HERO。
ネタバレしない程度でちょこっと感想を。

初っ端からちょっとクレームというか苦言というか、映画が予想外に面白かったので正直に言います。
実は、二回は見ないだろうなぁと思ってました。
DVDも買わないだろうって。
予告CMの久利生のビジュアルがあまりにもアレだったし、各種宣伝番組も出演者を
引っぱり出しておいて何がしたいのかさっぱり分からないし。
肝心の映画の見所に至っては謎。
もしやあまり出来が良くないのでは…と思っておりました。(酷いファンw)
でも今は息子と旦那を誘ってもう一回行こうと思ってるし、DVDも買います。
いや~あのCMはビジュアルダメダメなとこばっかり抜き出したんじゃ…?とすら。
普通はもっと作品自体の面白さをアピールするし、CMも工夫すると思うよ?
ICWRの悪夢から今に至っても全く進歩してないんだねフジは。
もし今後も映画製作に携わるなら、マーケティングとか宣伝の打ちかたとか真剣に
考え直したほうがいいと思う。
役者さんと監督とで座談会でも十分に面白いし(皆さん芸達者だから)、
シリーズ1、2、SP、映画一作目を時系列に並べて再放送するだけでも良かったし。

さて。
映画の久利生はファーストシーズンの久利生公平に近かったかも。
それはきっと雨宮が居たから。
雨宮と久利生の間にあって、麻木と久利生の間にないもの。
それって何だ?
映画を見るとなんとなく分かってきます。
それと、この映画って日欧取り揃えておっさんの花園(言い過ぎw)
特に川尻部長ーーーーーーー!!!惚れてまうやないか!!!!
渋いおっさん、カッコいいおっさん、可愛いおっさん、あなたの好みは?(違)
脚本がよく出来てまして、点と点が繋がって線になり…と検証してゆく過程が
気持ち良い。
鈴木監督の演出も冴え渡ってます。(トゥーマッチぎりのスリルも健在w)
個人的によい映画ってキャラクターが勝手に動き出し、世界に吸い込まれるような
感覚が味わえる作品と思ってるんだけど、それがありました。
TVシリーズから間をおかず映画を撮ったので、役者さんが役柄との一体感をそのまま持ち込めた強みもあるでしょうね。
役者さん同士の息がぴたっと合ったからこその、群像劇の面白さ。
…でも雨宮だけはかなりのブランクがある。
そこをどう処理するのかな?って興味もあったんですよ。
更に前作がキスと「約束します。離しません。」の誓いの台詞で終わったし。
HEROの世界でも現実の世界でも8年というブランク。
ここをどう持ってくるか、相当考え抜いたはず。
すんなり物語に入って行けたのは、脚本と演出がしっかり考え抜かれていたのと、
やっぱりこれは木村拓哉と松たか子との関係性によるものが大きいのだろうなぁと
私は感じました。
そのあたりは見る人によって違うかもしれないけど。

木村拓哉と松たか子。
『松タク』の二人を見て、ドラマとプライベートの関係性とがこんなに近いのって、考えたら凄いなと。
映画のキャンペーンのためにそれらしくお芝居してるのとは訳が違う。
ドライブしつつ、さりげなく過去の共演作品のシーンをオーバーラップさせながら、一方では二人ともそれぞれ家庭があり、子供が居て、月日は流れて、という現実を、ごく普通に会話に織り交ぜていく。
二人の関係性は幼馴染みみたいって書いたのはまさにそこで、何年も会わず・互いの細かい近況は知らなくても、パッと顔をみたらスッと入って行ける絶妙の距離感。
しかも一方ではドラマの中の木村拓哉と松たか子のイメージそのものを保ちつつ。
お互いに<わかって>いるんだよね。
木村にとってのお松、お松にとっての木村は、共演者という仕事仲間でありながら
それ以上の余人には伺い知れない強い絆で結ばれた相手だと。
でもって、絶妙にセクシーじゃないのがいい。
MAYUKO様とちょっとやり取りしたんだけど、相手がコウちゃんだったらまた全然
違うだろうね、と。
上戸さんだったらまた違うし、深津っちゃんだったらどうだろう?
『木村拓哉と◯◯さんのドライブデート』企画、また見たいです。
是非。

