ハーブ&ドロシー
郵便局員のハーブと図書館司書のドロシー。
慎ましい生活の中で30年かけて2人が集めた
現代アートのコレクション。
選ぶ基準は二つ。
1.自分たちの給料で買える値段であること
2.1LDKのアパートに収まる大きさであること

公式サイト
http://www.herbanddorothy.com/jp/story.html

トレイラー
http://www.herbanddorothy.com/jp/index.html

すっごく可愛いおじいちゃんとおばあちゃんのご夫婦。
2人は若い頃アーティストを志していたのですが、ある日ミニマルアートの作品を
購入したのをきっかけにアートのコレクションにのめり込み、
やがて有名なコレクターとなります。
その2人の軌跡を、当時のフィルムやアーティスト、キュレーター、ディーラーの
証言を交えながら追った作品です。

アートを買う。
正直、お金持ちの道楽って気がしてしまいますが…。
冒頭に紹介したとおり、2人は決して豊かな生活ではありません。
でもアートが大好きで、ギャラリー巡りは当然のこと、アーティスト本人を直接訪ね気に入ったら交渉してどんどん購入していくのです。
そして代わる代わる部屋に飾って楽しむ。
アートが生活の一部となってるのが素敵でした。
しかしアパートの部屋は作品で埋め尽くされ、生活に支障をきたすようになり、
ついに国立現代美術館に寄贈することになります。
売れば結構な値段がつくのに、2人は決して売ろうとしません。
アートはお金儲けの手段ではなく、生活=人生とともにあるものだから、と。

2人はどこに出かけるのも一緒。
相手が誰であろうと自然に振る舞い、率直な意見を述べます。
豊かな経験に裏打ちされた言葉は説得力があり、また時にはアーティストへの
助言にもなる。
「2人はコレクターというよりはキュレーターです。」
と語るアーティストもいましたが、まさにその通りでした。
評価の定まった人の作品を一種のステイタスとして購入するのではなく、
自分の目で見て感じて「これは!」と思ったものを買う。
その姿勢は、わくわくするような純粋な<楽しさ>に満ちていて、素敵でした。

見終わったあとギャラリーに出かけたくなる作品です。
私も実はクートラスのカルトや上田義彦氏の写真を部屋に飾りたいなぁ…
と迷った経験があるので、その意味でちょっと勇気づけられました(笑)

ご主人=ハーブ氏は7/22に89歳でご逝去されたそうです。
ご冥福をお祈りいたします。

映画は続編を制作中だそうで、公開を楽しみにしております。

コメント