真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD]
2011年4月13日 映画 コメント (2)
とても綺麗な映画でした。
「光の魔術師」と呼ばれた17世紀の画家:フェルメールの作品
「真珠の耳飾の少女」をテーマに制作されただけあって、
映像特に光や色彩の繊細さが素晴らしく、
音楽も全体の雰囲気を邪魔しないよう
控えめに効果的に使われていました。
フェルメールの家に召使としてやってきた少女・グリート。
今も昔もアートで生活していくのは難しく、並外れた表現力を持った画家でさえ、
金持ちの家の婿養子となり、パトロンの肖像画を描いて収入を得ていました。
締まりやの義母、嫉妬深く芸術を理解できない妻、捻くれた娘たち。
そんな日常に突然現れた、瑞々しい透明感のある若い娘。
彼女は鋭い芸術的センスと繊細さを備えてもいました。
象徴的なシーン。
アトリエを掃除するよう画家の妻に命じられたグリートは描きかけの作品を目にします。
その色、構図。
光と影が作り出す空気感こそが作品の深みを生み出すことを見抜いた彼女は、
アトリエの窓を拭くよう命じる妻にこう訊ねます。
「光が変わってしまいますが?」
しかしその意図は妻に伝わらず、彼女は仕方なく窓を拭きます。
グリートを演じるスカーレット・ヨハンソン。
ミルク色の肌、グレーっぽい透明な瞳、ぷっくり膨らんだきれいなピンク色の唇。
灰色やこげ茶色の地味なロングスカートにエプロン、ドレープの入ったブラウス。
ぱりっとした真っ白い布のオランダ風の頭巾を被って肌と髪を覆い隠したスタイルが
少女の頑なな清らかさを暗示し、それが逆に布地の下の肌や髪の色・手触りを想像させる。
逆説的エロティシズム。
すこし出っ歯気味なせいかいつも唇が軽く開いていて、なんともセクシー。
またヨハンソンが上手いんですよ。目と指先の表情が雄弁に語りかける。
・・・これはフェルメールじゃなくても誘惑されると思うよ(笑)
フェルメールを演じるのはコリン・ファース。
肩の長さのロン毛に無精髭、奥さんと義母に頭が上がらない男の、
鬱屈した思いが見て取れる瞳。
いかにも繊細そうな細長い指。
そしていつも思うのですが、声がめちゃくちゃ男前なんです。
こんな色っぽいおっさんに優しくされたら、娘さんはコロっといっちゃうでしょう!
彼の妻は美しくもなく芸術への造詣もなく、夫が優しいのはお金のためだと百も承知。
いつもイライラ欲求不満気味なのも致し方ない感じ。
パトロンに依頼された家族画そっちのけで、グリートをモデルに描きはじめるフェルメール。
ここでも彼の完璧主義は遺憾なく発揮されます。
自分のイマジネーションに導かれるまま、嫌がる少女を強引に説きふせ、
耳に穴をあけ、妻のものである大粒の真珠のピアスをつける画家。
「目を閉じて身を固くした少女の白い耳朶に、男の手で容赦なく針が突き立てられ、鮮やかな赤い血が一滴、その指を濡らした。」
敢て言葉で書くとこんな感じ。
なんと官能的かつ美しい行為でありましょうか。
白い被り物を外し、ターコイズとイエローのサテンのスカーフを頭に巻き、
画家自らの指で<妻の持ち物>である真珠のピアスで飾られた少女。
清楚の象徴のような白から、エキゾティックで奔放な色彩へ。
暗い部屋をバックに、自然光でくっきり浮き上がったグリートの顔。
今まさにフェルメールの視線で、少女の肌の滑らかさ・その色、瞳の輝き、
唇の艶やかさをつぶさにを眺めているのだ、と錯覚させるカメラ・ワーク。
グリートの表情に浮かんだ複雑な色。
不安と期待と緊張と、肌の奥からほんのり透けて見える誘惑の気配。
