http://www.youtube.com/watch?v=_ngDcLmYjIc

『ときめきに死す』

先日のコメントにも書いたけど、故・森田芳光監督の1984年の異色作。
Facebookで相田冬二氏が
「北野武監督、主演を木村拓哉でリメイクしてもらいたい」
と名前を上げてらっしゃったとのこと。
Twitterで話題になったし、コメントでも教えていただきました。
『太陽を盗んだ男』
『ときめきに死す』
この二作は大好きな作品です。

で、『ときめきに死す』。

当時沢田研二が好きだった私は映画館で見た。
結構衝撃的でした。
バイオレンスもエロも有り。主人公には、重い出自が有り。
中年の男、風俗嬢、謎の男。
謎の男はまるで幼児のような不思議なイノセントさを保ったままオトナになった。
瓶の中のアメに妙に拘ったり、セックスに関心がなかったり。
そのイノセントさがまんま人を殺しても罪悪感を持たない残酷さに繋がる。
可愛いというよりあくまでも不気味なんだけど、奇妙に人を惹きつける。
この男が内に秘めた異様なパワーは、硬いクルミの殻を歯で噛み割るシーンに
象徴されていて、その音がまるで人間の骨を噛み砕く様を連想させた。
夏なのに、寒いほどのブルーグレイの映像。
どこか遠い国から聞こえてくるような音楽とともに、印象的なシーンが次々と
頭に浮かんで来る。

そもそもこの作品をキタノ監督と関連づけて『世界に紹介したい日本映画』の一つに
選出したのはジャズミュージシャンで分筆家の菊地成孔氏らしい。
幼児性を秘めた暴力の匂いのする男はキタノ作品の初期からのキャラクターだし、
『ときめき…』の、台詞の少なさからくる独特の間、映像の色彩や感じる温度、
湿度、音楽の選び方などに通じるものがあると思う。
(*北野武は1989年『その男、凶暴につき』でデビュー。
 当初から過剰なバイオレンス描写が話題になっていました)

ときめきを、キムラで。

不思議で不気味でイノセントな男は、どこでどう生きてきたのか、謎めいている。
天から降ったか、地から湧いたか。
人外の存在のイメージはShitaoを連想しなくもない。
だから見たい、と思う。

しかし、今のsまpのマネージメントとこの作品とがどこをどう取ってみても
交わる地点があるようには思えないのです。
それが、とても残念。

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