で、HERO TV。
前半のグダグダは予想通り。
フジは相変わらずだなぁとかなりガックリきてたのですが。
もうね、許すよと思った。
「今の僕があるのは、あなたのおかげです。ありがとう。」
彼がドラマで演じた役柄の職業に憧れて夢を叶えた青年たち。
あの泣きそうで泣かない木村の潤んだ瞳。
数字でもお金のためでもなく、ただただお芝居を愛し、誰かに何かが伝わると信じてここまで頑張ってきたんだなって、たくさんの人がそう感じたんじゃないだろうか。
ドラマのたびにみるみる痩せて、スマスマでの姿が役の空気を色濃く纏ってゆき、
時には心ここにあらずとさえ見え。
(その姿にめちゃくちゃ萌えるドSなヲタでごめんなさい)
「僕は皆さんに届けるだけ。」と度々口にするけど、誰がどんなふうに受けとってくれたか、実感する機会はほとんどないだろう。
ネットには良い言葉も(悪い言葉も)溢れてはいるけれど、どこまで行っても
一方通行のコミュニケーションに過ぎない。
だから木村っぽく言うと「目ぇ見て」話せた体験が本当に嬉しいものだったろうな。
良かったね、木村さん。
ただ…これは考え過ぎかもしれないけど、だからといって人のお手本になるような
役柄ばっかりってのは嫌ですよ。
涼みたいな犯罪者とか、ブラック久のようなクズ男とか、Shitaoみたいに人間離れ
したミステリアスな存在とか、どんどん挑戦してください。
お芝居で挑戦しがいがあるのはきっとそんな役たち。

コメント

nophoto
裕子
2015年7月20日10:53

HI様

昨日見て来ました。
実はHERO1,2もあまり満足してなかったのです。
木村さんは何かがもっと出来る筈だと。
でもロイド、アイムホームでその思いが可なりの程度
叶えられた後だったので、今回はとても安心して
楽しめました。

大人のHEROでした!
久利生も雨宮も松葉局長、ローラン大使もそして川尻部長も
ステキな大人!
勿論城西支部の愛すべき面々も。
そして扱ったテーマ(脚本)もこれまた大人。
(日本にあるいくつかの大使館を見学に行ったこと
ありますが、共産系のは厳重に警備されていて
入れません)
それなのにしっかりとエンターテイメントの
要素を持っていました。
明日また友人と見に行きます。
沢山のひとが見てくれたらいいなと思います。

それからある会からの帰り道、もう昔からよく知っている
方と一緒になったのですが、息子の検事さん、子供の頃
あのHERO1を見て検事を目指したそうです。
その息子さんのこと小さい時から知っているのに初めて
知りました!

キムラチルドレンたちに会って木村さん、涙ぐんでいましたね。
キムタクドラマだと言われながら演じたキャラクターが
こんなにも若い人々の運命に深くかかわったことに対して
感無量だったのでしょう。
役者冥利に尽きるとはこういうことなのでしょうね!
こんなに沢山のチルドレンを持つ役者ってどこにも
いないのでは?
しかも政治家のそれよりもっと水準が高い。

でもHI様が言われるようにお手本の他にも
別の顔を持つ役に取り組んで欲しいですね、
役者として木村さんの成長を助けるのはそちらの
方ですものね。

nophoto
ゆう。
2015年7月21日8:48

雨宮と久利生さんにあって、麻木さんと久利生さんにないものって、何でしょうか?
教えて頂きたいです。
映画を見て、雨宮の心の中は描かれていても久利生さんが、今雨宮をどんな風に思っているのか描かれていなくて、もう大切な人、離さないなどの言葉も忘れてしまったのかなっと感じて寂しかったのです。
別れた原因はなんとなく雨宮なのかなとは思いましたが…