色をのせ、質感と明るさを調整し、まるで<触れている>ように感触をも写し取る。
自らの<ある瞬間>を切り取った作品を見ながら彼女は画家に呟く。
「心までうつしとるの?」
思わず少女を見つめるフェルメール。
それはまさに、画家が生涯追い求めた主題の一つであったはず。
彼女の鋭い感受性に、画家もまた心惹かれていく。
しかし二人の仲を疑った妻は逆上。
グリートはあっけなく屋敷から追い出されてしまったのでした。
フェルメールとグリート。
二人の間に肉体的関係は一切ありませんでした。
でも<美しいものへの愛>を共有する二人は、一種の共犯関係にある。
二人は美を通じてある時間魂を共有しあったともいえるかもしれません。
とすると、「真珠の耳飾の少女」はフェルメールが一人の少女に捧げた、
人生最上の愛の証だったのかも・・・。
女性たちのファッションも興味深くて魅力的でした。
フェルメールの妻や義母、その娘たちは豪奢なサテンやベルベット、宝石で着飾りましたが、
私が一番心惹かれたのはグリートの簡素なスモック風ブラウスです。
たっぷりギャザーの入ったシンプルな生成り色のそれは、ARTS&SCIENCEのアンティーク風ブラウスみたいでした。
その上にチャコールグレイのロングスカートとエプロン、ブラウンのビスチェ風ベストを重ねた着方がすっごく可愛い。
なーんとなく久々にギャザースカートをはきたくなってしまいました。
「光の魔術師」と呼ばれた17世紀の画家:フェルメールの作品
「真珠の耳飾の少女」をテーマに制作されただけあって、
映像特に光や色彩の繊細さが素晴らしく、
音楽も全体の雰囲気を邪魔しないよう
控えめに効果的に使われていました。
フェルメールの家に召使としてやってきた少女・グリート。
今も昔もアートで生活していくのは難しく、並外れた表現力を持った画家でさえ、
金持ちの家の婿養子となり、パトロンの肖像画を描いて収入を得ていました。
締まりやの義母、嫉妬深く芸術を理解できない妻、捻くれた娘たち。
そんな日常に突然現れた、瑞々しい透明感のある若い娘。
彼女は鋭い芸術的センスと繊細さを備えてもいました。
象徴的なシーン。
アトリエを掃除するよう画家の妻に命じられたグリートは描きかけの作品を目にします。
その色、構図。
光と影が作り出す空気感こそが作品の深みを生み出すことを見抜いた彼女は、
アトリエの窓を拭くよう命じる妻にこう訊ねます。
「光が変わってしまいますが?」
しかしその意図は妻に伝わらず、彼女は仕方なく窓を拭きます。
グリートを演じるスカーレット・ヨハンソン。
ミルク色の肌、グレーっぽい透明な瞳、ぷっくり膨らんだきれいなピンク色の唇。
灰色やこげ茶色の地味なロングスカートにエプロン、ドレープの入ったブラウス。
ぱりっとした真っ白い布のオランダ風の頭巾を被って肌と髪を覆い隠したスタイルが
少女の頑なな清らかさを暗示し、それが逆に布地の下の肌や髪の色・手触りを想像させる。
逆説的エロティシズム。
すこし出っ歯気味なせいかいつも唇が軽く開いていて、なんともセクシー。
またヨハンソンが上手いんですよ。目と指先の表情が雄弁に語りかける。
・・・これはフェルメールじゃなくても誘惑されると思うよ(笑)
フェルメールを演じるのはコリン・ファース。
肩の長さのロン毛に無精髭、奥さんと義母に頭が上がらない男の、
鬱屈した思いが見て取れる瞳。
いかにも繊細そうな細長い指。
そしていつも思うのですが、声がめちゃくちゃ男前なんです。
こんな色っぽいおっさんに優しくされたら、娘さんはコロっといっちゃうでしょう!
