アノニマス=名前の無い ライフ=生命で、『名を明かさない生命』
テクノロジーによって産み出されるキメラ(=合成生物)
または、新しい生命体、という意味のタイトルらしいです。
西新宿のオペラシティ内<ICC ギャラリー>にて3/3まで開催中。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/AnonymousLife/works_j.html
スプツニ子さんの展示を見るのが第一目的でした。
『菜の花ヒール』
菜の花は逞しい植物でまた成長するときに土中の無機質とともに構造の似た水溶性の放射性物質(セシウム、ストロンチウム)を吸収、茎に蓄える性質があるとか
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104230092.html
彼女は若手のデザイナーと共同で、一歩踏み出すごとに土中に菜の花の種を撒く
ハイヒールを制作し、一面の菜の花で埋め尽くされた空間に置いて、それを履いて
福島の地を歩く姿の映像をバックに流しました。
コンセプトが面白いですし、何より展示品が美しく、不思議で、可愛らしい。
一歩進むごとにより良い未来へ近づく。
それを具体的に目で見ることのできる作品です。
http://www.sputniko.com/?p=1519631
<ヒール>は靴の踵=heelと癒し=healのダブルミーニングになってるんですね。
同じくスプツニ子さんの作品。
『生理マシーン、タカシの場合』
http://www.youtube.com/watch?v=gnb-rdGbm6s
女の子になりたい青年タカシは女装するだけでは飽き足らず、女性だけの感覚=月経を体感できるマシーンを発明して装着し、女装して女友達と街へ。
夜遊びの途中でマシーンが作動、「おなか、痛ったぁ〜い!」とくずおれてしまう
タカシくん(笑)
もちろんタカシくんはスプツニ子さんが演じています。
重要なモティーフとしてフェミニズムが中心にあるんだけれども、ユーモラスで、
決して攻撃的ではない。
<生理痛を体感できるマシーン>って発想に思わずクスっと笑ってしまった。
音楽と映像と制作物とが一体化して作り上げた空間を体験する。
こういう展示手法を<インスタレーション>と呼ぶのですが、もちろんその中の
一つの要素だけでも面白く、組合わさることでより意図が明確になって、
しかも楽しい。
現代アートってなんだか分かり難くて入り辛いイメージがあるかもしれないけれど、彼女のそれは綺麗だったり可愛かったり面白かったり。
テーマはシリアスでも表現はポップ。
そこがいかにも現代風で、もっと作品を見てみたいアーティストさんでした。
もう一つ違う意味で印象的だったのが、『リプリー02』というアンドロイドを使った展示。
齋藤達也+石黒浩氏の共同作品。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/AnonymousLife/work02_j.html
このアンドロイドがすっごくリアルなんですよ。
近くで見ても肌の質感が、若くてすべすべな女性のそれ。
あたかも呼吸しているかの如く胸が上下するようプログラミングされている。
で、顔を見ると瞬きもしたりする。
そのタイミングとか動きが絶妙で、見れば見るほどよく出来ていて、
ぶっちゃけ気持ち悪かったです…。
人が生きているかを判断する重要なチェックポイントとして<呼吸>がある。
「呼吸が止まっている=生きてない」
でも、リプリー02は呼吸している。瞬きもする。
実際彼女を動かしているのはコンピューターのプログラムな訳ですが、では彼女が
「生きていない」と判断するための客観的手がかりは何?
