スプリング・フィーバー [DVD]
2012年1月27日 映画
魔性のゲイ(=ジャン)を巡る男女入り乱れての愛憎劇@中国。
...と書くとなんか凄そうですが、
全編を通して印象的なのはタイトル通りの、
春風に浮されたように一瞬燃え上がる熱情と
それが通りすぎた後の虚しさ。
冒頭、まだ春先の冷たい雨に打たれる車内の、ただならぬ雰囲気の
男二人のシーンからはじまるのですが、
その雨が晴れの日であってもどこか日陰で降り続いているような、
ひんやりして灰色の空気と湿気を、
見ている間中ずーっと感じていました。
郊外の貸し別荘で男二人が全裸で愛し合うシーンに結構びっくりしますが、
ブエノスアイレスもそうだったよな~...とついつい比較(笑)
でもカーウァイ監督の作品ほどスタイリッシュでも難解でもなく、
先の読めない展開に一気に最後まで見てしまいました。
一人目の男は既婚者。
妻は学校の教師で本人は古本屋の店主。
勘の鋭い妻は夫の不倫を疑い、フリーター(中国語ではなんていうのだろう?)の青年に
尾行を依頼、浮気相手が実は男であると知り逆上。
浮気相手(=ジャン)が働く旅行代理店に乗り込んで修羅場に...。
既婚者の男を慮って会わないことにした彼に、今度は尾行していたフリーターが堕ちてしまう。
そのフリーターの彼には工場で働く彼女(菊池凛子似w)がいる。
成り行きで一緒に旅に出ることになった男と男と女。
裸で絡むシーンがたくさん出てきますが、ポルノっぽくはないです。
浮かびあがってくるのはむしろ、性別やパートナーの有る無しに関係なく、
突然湧き上がってくる理性ではコントロールできない熱情。
しかしジャンの恋愛対象が同性である限り、その熱情が結実することは決してない。
なので、彼の愛情は常にどこかうわの空。
そんなジャンに捨てられたと知り、自ら命を絶つ一人目の男。
死と引替えに、男との熱情の日々はジャンの心と身体に永遠に消えない傷跡となって残る。
センチメンタリズムに陥りそうな展開ですが、適度な距離を保ちつつ
心の襞を丹念に拾う演出と、
なんとなく他人のプライバシーを覗き見してるような後ろめたさとリアルさのある映像の力で、強度のある美しさへと昇華されている。
後半、ジャンと二人目の愛人とその恋人(女性)が遊覧船に乗るシーンがあって、
構図といい人物の表情といい、昔見たフランス映画を思い出した。
(*↑DVDジャケットの写真参考)
なんだか懐かしい感じがしたのはそのせいかもしれません。
ところどころに挿入される漢詩の字面がエキゾティックで美しく、
また朗読する声も響きが心地よい。
原題は「春風沈酔的晩上」。
この詩の意味が作品の中で出てくる。
「スプリング・フィーバー」の邦題も意味深でいいけどね。
ゲイ+ロードムービー。
中国がすでに<共産主義国家>のイメージからはかけ離れていることは知ってましたが、
こんな映画撮れるんだ!
...とびっくりしてたら、ロウ・イエ監督はこれの一つ前の作品で政府から
「5年間、映画を撮るべからず。」
とお達しを受けたにもかかわらず、ゲリラ撮影で完成させたのだとか。
ううむ。
キモのすわりかたが違うね...。
そういうの映像から自然と伝わってくるもんなんだよなぁ、やっぱり。
...と書くとなんか凄そうですが、
全編を通して印象的なのはタイトル通りの、
春風に浮されたように一瞬燃え上がる熱情と
それが通りすぎた後の虚しさ。
冒頭、まだ春先の冷たい雨に打たれる車内の、ただならぬ雰囲気の
男二人のシーンからはじまるのですが、
その雨が晴れの日であってもどこか日陰で降り続いているような、
ひんやりして灰色の空気と湿気を、
見ている間中ずーっと感じていました。
郊外の貸し別荘で男二人が全裸で愛し合うシーンに結構びっくりしますが、
ブエノスアイレスもそうだったよな~...とついつい比較(笑)
でもカーウァイ監督の作品ほどスタイリッシュでも難解でもなく、
先の読めない展開に一気に最後まで見てしまいました。
一人目の男は既婚者。
妻は学校の教師で本人は古本屋の店主。
勘の鋭い妻は夫の不倫を疑い、フリーター(中国語ではなんていうのだろう?)の青年に
尾行を依頼、浮気相手が実は男であると知り逆上。
浮気相手(=ジャン)が働く旅行代理店に乗り込んで修羅場に...。
既婚者の男を慮って会わないことにした彼に、今度は尾行していたフリーターが堕ちてしまう。
そのフリーターの彼には工場で働く彼女(菊池凛子似w)がいる。
成り行きで一緒に旅に出ることになった男と男と女。
裸で絡むシーンがたくさん出てきますが、ポルノっぽくはないです。
浮かびあがってくるのはむしろ、性別やパートナーの有る無しに関係なく、
突然湧き上がってくる理性ではコントロールできない熱情。
しかしジャンの恋愛対象が同性である限り、その熱情が結実することは決してない。
なので、彼の愛情は常にどこかうわの空。
そんなジャンに捨てられたと知り、自ら命を絶つ一人目の男。
死と引替えに、男との熱情の日々はジャンの心と身体に永遠に消えない傷跡となって残る。
センチメンタリズムに陥りそうな展開ですが、適度な距離を保ちつつ
心の襞を丹念に拾う演出と、
なんとなく他人のプライバシーを覗き見してるような後ろめたさとリアルさのある映像の力で、強度のある美しさへと昇華されている。
後半、ジャンと二人目の愛人とその恋人(女性)が遊覧船に乗るシーンがあって、
構図といい人物の表情といい、昔見たフランス映画を思い出した。
(*↑DVDジャケットの写真参考)
なんだか懐かしい感じがしたのはそのせいかもしれません。
ところどころに挿入される漢詩の字面がエキゾティックで美しく、
また朗読する声も響きが心地よい。
原題は「春風沈酔的晩上」。
この詩の意味が作品の中で出てくる。
「スプリング・フィーバー」の邦題も意味深でいいけどね。
ゲイ+ロードムービー。
中国がすでに<共産主義国家>のイメージからはかけ離れていることは知ってましたが、
こんな映画撮れるんだ!
...とびっくりしてたら、ロウ・イエ監督はこれの一つ前の作品で政府から
「5年間、映画を撮るべからず。」
とお達しを受けたにもかかわらず、ゲリラ撮影で完成させたのだとか。
ううむ。
キモのすわりかたが違うね...。
そういうの映像から自然と伝わってくるもんなんだよなぁ、やっぱり。
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