彼の妻は美しくもなく芸術への造詣もなく、夫が優しいのはお金のためだと百も承知。
いつもイライラ欲求不満気味なのも致し方ない感じ。
パトロンに依頼された家族画そっちのけで、グリートをモデルに描きはじめるフェルメール。
ここでも彼の完璧主義は遺憾なく発揮されます。
自分のイマジネーションに導かれるまま、嫌がる少女を強引に説きふせ、
耳に穴をあけ、妻のものである大粒の真珠のピアスをつける画家。
「目を閉じて身を固くした少女の白い耳朶に、男の手で容赦なく針が突き立てられ、鮮やかな赤い血が一滴、その指を濡らした。」
敢て言葉で書くとこんな感じ。
なんと官能的かつ美しい行為でありましょうか。
白い被り物を外し、ターコイズとイエローのサテンのスカーフを頭に巻き、
画家自らの指で<妻の持ち物>である真珠のピアスで飾られた少女。
清楚の象徴のような白から、エキゾティックで奔放な色彩へ。
暗い部屋をバックに、自然光でくっきり浮き上がったグリートの顔。
今まさにフェルメールの視線で、少女の肌の滑らかさ・その色、瞳の輝き、
唇の艶やかさをつぶさにを眺めているのだ、と錯覚させるカメラ・ワーク。
グリートの表情に浮かんだ複雑な色。
不安と期待と緊張と、肌の奥からほんのり透けて見える誘惑の気配。
色をのせ、質感と明るさを調整し、まるで<触れている>ように感触をも写し取る。
自らの<ある瞬間>を切り取った作品を見ながら彼女は画家に呟く。
「心までうつしとるの?」
思わず少女を見つめるフェルメール。
それはまさに、画家が生涯追い求めた主題の一つであったはず。
彼女の鋭い感受性に、画家もまた心惹かれていく。
しかし二人の仲を疑った妻は逆上。
グリートはあっけなく屋敷から追い出されてしまったのでした。
フェルメールとグリート。
二人の間に肉体的関係は一切ありませんでした。
でも<美しいものへの愛>を共有する二人は、一種の共犯関係にある。
二人は美を通じてある時間魂を共有しあったともいえるかもしれません。
とすると、「真珠の耳飾の少女」はフェルメールが一人の少女に捧げた、
人生最上の愛の証だったのかも・・・。
女性たちのファッションも興味深くて魅力的でした。
フェルメールの妻や義母、その娘たちは豪奢なサテンやベルベット、宝石で着飾りましたが、
私が一番心惹かれたのはグリートの簡素なスモック風ブラウスです。
たっぷりギャザーの入ったシンプルな生成り色のそれは、ARTS&SCIENCEのアンティーク風ブラウスみたいでした。
その上にチャコールグレイのロングスカートとエプロン、ブラウンのビスチェ風ベストを重ねた着方がすっごく可愛い。
なーんとなく久々にギャザースカートをはきたくなってしまいました。
コメント
これ、前にNHKBSで深夜にやってて、途中から観たんですよ・・・んでその後レンタルさがしたんですけど・・やっぱりなくて・・orz うらやましおす。
少女役の子。まるで絵から飛び出たようにそっくりで・・逆にそれがちょっと怖いな、と私は思いました^^;
最後が好きです。
「目を閉じて身を固くした~」
うまいですなぁ~姉上!!!
映画マニアの姉上にこんな私がお勧めをするのは非常に恐縮なんですが、同じ「巨匠の絵画」をテーマにした映画で・・・「レンブラントの夜警」、観た事ありますか?
内容的には面白いとは言えないかもしれないですが、カメラの構図が面白いです。
少女役=スカーレット・ヨハンソンは立派に(?)成長していまやセクシー系グラマラス美女ですよw
アイアンマン2に出演してます。
「ブラックダリア」ではジョシュ・ハートネットと共演してました。
ソッチのイメージが強かったので、この作品を見てちょっと衝撃的だったかなー・・・。
ほんっとに似てるよね~。
あまりにも似てるので<彼女をモデルに>描いたような錯覚に陥ってしまうほど。
最後、きれいに纏めたな、と思いました。
「レンブラントの夜警」見たことないです。
そっかー。レンブラントも光と闇を操る画家だよね。うん、見てみるよ。
>映画マニアの姉上
いやそれは間違いだな。
映画マニアじゃなくてエロっぽい映像マニアだな。(注:エロ映画マニアではない)