国立新美術館とソメイヨシノ。
国立新美術館とソメイヨシノ。
ムスコと国立新美術館のアーティスト・ファイル2013を
見に行きました。
現代の作家たちというサブタイトル通り
<今>を切り取ろうとするアーティストの
絵画・写真・インスタレーションの展示で、
日本・韓国・インド・イングランドと
バックグラウンドも様々な作品たち。
<今>=内向きで繊細な私小説風の作品?
との先入観を軽く打ち砕くバラエティに富んだチョイスで
面白かったです。

志賀理江子さんの作品『螺旋海岸』に圧倒されました。
展示室の一室全てを埋め尽くす写真の迷路。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/art/624703/slideshow/544703/
大きく引き延ばされた人、砂浜、松、波に攫われ流れ着いた漂着物を思わせる人間の
日常の痕跡ーぬいぐるみ、布団、洋服、家族写真と思しき生活の断片。
無造作に見えるスナップ、極限まで引き延ばされもはや何を撮ったのか判別不可能な
断片、墓標に見える木の杭、放射性物質を連想する鮮やかなイエロー。
何の注釈もなく並べられ、重なり合うそれらを見つめているうちに、私の脳内には
勝手に様々なイメージの断片が浮かぶ。
もう少しで一つのストーリーに繋がってしまいそうなそれを、寸前で押しとどめ、
混沌の中へ押し戻す、不思議な感覚。
この方の作品をもっと見たい!と思いました。

ムスコは國安孝昌氏のインスタレーションが気に入った模様。
http://www.g-hirawata.com/archives/2087
長さ2m余の材木と小さな煉瓦の組み合わせで組み立てられた鳥の巣状の構築物。
Inner Kingdomと名付けられた巨大なオブジェに占領された部屋に入ると、
ミクロの決死圏よろしく自分が極小サイズに縮んで、他人の無意識下に潜り込んだ
ような不思議な感覚に囚われました。
外に出ると明日開催される『六本木アートナイト』というイベント用に國安氏自ら
鳥の巣状のオブジェを欅の木に取り付けているところでした。(写真1)
当日は中に仕込んだライトが光って夜の闇に浮かび上がる仕掛けだそう。


外に出ると街路にそってソメイヨシノが。
…もう満開ですね。
空の水色と仄かに染まった花弁とのコントラストがとても美しい。

森ビル下の大江戸線に向かって歩く途中の六本木の裏道。
ひっそりと咲くソメイヨシノ。
誰がこのサクラを愛でるのだろうか?
ちょっとした段差の階段が、少し前までのこの場所の雰囲気を残している気がして。
取り残された隙間のような時間。

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