…と真剣に考え始めると分からなくなりそうなくらいリアル。
ううむ。
と、リプリーさんの前で暫く考え込んでしまいました。
まぁ平日の午後だったので人が居なくて、ゆっくり見れたからですけど(笑)
ちなみに入場料は500円。
窓口でチケットを買うと、会期中ならもう一度ギャラリーへ入れるそうです。
もう一回行ってみようかなぁと思ってます。
テクノロジーによって産み出されるキメラ(=合成生物)
または、新しい生命体、という意味のタイトルらしいです。
西新宿のオペラシティ内<ICC ギャラリー>にて3/3まで開催中。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/AnonymousLife/works_j.html
スプツニ子さんの展示を見るのが第一目的でした。
『菜の花ヒール』
菜の花は逞しい植物でまた成長するときに土中の無機質とともに構造の似た水溶性の放射性物質(セシウム、ストロンチウム)を吸収、茎に蓄える性質があるとか
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104230092.html
彼女は若手のデザイナーと共同で、一歩踏み出すごとに土中に菜の花の種を撒く
ハイヒールを制作し、一面の菜の花で埋め尽くされた空間に置いて、それを履いて
福島の地を歩く姿の映像をバックに流しました。
コンセプトが面白いですし、何より展示品が美しく、不思議で、可愛らしい。
一歩進むごとにより良い未来へ近づく。
それを具体的に目で見ることのできる作品です。
http://www.sputniko.com/?p=1519631
<ヒール>は靴の踵=heelと癒し=healのダブルミーニングになってるんですね。
同じくスプツニ子さんの作品。
『生理マシーン、タカシの場合』
http://www.youtube.com/watch?v=gnb-rdGbm6s
女の子になりたい青年タカシは女装するだけでは飽き足らず、女性だけの感覚=月経を体感できるマシーンを発明して装着し、女装して女友達と街へ。
夜遊びの途中でマシーンが作動、「おなか、痛ったぁ〜い!」とくずおれてしまう
タカシくん(笑)
もちろんタカシくんはスプツニ子さんが演じています。
重要なモティーフとしてフェミニズムが中心にあるんだけれども、ユーモラスで、
決して攻撃的ではない。
<生理痛を体感できるマシーン>って発想に思わずクスっと笑ってしまった。
音楽と映像と制作物とが一体化して作り上げた空間を体験する。
こういう展示手法を<インスタレーション>と呼ぶのですが、もちろんその中の
一つの要素だけでも面白く、組合わさることでより意図が明確になって、
しかも楽しい。
現代アートってなんだか分かり難くて入り辛いイメージがあるかもしれないけれど、彼女のそれは綺麗だったり可愛かったり面白かったり。
テーマはシリアスでも表現はポップ。
そこがいかにも現代風で、もっと作品を見てみたいアーティストさんでした。
もう一つ違う意味で印象的だったのが、『リプリー02』というアンドロイドを使った展示。
齋藤達也+石黒浩氏の共同作品。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/AnonymousLife/work02_j.html
このアンドロイドがすっごくリアルなんですよ。
近くで見ても肌の質感が、若くてすべすべな女性のそれ。
あたかも呼吸しているかの如く胸が上下するようプログラミングされている。
で、顔を見ると瞬きもしたりする。
そのタイミングとか動きが絶妙で、見れば見るほどよく出来ていて、
ぶっちゃけ気持ち悪かったです…。
人が生きているかを判断する重要なチェックポイントとして<呼吸>がある。
「呼吸が止まっている=生きてない」
でも、リプリー02は呼吸している。瞬きもする。
実際彼女を動かしているのはコンピューターのプログラムな訳ですが、では彼女が
「生きていない」と判断するための客観的手がかりは何?
…と真剣に考え始めると分からなくなりそうなくらいリアル。
ううむ。
と、リプリーさんの前で暫く考え込んでしまいました。
まぁ平日の午後だったので人が居なくて、ゆっくり見れたからですけど(笑)
ちなみに入場料は500円。
窓口でチケットを買うと、会期中ならもう一度ギャラリーへ入れるそうです。
もう一回行ってみようかなぁと思ってます。
コメント
「菜の花ヒール」面白いですね!
靴が花を踏みつけるのではなく、
種を蒔いて花を咲かせてしまうという…
細いヒールが地面につけた穴って、
そういえば種を蒔くのにちょうどよさそう。
「菜の花ヒール」そのものがまた、かわいいですね!
「生理痛体感マシーン」とか、呼吸と瞬きの作品とか、
見たら、ダイレクトに何かを感じてしまいそうです。
生きることについて。
スプツニ子さんの中でいくつかのことが結びついて、構想されて、それが具現化して、見られて。
面白いなぁと思います。
百聞は一見にしかず、西新宿のオペラシティへ行ってみてください。
上には書かなかったのですが、オルランというフランス人の女性アーティストも興味深かったんです。
その人は自らの顔を整形手術する様子をビデオ中継するパフォーマンスが有名です。
さすがにビデオは流れていませんでしたが、手術前・中・後の写真が展示されてます。
顔を変える。
生身の人間の、究極の肉体改造の一つでしょう。
しかし、肉体を変形しても中身の<わたし>は揺らぎなく、ある。
苦痛を伴う変形・改造を通して浮かび上がってくるのが<自意識>の存在である、という。
表現方法としては極端ですが、ある意味時代性を象徴してるなぁと思いました。