#5まで放映されたわけですが。
リピ率高いのはやっぱ鈴木監督が演出した回。
「それはアンタの趣味でしょ!」…いやぶっちゃけそーなんですよねー(笑)
結論としてはそうなんだけれど、でも具体的にはどこがちがうんだろう?
…とついつい分析したくなるんですよすんません。

鈴木監督のカメラワークや画面構成の癖というか自己主張というか個性というか、
その辺りに関してはいろいろ書きましたし、何より見れば分かるでしょ、というか、
きっと嫌い(まで行かなくても苦手)な人も居るだろうなぁと。
でも、もしそれが無意味だったり監督の自己満足で役者さんのお芝居の味わいを
殺しちゃうようなもんだったら、私はきっと腹を立てていたはず。
(豚局の某Dとかねw)

二つ前の日記で冒頭の3人のやり取りの絶妙さについて長々と書きましたが、
鈴木さんの演出とキムラは相性いいなぁ…と思わせるところが他にもあるんです。
例えばホットドッグ屋稼働初日。
リアカーを引く二三男と後ろ二人の会話のシーン。
ここの、台詞の一節ごとにコロコロ変わる二三男の表情の豊かさ、軽い足取り。
まるで初めての相手と対抗試合に向かう野球少年のようなワクワク感が
全身から溢れていて、見てるコッチまでその先の展開にワクワクしてしまう。
そして三人でビールで乾杯する場面。
現実的な二階堂さんと慎重派のモアイさんに挟まれて、二人の会話にいちいち目を
まん丸くする表情。マスターの「仲良しトリオ」の一言で破顔一笑。
全てをなんとなくまぁるく収めてしまうまぁるい笑顔。
(このときのうひゃひゃ笑いがたまりませんw)
辻さんの工場がリストラされる話を聞いた後の、二階堂さんと二人でリアカーを引く
足取り。
モアイさんが面接を受けてきた日の夜。
「モアイさんも楽しかったんじゃないですか?」と投げかけて、寝たフリの
モアイさんをそーっと覗き込んでパフっと枕に顔を埋める仕草。

それらのシーンのどのカットに於いても<止まる>瞬間がない。
常に画面の中、時には外側に居る誰かのアクションに気を配り、耳を澄ませ、
観察し、細かくリアクションを返す。
それはもう、お芝居とかの範疇を超えて、その場に<居る人>の自然な反応だとしか
思えないレベルにまで。
だから、彼が居るシーンは常に生き生きして見えるんだと思う。

で、#5のクライマックス。

モーゼの十戒(笑)の如く、並み居る社員達を退けて、堂々たる順番抜かしで
ホットドッグを手にした社長に放つ一言。

「社長さんこそ、一人で何をやろうとしてるんですか?」

一見大屋敷Jr.の冷酷非情な手腕を正面から批判したかのような台詞ではありますが、
実は二三男的には全く違う視点に立って放った一言ではなかったろうか。
↑に列挙したキムラ=二三男の台詞や仕草から感じ取れるのは、<お金を稼ぐこと>
への二三男なりの視点、つまり
『自分(作り手・売り手)もお客さんも幸せになること』こそが
『お金を稼ぐ(=働く)ことの喜び』だという直感。
その快感を二三男は経験的に知ってるんだけど、社員や下請けやましてや消費者の
気持ちなんか全然関係ない場所に引きこもってる統一郎には
決して経験できない感覚でもある。
これ、例えば台詞で言っちゃえばもっと分かり易いんだろうけど、ストレートに
共感して貰うのは難しいんじゃないでしょうか。
言葉にすれば偽善っぽく聞こえてちょっとしらけるかも。
というか、せっかくドラマでやってるんだから、言葉じゃなく映像で見せましょうよ
と工夫したんだろうなぁと。
その上で、細かいシーンの積み重ねで伝えるやり方が成功したのは、カメラが
キムラの顔ばっか撮るんじゃなくて全身の動きや繊細な表情を、細かく掬いとって
くれたお陰じゃないかと、思うのです。

それにしても…どんだけ脚本読みこんでるんだよキムラ(笑)

欲を言えば、二三男はあまりにも明るすぎ。
真昼の太陽のような笑顔は無邪気なほど眩しくて愛しいけど、そろそろ萌えをくれ←
キムラはねー…笑顔ももちろん素敵だけど、苦しんだり悲しんだりが絶品なのよw

あーそうだ。
もう一人、細かい部分で凄いリアクションをなさってる俳優さんが。
イッセー尾形さん。
この方も面白いですよねー。
表情や動きのストックが豊かで身体能力が高い感じです。
引きのカメラだとついつい目線がソッチへいっちゃいます(笑)
お芝居自体はキムラとは正反対っぽいアプローチなんですけど、スタンス的には
なーんとなく共通点を感じたりなんかしちゃったりして(上から目線でスンマセン)

コメント

MAYUKO
2012年11月23日8:03


HT様 おはようございます。

体調、如何ですか?
熱は下がっても無理しないでください。

>>それらのシーンのどのカットに於いても<止まる>瞬間がない。
常に画面の中、時には外側に居る誰かのアクションに気を配り、耳を澄ませ、
観察し、細かくリアクションを返す。
それはもう、お芝居とかの範疇を超えて、その場に<居る人>の自然な反応だとしか
思えないレベルにまで。
だから、彼が居るシーンは常に生き生きして見えるんだと思う。

そういう細かい芝居を全部ぶった切るとこうなるという
見本のようなドラマの第一話を見てみました。

冒頭の広末さんとのシーン
香川さん演じる丹原さんとやりとり、
杉本哲太さん演じるドクターとのイノセント九十九
最後、科警研面々の前で思いを捲くし立てるシーン等々
鈴木さんがもし監督だったらこのシーンどう演出するんだろう
と想像しながら見る。

惜しいんですよね、豚局の某監督って
いろいろと。

HT
2012年11月23日17:24

MAYUKO様、こんばんは。

ミスブレ、ストーリーを読んだ時の期待がハンパ無くって…それ故「なぜだ?」
という疑問符がついて回った作品でした。
ドクターと九十九のやり取りなんて、実はキュン死(死語w)ものシーンだし。
丹原・九十九の丁々発止のやり取りも生かせてなくって。

>>惜しいんですよね、豚局の某監督って
いろいろと。

ですよね。
先日の再放送で思ったのはリズム感に問題があるのでは、と。
全てがクラシック、それもベートーベンの第五「運命」みたいな。
せめてモーツァルトくらい軽やかだと良かったかも。
鈴木さんはファンキーだと思います。
私の勝手なイメージなんですけど…。