HERO#7

2014年8月27日 TV
前を向いてみませんか。

久利生のことば。
彼はちょっと躊躇ってから検事のバッジをさっと後ろへ隠してから話し出した。
ここからは検事としてでなく、個人として話をします。
彼の、職業人としての誇りの在処を象徴するシーン。
個人的な感情と検事として公平に事案に向かい合おうとする意志。
判断するのが人間である以上、その二つを完全に切り離すことはできない。
もちろん相手の感情を個人的な思いでコントロールすべきではない。
しかし延々と続く共依存のループから開放しなければ<前を向く>ことは不可能だと判断したからこその、行動と言葉。

ドラマ全体として見た時気づくのだけど、若い二人の男女の事件と同時進行する形で馬場検事と元夫の二人の関係の物語が描かれる。
久利生はその両方の出来事に関わる位置に居て、二組の男女の関係が解れ新しい段階(今回は、前を向く)へと踏み出していくのを見届ける。
これが、第二シーズンのHEROの基本構造になっている。

これも毎度のことなんだけど、麻木にはまだ久利生の本当の姿は見えていない。
それはたぶん、彼女が若すぎるから、の一点に尽きる。
一方、久利生に仕事を回した馬場検事はバーで事の顛末を聞き出すまでもなく、何があったかおおよその察しはついていた。
しかしその馬場検事にしても、元夫との再会で気持ちが揺れ動き、自問自答の末、
過去ときっちり別れを告げ、前を向いて歩き始めている。
一方、久利生の「前を向いてみませんか。」は、まさに麻木がふと漏らした言葉だ。
このことは何年か後、彼女が馬場や久利生のような立ち位置に居るかもしれないと
暗示しているように私には思えた。
…深いっすよ、HERO

そして今回も城西支部の面々のテンポのよいやり取りが交わされる過程で、馬場と田村の過去が明らかになっていく。
一方でカラ回りし続ける宇野検事。
ちょっとした言葉に過敏に反応する宇野は、第一期の江上検事を彷彿とさせる。
いや〜…正直、今回ほど雨宮の不在を切実に感じた回はなかったなぁ。
ちょいちょい麻木の台詞回しに雨宮を彷彿とさせられて(意図的だと思うんだけど)
はっとしました。
エピソード的には第一期の第5話に呼応した話ですね。
そして演出も前回と同じ平野監督。
どう考えても偶然とは思えないんですけど(笑)

(余談ですが、平野監督ってこういう男女の機微を丁寧に描くのがお得意なんじゃないかと思う。鈴木監督みたいな絶妙なテンポの良さやリズム感を狙うより、こっちの雰囲気を前面に出していったほうが良さが際立つのでは。)

実は第6話は久利生と事件との関わりの度合いがあまりに薄く、面白いんだけど
なんだか割り切れない感覚が残った。
今回は馬場検事と麻木を際立たせるための久利生の存在感が丁度よくて見やすいし、本来のHEROのバランスに戻った気がする。
久利生公平がすでに完成した人格である分、変わらずに周りが変わって行く。
でも中心はあくまでも久利生であるべきと思う。

萌えツボ的には今回は久利生の声が一番はぁはぁしました。
特にスマホから麻木に呼びかける「クスリは飲んだ?」…くぅぅ!!たまらん!!!
被害者に語りかけるシーンの声も柔らかくて深くてはぁぁぁぁとなっちゃいました。
久利生の台詞がものすごく説得力あるのは絶対声質と喋り方の為せる技!!
麻木の熱を確かめるときにものすごく躊躇ってる感じもよかったなぁ…。
プールサイドのランニング姿は完全にサービスショットだと思うけどw
あとね、馬場検事の声にも萌えたわ。
ふふっwってまるで文字に書いたかのよーな完璧な含み笑いの声。
なんなんすか?あの色っぽさ、艶やかさ、それでいて媚の一切ない声は!!
素晴らしいではありませんか!!!!
復讐とばかりに川尻部長を翻弄するシーンなんて素敵すぎたわ。
声大事ね、ホンマに。

さて来週は8話か、あと4話。
始まったらあっ!というまに時が過ぎていくのね〜。
次回辺りからラストまで久利生を中心に据えた展開に一気になだれ込んでいくのでは
ないか?と私は予測してるのですが、どうでしょうか。
まぁ当たっても外れてもきっと楽しませていただけることと確信しておりますが。

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