HT
2015年7月21日20:38

裕子様

今回のHEROは大人の楽しめる内容になってましたよね。
大使館という治外法権の壁をどう突破するか、そのあたりの持っていきかたが秀逸だったと思います。
木村チルドレンという言い方は個人的にはちょっと「???」なんですけど(苦笑)
某政治家の◯◯チルドレンってのを思い出して。木村とそんなに年齢的に離れている
人たちでもありませんし。
彼のドラマに影響された人たちがたくさん居てくれる。
役者として木村が追求してきたリアリティが、形になったのかもしれません。
個人的には社会人としての彼の立場より純粋に表現者としての彼を見たいので…、
感動しつつも、そっち中心にはならないでね、と(笑)

追記)私のハンドルネームはHTです。IではなくカルチャーマガジンT.と同じTですw

HT
2015年7月21日20:53

ゆう。様、こんばんは。

>>雨宮と久利生さんにあって、麻木さんと久利生さんにないものって、何でしょうか?
教えて頂きたいです。

うーーーーむ。
難しいですねぇ…映画をご覧になってゆう。様は感じ取れなかったのですね。
なので、私がここで解説したとしてもご納得頂ける気がしないのですが(笑)

>>雨宮の心の中は描かれていても久利生さんが、今雨宮をどんな風に思っているのか描かれていなくて
 
これはあくまでも私の、感じ方ということで読んでいただきたいのですが、
映画(ドラマでも)って必ずしも人物の心情が台詞やお芝居で分かりやすく描かれているとは限らないと思うんです。実際、個人的に好きで見るタイプの作品は、むしろちょっとした言葉や醸し出す気配で、見る側に想像や推測する努力を要求されるものが多いので、自然とそういう角度で物語を解読してしまう癖があるのかもしれません。
雨宮と久利生にあって麻木と久利生にないもの。
それは『言葉にしなくてもわかるだろ』っていう久利生の、雨宮への絶対的信頼感というか…ちょっと意地悪く言えば『男の甘え、及びワガママ』というか。
例えば、久利生は麻木には「雨宮と自分を比べんな。」と諭しますが、雨宮にはこの手の言葉は一切言いません。
言う必要がないから。
一見そっけなく見えますが、雨宮に対しては隙があるんですよね。
麻木にはある意味パーフェクトな先輩として存在していますが、雨宮の前では弱さも我侭さも垣間見える普通の男の顔がある。
そのあたりを踏まえて、特にラストシーンは、とりわけ木村がデリケートなお芝居をしてるな〜…と私は見たのですが。いかがでしょう。

nophoto
裕子
2015年7月22日12:09

HT様

大変失礼いたしました!
お名前を間違えるなんて、注意力散漫な証拠でお恥ずかしい
限りです・・・

キムラチルドレン、確かにTVがやりそうな発想ですね(笑)。
でも木村さんがあんなに感動していた気持ち、すっごく分かります。
ちょっと教師と教え子との間の感情にも似ていて、若い時に
携わった子供がもうすっかり大人になり、それも同じ職業について
いてくれたり、また今やその道の指導者になっている者を
見たりすると、この仕事やっていて良かった、無駄ではなかったと
つくづく思います。やはり最大の仕事のやりがいは人とのかかわりの
中にあるように思えます(非常に個人的な考えですが)。


映画の久利生と雨宮の別れ方、いいですよね。
このような余韻のある別れのシーンはよく洋画にありますね。
さきほど見た海外ドラマでも昔は恋人同士だったけど
今は同僚。今でもお互いに惹かれあってはいるけど一緒には
ならない。女性が「過去のことはもうどうでもいいわ」。
何となく久利生と雨宮との関係を連想してしまいました。

HT
2015年7月22日18:24


裕子さんこんにちは。

HEROに代表される所謂職業ものはある意味、木村拓哉のスター性の象徴かも。
TVに映し出されるキャラクターに自分の夢を重ね合わせて…これは、役者さんに
夢を見せる力があってこそではないかと思うんです。
彼にその役をオファーする側はたぶんそういう意識はあると思うんですよね。
だからこそのお役所のタイアップ(笑)
木村は誰かを指導するつもりで演じているのではないだろうから、木村チルドレンは結果としてついてきたものかな、と。

いやあれは別れたのかどうかわかんないっすよ?
私の感想は裕子様とは反対で、お互いに過去を思いっきり引きずってるなー…って。
今でも思っています。
そこは見た人それぞれですよね。