この感じ…どっかで見たことある…。

そうだ、肖像画。
レンブラントとかフェルメールとか。
光と翳を巧みに操り、モデルの貌と身なりにドラマティックな視覚効果を与え、内面まで浮彫にしようと試みたフランドル派絵画。


上田義彦氏とのセッションはOggi、anan に次いで
UOMOで三回目だろうか?
上田氏は彼の最大の武器<目線>を敢えて封印した表現を要求しているように思う。
それにより、常日頃彼が発するどこまでもポジティブなエナジーの、
およそ8割はその目線に由来するのだと改めて気づかされる。
目線を外した彼の貌。
その美しく整いながらも僅かに乱れた気配が色気であり、
その色気はむしろ昏さと虚無とを感じさせる。
ありとあらゆる人生の快楽と辛酸をなめつくした放蕩者のような。
または、すべてを失った没落貴族のような。
日ごろ心の中の秘密の引き出し奥深くに仕舞いこんで
見せないようにしている貌を、上田氏のカメラは素手でつかみ取り、
白日の下に晒そうとしているように見える。
8×10のディアドルフならではのピント深度で。

Portrait=肖像画。

タイトル通り、正しく肖像画。

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