過去のトラウマから男性と親密な関係を築けない40代の女。
売り出し中のモデルで男娼を副業とする22歳の男。
重病の父を見舞うため5年ぶりに故郷のブエノスアイレスに戻った女は、
男娼を雇い「エロティックな小説を読む声をドア越しに聞く」
ことで自分を慰める。
<親子ほども>年の離れた二人が、いつしか抜き差しならぬ関係に堕ちていく。

・・・さらっと書くと昼メロみたいな筋書きですが、主演の二人がそうさせない。
まだ色香の残る体を、硬い鎧に閉じ込めて朽ち果てるのをひたすら待つ女が、
天使のように無邪気な美青年の、最初は声に、次はその姿に、最後にその情熱に、
一枚ずつ鎧を脱がされ、仮面を剥ぎ取られ、剥き出しの女になっていく過程が
とってもスリリング。
なぜ女は頑なに男の想いを拒絶するのか?
男はなぜ、そこまで一途に女を想うのか?
最後の最後にその理由(らしきもの)が衝撃的な形で明らかになる。

微妙なところでありえるようなありえないような設定をリアルに見せるのは
やはり演技者の力量と魅力、これに尽きるなぁと実感。
女・カルメンを演じたセシリア・ロスという女優さん、凄い・・・・。
きわどい自慰のシーンもあるんですが、臆せずしかもいやらしくなく、
カルメンの身体の中にどうしようもなく湧き上がってくる欲望の激しさを
ストレートに演じていた。
無邪気で可愛い青年に一途に想われることへの戸惑いと悦びも。
男・グスタボはひたすら純真で一途。
やっぱアレですよ・・・こういう役柄で大事なのは、
もちろんビジュアルの美しさも大事だが、
笑顔がくしゃっと可愛いことと、仕草が色っぽいこと。
いかにも、なセクシーでなく、ナチュラルなんだけど指の先まで神経が行き届いて
杜撰さの欠片もなし。
画面が暗いのと、登場人物の数が少なく、バストアップのカットが多いのですが、
なんとなく舞台のお芝居を見ているような演出でございます。
きっと面白いお芝居になるに違いない。
・・・まぁ自慰シーンあるから公衆の面前で女優さんちょっとキツいか(´д`;)

もうひとつ。
このお話には実は、1976年アルゼンチンで起きた軍部のクーデター事件が
深く関わっているのです。
この辺の背景を知っているとより一層感慨が深くなってよろしいかと。

うーーーーむ。
ガエル・ガルシアますます可愛いわ☆←そこかよ!

やはり俳優は男女問わずに色気が大事ですな!
姿形が綺麗な人はそれこそたくさんいらっしゃるけれど、
たくさんの人を惹きつける色気のある人ってやっぱりそうそういるもんじゃないよね・・・。

ブエノスアイレスといえば!
ウォン・カーウァイ監督作品ですねぇ。
実は未見なのですよ。
次はコレを見ようかと思っております。ブエノスアイレス繋がりでw
あ・・・2046のTAKも見たくなってきた(笑)

コメント

nophoto
takの木管理人
2010年9月9日21:09

おばんどす。
ワタクシ、この映画未見なんです。
だっていつ見ればいいのか分からなくて。・・・・一人で夜中にこっそり見るのなんつーか居心地悪いし。(笑)
ガエルの出世作?らしいので、見たい見たいとは思っているのですが。
HT様絶賛ですのね。見なければ。

セシリア・ロスさん、大好きです。
アルモドバル映画の常連さんでもありますね。「オール・アバウト・マイ・マザー」の彼女もすばらしいです。
ペネロペ・クルスも出ているんですが、この頃のぺネロぺの美貌は、本当に天使のような可憐さと透明感ですね。
セシリアさんは、良い具合に枯れているというか・・・・・枯れているんだけど、女性としての美しさはちゃんとある感じ。
さっぱりしてるのに、艶もある。不思議な慕わしさのある人だなー・・・・と。
若い頃は逆にクドいぐらいの女くささがある人だったのが、良い具合にあぶらが落ちたって感じかも、なんて勝手に考えたりしています。

