例えその先に待つのが死だったとしても。

巌流島に向かう舟の上で櫂を額に当て祈るように目を閉じる。
その胸に去来するもの。

「何か見えたか?」

「まだわからん!」

両者共に手傷を負い、血を流しながら交わすことば。
小次郎もまた同じ志しを持つ者。

限界の向こう側。

死の瞬間、小次郎は何を見たか?

武蔵の顔に浮かぶ勝利の安堵、が次の瞬間、それは掻き消える。
驚愕と…恐らくは衝撃。
志を同じくする者を喪った。もしかすると、哀しみ。

胸が苦しかった。初見より、ずっと。

「何が見えた?  永遠が。」
というフレーズが頭に浮かんだ。

アルチュール・ランボーの<永遠>の一節。

見つかったぞ
何が? 
永遠が
太陽と
融合した海が


コメント