偽装の夫婦。
ハマって毎週見てます。
天海祐希演じる主人公の女性の名前が何故『ヒロ』なのか。
MAYUKO様が以前、ヒロ=ヒーローだと指摘してらっしゃいました。
美人でスタイル抜群、勉強はできるしスポーツ万能。
絵に描いたようなパーフェクトな存在。
幼い頃、両親を事故で亡くし叔母に育てられたが、叔母の実の息子と娘はヒロの
強烈な輝きに圧倒され、萎縮し、歪んでしまった。
それを目の当たりにしたヒロは、自らのオーラを押さえ込み、読書に逃避し目立たぬようひっそりと生きている。
そのヒロに、叔母の娘・八重子が痛烈な言葉を投げかけるシーンがあって。

「いつも比べられてバカにされた。どんなに頑張っても背は伸びないし、勉強はできないし、スポーツもだめ。だからあなたと全然違うところで勝負しようと思ったの。可愛くておバカなふりをしてみたら、簡単に男の子を落せたわ。」
「完璧な従姉妹がそばに居る私の苦しみなんてあなたにはわからないでしょう!」

で、ヒロはこう答えたんですよ。

「私は八重ちゃんが羨ましかった。可愛くて愛嬌があるから何をやっても許される。
私だったら決して許してもらえないようなことでも。」
「あなたが思ってるほど私は幸せじゃない。私と自分を比べても意味ないよ。」

なんだか胸が痛くなりましたよ。
どっちが良いとか悪いとかじゃなくて…出来すぎの従姉妹に激しいコンプレックスを抱く八重子の気持ちも分かる。
でも彼女は狡くもあるんです。
ヒロの言う通り、自分と誰かを比べてる限り幸せにはなれない。
<わたし>は<あの人>じゃないから。
例え<あの人>にない部分で勝負して<あの人>に勝った!と思ったとしても、
それは<あの人>あっての相対的な満足感に過ぎないわけで。
結局<あの人>に自分を縛り付けてるってこと。
それでやっぱりアナタに勝てない!だから私は不幸!ぜんぶアナタのせい!
…なんて非難されてもね。いやいや、自分のせいだろうよ。
今まで黙って八重子を見守っていたヒロの心の中…。
羨ましがられ、特別な存在に仕立て上げられ、挙げ句に勝手に僻まれて。
望んでそうしたわけじゃないのにね。
あるがままのアナタでいることが周り中を傷つけるのよ!なんて言われたらさ。
それに気づいたからこそ、地味に目立たぬよう生きてるのに。
どうしていいか分かんなくなるよなぁ…。

いや〜。
ついつい重ねちゃいましたよ。
『木村苦』とそっくりだよなぁ。『ヒロ苦』(笑)
知らないところで度々名前を出されて、パーフェクトだからどうの、気楽に喋れない的なことを言われてたり。
ネタのつもりでしょうが、余計なお世話で耳に入ったらどんな気持ちでしょう?
きっついよね、きっと。

話が逸れた。

超治とヒロの偽装の夫婦がまた痛々しくてね…コメディだから軽く描いてるけど、
ものすごく切なくて絶望的なんだもん、ヒロの立場が。
心の底から愛してる男性と偽装とはいえ結婚したのに、相手はゲイ。
一番欲しいものをいつも目の前にしながら、永遠に手に入らない。
いっそ超治がめちゃ性格の悪い男ならよかったのに、本当にいい男なのよね。
でもヒロにだけは信じ難いほどの鈍感さ。
彼女に一番甘えてるのが超治。
沢村一樹ゲイ役が本当に上手いし、天海祐希に感情移入するなんて初めてだ(笑)
個人的にはレズビアンのママ・内田有紀がどこか怖くて気になります。
キャスティングが絶妙だ。

ただちょーっと気になるのが遊川和彦の脚本。
それぞれのキャラが立ってるのは素晴らしいんだけど、なんせ台詞で説明しすぎ。
ヒロの心の声も昨夜の5話はちょっと喋らせすぎ。
上に長々書いたヒロと八重子のやり取りのシーンも、せっかく坂井真紀と天海祐希が
対峙してるんだからさぁ。
長々喋らせるよりお芝居と演出で表現できたはずなのに。
言葉で説明すると、その場ではよーく分かるんだけど、余韻が残らない。
言いたいことは8割程度であとは何となくニュアンスで察して想像してください、
くらいが一番いい感じだと、私は思う。
偽装の夫婦。
着地点がまだ見えないんだけど、ヒロには幸せになって欲しいなぁ。
今の彼女は不幸すぎる…。

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