ガエルはーーーーーー!ガエルたまらんっすよね。
にこっとされるとくらっとくる、あの吸引力、キュートさ色気は一体なんなんでしょうね。
「ラテンのブラピ」などと呼ばれていた頃もあったらしいのですが、たしかに、「テルマ&ルイーズ」の頃のブラピと、少し雰囲気が似ているかも。
次は「アマロ神父の罪」、ぜひぜひ見てください。
天使のガエルの悪魔な側面に、一層くらくらするかもです。

HT
2010年9月9日23:28

こんばんは~。

この映画はとりあえず一人で見たほうがいいでしょー。
ただ、コレは女優さんの力量とか個性なんだろうけど、ポルノっぽくはないです。
グスタボの読む小説は完~全~にっ!ポルノですが(笑)彼の声色はまったく
ポルノではないです。
でも誰かと見るときっと、その人の目線が気になる類の作品かな(;´∀`)
セシリアさんはね~、ちょっとだけ昔のジャンヌ・モローを思い出したのだす。
ガエルの出世作とは知りませんでした!
笑うとほんとに無邪気な感じ。ラテンのブラピ(笑)なぁるほど。
なかなか可愛いお尻ですたw
たしかにそこもブラピかも(え?)

ただ作品の背景はすごく重たい。
何となく途中で展開が読めちゃうんですけどね、それでも重いな~。
しかし最後の最後の、カルメンの一言がね・・・。
ネタバレになるのでいえませんが、そのときのグスタボの反応がいいんですよ。
演技の上手い下手は私にはよくわからないのですけど、うん、好きでした。

あのね、「アマロ神父の罪」近所のTSUTAYAにはなかったよ(つД`)・゜・
いっそヤフオクで買うか?と迷ってます・・・。

nophoto
takの木管理人
2010年9月10日8:26

おはようございます。

>ただ作品の背景はすごく重たい。
>何となく途中で展開が読めちゃうんですけどね、それでも重いな〜。

あちらの映画って、めっちゃ重いこと多いですよね。
「バッド〜」も結構、重くありませんでした?
でも、なんか、独特の爽快感もあったりする・・・・不思議なテイストですね。
ちなみに「アマロ〜」もすごーーーーーーーーく重いです。

>ネタバレになるのでいえませんが、そのときのグスタボの反応がいいんですよ。
>演技の上手い下手は私にはよくわからないのですけど、うん、好きでした。

ガエルの仕事っぷりに関しては、何の心配もしておりませんー。
どんな表情を見せてくれるのか、すごく楽しみです

>あのね、「アマロ神父の罪」近所のTSUTAYAにはなかったよ(つД`)・゜・
>いっそヤフオクで買うか?と迷ってます・・・。

ずみまぜん・・・・マイナー作品推しで。
買うのはー・・・・・だって、重いっすよ?(苦笑)

ウォン監督の「ブエノスアイレス」は観てます・・・・これも重くて妙味があるタイプかなと思いました。
ゲイリー・オールドマンの「プリックアップ」という作品に、ちょっと似てるかな・・・・。
トニー・レオンですが、今は亡き、レスリー・チャンも出てますね。
レスリーの「覇王別姫」はご覧になったことはありますでしょうか?
これもかなりの傑作かな、と思います。

HT
2010年9月10日16:27

こんにちは。

>「バッド」も結構、重くありませんでした?
>でも、なんか、独特の爽快感もあったりする・・・・不思議なテイストですね。

あー、ほんとに重かったですネ(´д`;)
あの、でも、なんていうのかな~・・・絶望的な重さの物語というのは逆に
じめじめはしない気もします。
じめじめするのは、まだ「もがけばなんとかなるかもしれない。」と思うからで。
それと、ラテン人気質というのが確実にあるんじゃないかな。

>「アマロ神父」

重いのはヘーキなんですよー。
ブラック・ダリアも買おうかと思ってるくらいなのです実は。
カーウァイの「ブエノスアイレス」は絶対見ます。
カーウァイの映像が好きなんですよね~・・・美意識というか・・・。
ストーリー・テラーの才能は正直・・・・だけど(笑)雰囲気で見せてしまう。
あと、役者さんのチョイスが実に上手いなぁ。
またとても綺麗に撮るんですよね~。ちょっとフェティッシュな撮り方だけどもw
そうそう、「覇王別姫」も興味あったんですよ~。これも見よう。
子供が小さいときは映画館いくヒマもなく。
しばらくブランクあるんですよ。それを埋めていこうと思ってます(笑)