麻陽とロイド。(…も編集・追記しました)
2013年12月3日 TV言葉の前に目が語り出していた。
SRX-ラッキー7Rが記憶のプログラムを修正し、ガクリと膝をついたARXII-13。
閉じた瞼がゆっくりと開き、長い睫毛の下から黒い瞳が現れる。
記憶を失う前、倒れながら縋るように見つめたのと同じ目が、麻陽を捉える。
「ロイド…。」
「俺は安堂ロイドだ。」
意志を持った目。
もう彼は無垢なるARXII-13ではない。
目の前に居るのは<破壊されるまで護りぬく>と心に決めた女。
それを自覚している男の目。
「何故泣いている?」と男は訊ねる。
自分の為に泣いている人間を見たのは初めてだから。安堵と喜びの涙。
「君を忘れる訳が無い。」「嘘!忘れてたくせに。」「物理的エラーだ仕方ない。」
女はジャケットの衿を掴んで覗き込む。
見開かれた大きな瞳が涙でキラキラ輝いて、視線を捉えて離さない。
男はアンドロイド。 感情はあるが人間ではない。
そんなのどうでもいい。
ロイドを愛している。
絶対的に<おんな>である麻陽は、ただの人形に魂を吹き込んだ。
感情と意志を持った人形への愛は異形かもしれないけれど熱く透明で強靭。
想いに突き動かされ、まっすぐにロイドへ向かう彼女を誰も止められない。
その想いが、安堂ロイドを男として目覚めさせたのかもしれない。
視線をまっすぐ受け止め、同じ熱を放つ黒い瞳が見つめ返す。
至近距離であんなふうに見つめられて拒絶できる女など居ないだろう。
「あっ!キスする?」 と思ってしまった。
柴咲コウと木村拓哉。
お芝居なのか、本当に恋をしているのか。
麻陽とロイドが一瞬、生の男女に見える。
役と役者が完全に同化し、心にわき上がる衝動のままに動いているよう。
そんな二人しか演じられないだろう。
人とアンドロイドが愛し合う究極のラブストーリー。
ぎゅっとしがみついてきた背中の辺りに、そっと手が伸びてしっかり抱き寄せる。
大きくて血管の浮いた、安心できる男の手。
温かさが伝わって来るような、生々しいほどの存在感のある手。
黎士からの指輪を渡した時抱き寄せた血塗れの手には、戸惑いが見えた。
でも、彼が撃たれそうな時に女は身体を張って庇おうとした。
彼が長く眠っている間ぴったりと寄り添い、なんどもなんども名前を呼んだ。
麻陽がどれだけ自分を大切にしているか。
名前を与え、命を護ろうとした。
麻陽が、彼を生まれ変わらせた。
失った記憶を取り戻した時、自分が何者であるかをはっきり理解した。
今の彼に迷いはない。
黎士の言葉、100年先でもきみを護る。
ロイドは黎士では無いかもしれない。
が、黎士の意志を、彼は正しく受け継いだ。
もう一つ。
サプリ=SR-ラッキー7Rとロイドのシーン。
「俺に必要なのはただの支援機体ではない。」
SR-ラッキー7Rを後ろから羽交い締めにする。
人差し指のニードルを耳に突き立て自らの感情のプログラムを注入する。
(アスラシステムといいコレといい、無意味にエロくない?)
