昨年見たかったのですが上映館が限られて見れず
(こんなのばっかり)
少し前のアンアンで稲垣吾郎様が『2014年のベスト』
の一本に挙げてたはず。
吾郎様の映画の趣味は何となく信用してる←

前置きはさておき。
女の子二人の7分間にわたるベッドシーン!
などと煽られていましたが、
正直そこのところは別に大した感銘というか驚きもなく。
…や、キレイでしたよ。とっても。二人が若くて可愛かったし。
むしろ男女の濃厚なシーンより視覚的に受け入れやすいし。

むしろ主役の<アデル>の心の揺れ具合がとってもミステリアスで興味深い。
アデルはフランスの女子高生。
文学が好き、考えることが好きでどっちかというとまじめで勉強の好きなタイプ。
見た目は可愛くて少しめくれた唇がエロティックな(フランス女優にありがちw)、
そうだなー…40代以上の人にはソフィ・マルソーっていったらイメージ湧くかな?
まぁそういうコケティッシュを絵に描いたような女の子なんですけど。
彼女は同じ高校のバンド好きなイケメンwに告白されて、一度は寝ます。
けれどもなんとなく違和感が拭えなくて。
そんな時、交差点ですれ違った髪をブルーに染めたボーイッシュな女の子エディに
一目惚れ。
偶然迷い込んだレズビアンバーで彼女と再会。
ミステリアスなエディにのめり込んでいく…。

エディとアデルの初めてのキス。エディを親友として両親に紹介するアデル。
その夜の、アデルのベッドでの情熱的なシーン。
見てる側としては数々の困難(?)を乗り越え、二人が共に生きて行く展開を
期待してしまうってもんですが。
そうはならないの。
エディは情熱的でミステリアスで、おまけに職業:画家。
アデルをモデルに素晴らしい作品を発表する、才能あふれる女の子で、性的に奔放?
と思ってしまうけど意外にも彼女はアデルに裏切られてしまう。
アデルは子供を教える教師を目指す、ある意味現実に生きている女の子。
彼女にとってエディは別世界をかいま見せてくれる憧れの存在であり、同性愛の相手という(恐らくは)アンモラルでスリリングな存在であり。
憧れるけど、明らかに違う世界観に生きている、それだけに尚更恋いこがれるひと。
なのにアデルは同僚の男に誘われてついふらふらと身体を重ねてしまう。
やがてアデルの行為はエディの知る所となり、二人は悲しい破局を迎える。

アデルがエディを愛する気持ちに嘘はない。
けれど、彼女の肉体も心もどこまでも女性。
エディとの肉体の快楽はこの上ない至上の歓びを与えるけれども、生き物の本能は
アデルの心を裏切って異性を求めてしまう。
なんだかねー…見ててものすごく切なくなってしまいました。
異質な嗜好(レズビアン)を持ち、未知の世界(アート)を垣間見せてくれる存在に強烈に魅せられる精神と、実在である肉体と欲望とに引き裂かれるアデル。
そう…もしかするとそれこそが青春ってやつなのかもしれませんが…。

もう一つ。
これを見てつくづく思ったこと。
恋愛と青春は障害があるほうがドラマティックで魅力的である。
今って何もかもがあけすけでありきたりで、そのぶんドラマティックな恋愛は描き
辛いと思うんです。
で、なんらかの禁忌なり障害なりを設定すると、どうしてもコッチ(同性愛)へと
向かわざるを得ないのかもしれません。


*原作があるんです、これ。フランスのコミック(=バンドデシネ)
 ちょっと読んでみたいなぁ。

http://books.shopro.co.jp/bdfile/2013/11/bd-15.html

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