陶器には全く詳しくないけど、ご飯のお茶碗は粉引きが一番好きです。
布でいうと晒した木綿のような手触りでなんとなく温かみがあって、
あの質感と口をつけたときの感触が
炊きたてご飯のぴかぴかしたお米の色や甘い香り、
味わいにぴったりくるからです。
古い染付けの青も好きだなぁ。
藍染めの布と同じ薄い青から黒に近い群青まで、
人の手の温もりを感じます。

このku:nelにもそんな素敵な器がたくさん。
ソニア・パークさんや伊藤まさこさんの器も紹介されていて、
ああ、人となりがわかるなぁ、と。

しかし。

実は一番大事なページはそこではないのであった。

最後の方にひっそりと掲載されている、ルーシー・リーさんの陶器のボタン。
ルーシー・リーさんの陶器は有名だと思いますが、
一時期彼女が<生活のために>作っていた
様々な色合い・形のボタンがぎっしり。
丸いの・四角いの・リボンを結んだ形、お皿みたいな平べったいのや豆みたいな形や・・・
ずらっと並んだボタンたちは、同じようなデザインでも焼き具合によって
ほんの少しずつ微妙に違っていたりする。
もともと小さくてきれいなものがずらっと並んだのを見るのが好きなので、
眺めてるだけで幸せになります。

特に私が心引かれたのはターコイズのような鮮やかなブルー。
丸めた粘土をぺたっと平べったくしたような少し歪な楕円に、
南国の空のような青が乗っかっている。
表面が溶けてガラス化したかのような質感は、七宝焼きっぽくもあります。
じーっと見ていると吸い込まれそうな色。
見飽きません。

それより後ろのページにある、真っ白なボタンのシリーズもとても美しい。
これは、三宅一生氏のコレクションの為に制作されたそうです。
整った円形の、平べったいお皿の形。
端の所に絶妙のバランスで開けられた小さな穴。
無駄を削ぎおとしたミニマルな表現。
モダン・アートのようなデザイン。

前者のボタンと後者のボタンの制作まで、数十年の月日が流れていたそうです。

ルーシー・リーさんが晩年に辿りついた、美しいものの形を象徴しているような気がしました。

コメント

MAYUKO
2011年5月16日2:00

HT様 こんばんは

私もけっこう器…好きです(笑)
HT様は和食器お好きなんですね…私の場合はもっぱら洋物ばかりで…
陶器よりも磁器が好きなんですが…

でも、やはり和食には…和食器が一番だと思います。
粉引きの温かい白…白は一番料理を美味しく見せてくれるし…素敵ですね…。


ルーシー・リーはイギリス出身の作家ですよね…
でもテイストが英国的ではないところが良いな~って思います(笑)
彼女の作るものは陶器(土)ではありますが
けして泥臭くないところが魅力ですね。


HT
2011年5月16日20:20

MAYUKOさまこんばんは!

MAYUKOさまはウェッジウッドがお好きなんですよね?
私は全く詳しくなくて、単純に見てると面白いなぁ~とか、
この器にこういう料理だとおいしそうだなぁ~とか、そんな程度です(;´∀`)
食器はその国の風土や人々の食生活と深い関りがあるので、和食は和食器。
そして紅茶は磁器の繊細な口当たりや肌理と相性抜群なのかもしれません。

>彼女の作るものは陶器(土)ではありますが
>けして泥臭くないところが魅力ですね。

本当にそうです!
どこか日本の民芸に通じる<使う道具としての美>を感じるけれど、
フォルムも色もシンプルでどこか未来的なシャープさもあって。
温かみとフォルムの端正さとのバランスがすばらしいなぁと思います。