抱えた腕と耳に突き立てた手と腕の角度が絶妙で。
涙を流すサプリ。スッと抜かれる指。
腕の中で正気に戻ったサプリを見つめる目が、なんとも言えない無駄な色っぽさ。
考えてみたら凄い行為だ。
感情のプログラムと共に、二人の記憶をも分かち合ったのだから。
サプリがロイドにどんな感情を抱いていたのか。
感情を持ったロイドがサプリをどう思ったのか。
部分的とはいえ、違う性の(アンドロイドだけど)人格を共有している。
魂を分け合った双子のような存在、もう一人の私。
しかし麻陽との記憶はロイドと麻陽のもの。
そして麻陽の見たロイドの記憶は、麻陽だけのもの。
SRX-ラッキー7Rが記憶のプログラムを修正し、ガクリと膝をついたARXII-13。
閉じた瞼がゆっくりと開き、長い睫毛の下から黒い瞳が現れる。
記憶を失う前、倒れながら縋るように見つめたのと同じ目が、麻陽を捉える。
「ロイド…。」
「俺は安堂ロイドだ。」
意志を持った目。
もう彼は無垢なるARXII-13ではない。
目の前に居るのは<破壊されるまで護りぬく>と心に決めた女。
それを自覚している男の目。
「何故泣いている?」と男は訊ねる。
自分の為に泣いている人間を見たのは初めてだから。安堵と喜びの涙。
「君を忘れる訳が無い。」「嘘!忘れてたくせに。」「物理的エラーだ仕方ない。」
女はジャケットの衿を掴んで覗き込む。
見開かれた大きな瞳が涙でキラキラ輝いて、視線を捉えて離さない。
男はアンドロイド。 感情はあるが人間ではない。
そんなのどうでもいい。
ロイドを愛している。
絶対的に<おんな>である麻陽は、ただの人形に魂を吹き込んだ。
感情と意志を持った人形への愛は異形かもしれないけれど熱く透明で強靭。
想いに突き動かされ、まっすぐにロイドへ向かう彼女を誰も止められない。
その想いが、安堂ロイドを男として目覚めさせたのかもしれない。
視線をまっすぐ受け止め、同じ熱を放つ黒い瞳が見つめ返す。
至近距離であんなふうに見つめられて拒絶できる女など居ないだろう。
「あっ!キスする?」 と思ってしまった。
柴咲コウと木村拓哉。
お芝居なのか、本当に恋をしているのか。
麻陽とロイドが一瞬、生の男女に見える。
役と役者が完全に同化し、心にわき上がる衝動のままに動いているよう。
そんな二人しか演じられないだろう。
人とアンドロイドが愛し合う究極のラブストーリー。
ぎゅっとしがみついてきた背中の辺りに、そっと手が伸びてしっかり抱き寄せる。
大きくて血管の浮いた、安心できる男の手。
温かさが伝わって来るような、生々しいほどの存在感のある手。
黎士からの指輪を渡した時抱き寄せた血塗れの手には、戸惑いが見えた。
でも、彼が撃たれそうな時に女は身体を張って庇おうとした。
彼が長く眠っている間ぴったりと寄り添い、なんどもなんども名前を呼んだ。
麻陽がどれだけ自分を大切にしているか。
名前を与え、命を護ろうとした。
麻陽が、彼を生まれ変わらせた。
失った記憶を取り戻した時、自分が何者であるかをはっきり理解した。
今の彼に迷いはない。
黎士の言葉、100年先でもきみを護る。
ロイドは黎士では無いかもしれない。
が、黎士の意志を、彼は正しく受け継いだ。
もう一つ。
サプリ=SR-ラッキー7Rとロイドのシーン。
「俺に必要なのはただの支援機体ではない。」
SR-ラッキー7Rを後ろから羽交い締めにする。
人差し指のニードルを耳に突き立て自らの感情のプログラムを注入する。
(アスラシステムといいコレといい、無意味にエロくない?)
抱えた腕と耳に突き立てた手と腕の角度が絶妙で。
涙を流すサプリ。スッと抜かれる指。
腕の中で正気に戻ったサプリを見つめる目が、なんとも言えない無駄な色っぽさ。
考えてみたら凄い行為だ。
感情のプログラムと共に、二人の記憶をも分かち合ったのだから。
サプリがロイドにどんな感情を抱いていたのか。
感情を持ったロイドがサプリをどう思ったのか。
部分的とはいえ、違う性の(アンドロイドだけど)人格を共有している。
魂を分け合った双子のような存在、もう一人の私。
しかし麻陽との記憶はロイドと麻陽のもの。
そして麻陽の見たロイドの記憶は、麻陽だけのもの。
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