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アメリカ側でもイラク側でもなく、個人の目から見た戦争(戦闘)の現場を極限まで突き詰める。
だからこれは戦争映画だけどもむしろ、『あるタイプの人間』の生き方を描いた作品になった。
なぜ人は志願して自らの命を危険に晒そうとするのか?
なぜアメリカはベトナム、イラクを経験しても派兵をやめないのか?
その疑問の一つの答えを、重く重く突きつけられた気がします。
『人間には三つのタイプがある。狼と羊と番犬だ。』
クリスの父の言葉の本当の意味。
番犬は家(=ホーム・故郷)を未知の敵から守る為命を賭けて闘う。
しかし長引く戦争の中で彼は、徐々に闘う理由を見失っていく。
当分、この作品で描かれたことについて考えてしまうと思う。
たぶん、一生忘れられない。

音響効果はアカデミー賞を受賞しただけあって凄いです。
大きな音、小さい音、銃弾が空気を切り裂く音が、血と埃に塗れた映像のリアリティを倍増させています。
兵役を退き日常に戻ったクリスを長く苦しめるのも、この戦場の音。
脳の奥底の闇のなかから不意に浮上して忌まわしい耳鳴りのように響くそれが、
何も映っていないTVの画面から聞こえてくるシーンは背筋が寒くなりました。

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