微かに、春
微かに、春
うちのアパートのすぐ傍は長い坂道になっている。
そのちょうど中ほどのお宅の塀の上に毎年蝋梅の花が咲く。
先週、そろそろかと思って行ってみたけど
今年は特別寒いせいか蕾だった。
今日車で通りかかったら、あ。咲いてる。
用をすませ車を駐車場に止め、歩いて見に行く。
あの香り。
凛として清々しく甘い、その奥にひっそり、艶やかに。
白粉と、茶席で焚く上品なお香のような深みがある。
鮮やかな紅色や白、桃色の梅の花のような華やかさとは無縁の、
地味な黄色い花がハッとするほど人を魅了する。
梅の花がいままさに咲き誇る若い娘なら、
蝋梅は奥ゆかしくも情熱を秘めた和装のおんな。
もう一つ、よい匂いの花。
ご近所に咲いていたヒヤシンス。
子供の頃学校で水耕栽培した覚えがあるけれども、あの頃は白か褪せたブルー位しか
バリエーションがなかった気がする。
今はこんな深くてゴージャスな色合いがあるんだなぁ。
清々しい水のように透明感のある匂い。
寒い寒い日々だけどぽつぽつ咲き始めた花の香りを嗅いでいると、微かな春の気配を
感じ、ほんの少しだけ温かくなった気がする。

花の香りについて詳しく記述しているサイトを見つけました。
読んで香りを想像するのも面白い。
http://www.otalab.co.jp/fragrance/

コメント

nophoto
yukie♪♪♪
2015年1月26日13:24

HT様こんにちは!
またまた素敵な文章に出会えて嬉しいです。
読んでいて、そこまで来ているような春を感じました。
蝋梅の香り、良い香りとしか表現出来ないだろう私(汗)
>奥ゆかしくも情熱を秘めた和装のおんな。
う〜〜ん!素晴らしい表現です。
香りのサイトもブックマークさせて頂きました。
いつもありがとうございます。

HT
2015年1月26日21:14

yukieさんこんばんは。

蝋梅の香りは私の中で和の香りなんです。
子供の頃、茶道の先生だった叔母の茶室で茶花として何度もこの香りを嗅ぎました。
お湯を沸かす炉の炭の燃える匂いと花の香りが入り混じったなんとも言えない空気感を思い出します。
香りは記憶を呼び覚ますんですよねー…。

香りのサイト、楽しんでくださいね!