宇宙人ポール

2012年1月19日 映画
アメリカのヲタク文化に憧れてはるばるロンドンからコミケにやってきた二人のヲタク青年。
キャンピングカーでUFOの名所めぐりの旅を楽しむ二人は、
まったくの偶然から宇宙人のポールと出会う。
パッとしないSFヲタクと絵に描いたような宇宙人の奇妙な3人が繰り広げるロードムービー。

http://www.paulthemovie.jp/

すっごく面白い映画ですよこれ。
見れる場所で上映してるなら、是非。損はしません!

宇宙人ポールが最高です。
灰緑色の貧弱な身体にでっかい頭、巨大な二つの目。
まさにあの宇宙人のイメージそのもの。
...それもそのはず。
ポールに言わせるとあの宇宙人は「全部オレがモデルなんだ。」
何故なら「ホンモノに出会ったときびっくりしないよう、政府の方針なのさ!」(笑)
シモネタ連発・マリワナを愛用・4文字言葉を自由自在に使いこなす。
元ヒッピーのオッサンのようなポール。
アメリカの映画、音楽に詳しくてビールとピスタチオが大好物。
本人曰く
「’60年代以降に作られた宇宙と宇宙人のイメージは全部オレのアドバイスなんだ。」
「スピルバーグにはたくさんヒントを与えてやったよ。」

彼と一緒に旅する一人はSF小説家。もう一人はイラストレーター。
暗号代わりにクリンゴン語(注:スター・トレックに出てくる異星人の言語)を喋る
典型的なSFヲタク。

そしてポールを奪還すべく彼らの後を追う謎のエージェントは、
メン・イン・ブラックを彷彿とさせる黒スーツに黒サングラス。

そうです。
往年のハリウッドSF大作へのオマージュが方々に散らばっているのです。
特に『未知との遭遇』『レイダース』『ET』をネタにしたシーンは抜群。
めちゃくちゃ笑えます。

しかし単なるオフビートのコメディではありません。
3人は北へ北へと旅する途上でアメリカの中西部、未だにマッチョ崇拝と
熱狂的なクリスチャンの多い地域を通過していきます。
男二人旅というだけで何度も「あんたらゲイか?」と訊ねられ、
いきなり殴られそうになったり。
車に乗せた女の子の父親が狂信的なクリスチャンで、娘を誘拐されたと思い込んだ彼に、
ライフルで銃撃されたり。
現代アメリカのまた別の顔、外側からはわかりにくい極端に閉鎖的で保守的な姿を
茶化しながらもきっちり描きだしています。

で、この映画、見終わったあととっても元気になります。
後味爽快。
約一名、とっても気の毒な女優さん(シガニー・(エイリアン)・ウィーバー)がいますが...。

ポールみたいなオッサン宇宙人、どこかに居るなら是非とも会ってみたいもんですな。

コメント