浪した彼。
その彼が、最期に行き着いたのはミンダナオ島の貧しい村だったわけですが・・・。
この映画の主人公:クリスとShitaoが放浪の旅を選んだ心情は、
とてもよく似てる気がしました。
こういう見方はずいぶん邪だとわかってはいるのですが。
興味のある方は、是非ご覧ください。
すっごく・・・優しい映画です。
主人公がどういう最期を遂げるのか分った上での物語なので、
絶対ハッピー・エンドではないと思っていたのですが。
でもこれは、ある種のハッピー・エンド、なのかも知れない。
主人公のクリスは大学を優秀な成績で卒業。
両親は事業で成功し、外見的には何一つ不自由の無い暮らし。
しかし、幼い頃からの両親の不仲によって、ある種の人間不信に陥っている。
・・・とここまではわりとオーソドックスな設定なのですけど。
人間とその社会に不信感を抱いた彼は、究極の<真実の暮らし>を求めて
広大なアメリカ大陸を北へ南へヒッチハイクしながら彷徨う。
まずこの、アメリカの広大さ・・・そして自然の荒々しい美しさがあったからこそ
成立する物語なんですよね。
その意味では、アメリカ伝統の(笑)ロード・ムービーの体裁を取ってるわけですが。
彼が出会う人々。
ヒッピーのカップル、反骨精神旺盛な農場経営者、元軍人の孤独な老人。
それらの人たちのつかの間の交流を経て、彼は最後の冒険というか修行の仕上げとして
アラスカの大地でたった一人、狩と採集の生活へ挑む。
それは究極の自由であり、無限の<自問自答の時間>。
はからずもヒッピーの男が指摘したように、彼はまるで、若きジーザスのように
真実を求め、自分の強さを試すために一人荒野で暮らす。
物語は荒野に捨てられたバスをベースとして一人で暮らすリアルタイムの彼と、
彷徨の過程で知り合った多くの人々との記憶とが交錯する形で進行します。
自分の生きる意味、人間とその社会が存在する意味を探ろうとする彼。
思春期特有の潔癖さと熱情。
高い知性を備えながら、どうしても自分が世界に属しているという感覚を
得ることのできない青年の、
精神の繊細さと鋭さを、ショーン・ペンは丁寧に掬い取っていて、
ラストはとても悲しいのですが、見終わったあとなにか、
胸の奥に暖かいものがこみ上げてきました。
主人公の青年の感じる疎外感・違和感はたぶん、
ショーン自身のものでもあるんでしょうね・・・。
インディアン・ランナーもそうであったように、
疎外されたものへ注がれる彼の視線は限りなく優しい。
*************************************
余計な追記)
さて。
見始めてしばらくから、主人公の青年がShitaoに見えてきちゃって・・・。
世界有数の財閥の一人息子という立場を捨てて、
おそらくはアジアの貧しい地域を放浪した彼。
その彼が、最期に行き着いたのはミンダナオ島の貧しい村だったわけですが・・・。
この映画の主人公:クリスとShitaoが放浪の旅を選んだ心情は、
とてもよく似てる気がしました。
こういう見方はずいぶん邪だとわかってはいるのですが。
興味のある方は、是非ご覧ください。
すっごく・・・優しい映画です。
コメント
私も、Shitaoとクリスは似ている、と思いました。
音楽も、Explosion in the skyっぽい曲がありませんでした?
ICWRがShitao中心で造られていたら、どういう作品になっていたでしょうかね。
この作品は、私には、心臓がぎゅーーーーーっと締め付けられる映画でした。
思い出すだけでも、目にじわーーとしたものが吹き上がってくるし。(苦笑)
クリス役のエミール・ハーシュは、同じくショーン・ペンの「ミルク」にも出演していますね。
まるで少女のように感じやすく傷つきやすい青年の役でした。・・・・
やっぱり・・・同じ感想を持たれましたか・・・。
管理人さんが心臓を締め付けられた感じ、ってわかりますよ。
どーしてもああいう青年には感情移入しちゃってね、冷静には見れない部分があるのかな。
Explosion in the skyに、確かに似てる!
基本がフォークなんですよね。
ギターの音がとても透明で繊細で、それがあの青い空の色そのもののイメージで、同時にクリスの心情そのものを象徴してる感じで。
音楽といえば。
ブロークバック・マウンテンは見ましたか?
あの作品も音楽のセンス的に近いなぁ・・・と思ってたらICWRと同じグスターボ・サンタオラヤなんですね~(笑)
そうそう、エミール・ハーシュはミルクに出演してましたね。
その時は気付かなかったけれど、この作品の彼、ディカプーに似てませんか?
すっごく繊細な演技をする俳優さんで、好きだなぁ。
ICWRがShitao中心で撮られていたらもっとこの作品に似てたと思います。
ショーンもトラン監督も、<疎外された人々>を描くことに固執してる方々だから、根底に流れるものが似ている。
なので、撮った作品はとってもシビアで痛々しく、ある意味残酷なんですけど、
ものすごく優しくて、だからいつまでも忘れられないんじゃないでしょうか。
ブロークバックマウンテン、観ましたよん。
音楽は、はっきりとした音の印象はあまりないんですが、透明感のある物悲しい心象を受けたことはよく覚えています。
サンタオラヤ・・・・・なんか南西部に多そうな名字ですね。
あの作品は、ヒース・レジャーはもちろん良かったんですけど、相手役のジェイク・グレンホールがすごく好きで。
ジェイクの、あの憂いを帯びたような大きな黒い瞳が、いつまでの頭の片隅に残って忘れられません。
>その時は気付かなかったけれど、この作品の彼、ディカプーに似てませんか?
ロミオとかタイタニックの頃のディカプーですかね?
たしかに、その当時はエミール・ハーシュと顔形は似ていたかも知れませんね。
輪郭とか、眉の形や目元の辺りとか・・・・・。
最近のディカは、髭生やした渋いイタリアンおやじ系を目指してるらしく、かなりタフガイ・マッチョな役が多いんですよ。
身長もかなりある方なので、だいぶエミールとは違う印象です。
川と緑に包まれたあの空間だったからこそ、男二人のラブ・ストーリーに説得力があったんだと思います。
最後があまりにも悲しいけど・・・あの悲しい現実がミルクにつながっていったときに
ゲイ解放運動が大きなうねりになったのかもしれませんけど・・・。
ジェイクといえば。
マイ・ブラザーって面白そうですよね!
今見たい映画が二本あって、マイ・ブラザーとガールフレンド・エクスペリエンスなんです~。
しかしなかなか行けない・・・・。
>サンタオラヤ・・・・・なんか南西部に多そうな名字ですね。
そうなんですか?
なんとなくメキシコの人かなとか勝手に思ってたのです。
不思議な響きの名前だ。
>ロミオとかタイタニックの頃のディカプーですかね?
はい。私の中ではどーしてもその頃のイメージが強くて。
一番カワイイ☆と思ったのはギルバート・グレイプなんですけど。
最近はイタリアン系(チョイワル?)オヤジを目指してるんですかぁ?
そういえば・・・インセプションの予告の彼は結構ゴッツイもんなぁ;