初めて実物を見た『稲葉曜変天目茶碗』
http://www.seikado.or.jp/collection/clay/001.html
世田谷の静嘉堂美術館
http://www.seikado.or.jp/about/index.htmlにて。
『岩﨑彌之助(彌太郎の弟、三菱第二代社長)と
岩﨑小彌太(三菱第四代社長)の父子二代によって設立され、
国宝7点、重要文化財83点を含む、およそ20万冊の古典籍
(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500点の東洋古美術品を
収蔵しています』(HPより)
入り口を入ってすぐ奥のガラスケースに収められた茶碗。
予想より小さい。
外側は光沢のない漆黒。
極シンプルで無駄を削ぎ落したフォルムは静かな佇まいで
鑑賞というより用の美。
中を覗き込んだときちょっと鳥肌が立ちました。
なんだこれは?…と。(写真1)
深い藍色でガラス状の肌いちめんに不規則に浮かび上がった白い斑紋。
斑紋の周囲は淡いブルーや金属的な虹色の微かな輝きに縁取られ、見る角度によって
輝き・色彩を刻々と変化させていく。
それは文様というより、有機的に伸縮し姿を変える妖しいいきものの肌のよう。
曜変の曜は耀と同じく<輝き>を意味する漢字だそう。
13世紀頃に中国の南宋で作られたこの茶碗の中に人々は宇宙の姿を見たという。
陶器を焼く過程の何らかの化学作用によって産まれるという<曜変>の茶碗。
完全な姿のものは世界で東京、大阪、京都に3個しか現存せず、その生成過程も未だ謎が多いというエピソードも含め、存在自体がミステリアス。
その隣りには重要文化財の油滴天目茶碗が。
こちらも南宋時代の陶器だそうで、稲葉天目より一回り大きい。
黒い肌にいぶし銀の油滴が浮かんだ姿はすっきりと潔く、陶器としての美しさは
こちらのほうが分かりやすいかも。
稲葉天目は人が用いるには妖しすぎて。
陶器としての美しさとはまた別ものな気がしたので。
*余談ですがスマスマの『ろくろの王国』覚えてます?
あのコーナーで木村さんが作った陶器が偶然『油滴天目』になってたんですよ。
(写真2)
陶器としての完成度とかは別として…なんかやっぱり持ってるなぁと(笑)
静嘉堂美術館では『金銀の系譜~宗達、光琳、抱一をめぐる美の世界』開催中。
素晴らしい和の絵画と工芸品を堪能できるのですが、うーーーーむ。
とっても優雅で美しいのですが…どうもこういう様式美みたいのはあまり心が
動かないのであった(ごめんなさい)。
唯一、抱一の手によるダイナミックな『波図屏風』
鈍い銀箔の巨大な屏風に黒々と太い筆致で奔放にワイルドに描かれたそれは、
まるで現代美術のよう。
うねり・盛り上がる水面から立ち上がった波頭が白く砕け散る。
その抽象性、放つエネルギー。
見る者を揺さぶり、心がざわざわするような、どこか不穏でさえある。
江戸時代、1815年、ちょうど二百年前の人が描いた波の絵が心を揺り動かす。
そうだ。
曜変天目についてWikiで調べたら面白い事実が。
実は日本にはもうひとつ曜変天目茶碗があったそう。
それを所有していたのは織田信長で、気に入って常に持ち歩いていたのが仇となり
本能寺の変の際、持ち主と運命を共にした…つまり焼失してしまったとか。
http://www.seikado.or.jp/collection/clay/001.html
世田谷の静嘉堂美術館
http://www.seikado.or.jp/about/index.htmlにて。
『岩﨑彌之助(彌太郎の弟、三菱第二代社長)と
岩﨑小彌太(三菱第四代社長)の父子二代によって設立され、
国宝7点、重要文化財83点を含む、およそ20万冊の古典籍
(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500点の東洋古美術品を
収蔵しています』(HPより)
入り口を入ってすぐ奥のガラスケースに収められた茶碗。
予想より小さい。
外側は光沢のない漆黒。
極シンプルで無駄を削ぎ落したフォルムは静かな佇まいで
鑑賞というより用の美。
中を覗き込んだときちょっと鳥肌が立ちました。
なんだこれは?…と。(写真1)
深い藍色でガラス状の肌いちめんに不規則に浮かび上がった白い斑紋。
斑紋の周囲は淡いブルーや金属的な虹色の微かな輝きに縁取られ、見る角度によって
輝き・色彩を刻々と変化させていく。
それは文様というより、有機的に伸縮し姿を変える妖しいいきものの肌のよう。
曜変の曜は耀と同じく<輝き>を意味する漢字だそう。
13世紀頃に中国の南宋で作られたこの茶碗の中に人々は宇宙の姿を見たという。
陶器を焼く過程の何らかの化学作用によって産まれるという<曜変>の茶碗。
完全な姿のものは世界で東京、大阪、京都に3個しか現存せず、その生成過程も未だ謎が多いというエピソードも含め、存在自体がミステリアス。
その隣りには重要文化財の油滴天目茶碗が。
こちらも南宋時代の陶器だそうで、稲葉天目より一回り大きい。
黒い肌にいぶし銀の油滴が浮かんだ姿はすっきりと潔く、陶器としての美しさは
こちらのほうが分かりやすいかも。
稲葉天目は人が用いるには妖しすぎて。
陶器としての美しさとはまた別ものな気がしたので。
*余談ですがスマスマの『ろくろの王国』覚えてます?
あのコーナーで木村さんが作った陶器が偶然『油滴天目』になってたんですよ。
(写真2)
陶器としての完成度とかは別として…なんかやっぱり持ってるなぁと(笑)
静嘉堂美術館では『金銀の系譜~宗達、光琳、抱一をめぐる美の世界』開催中。
素晴らしい和の絵画と工芸品を堪能できるのですが、うーーーーむ。
とっても優雅で美しいのですが…どうもこういう様式美みたいのはあまり心が
動かないのであった(ごめんなさい)。
唯一、抱一の手によるダイナミックな『波図屏風』
鈍い銀箔の巨大な屏風に黒々と太い筆致で奔放にワイルドに描かれたそれは、
まるで現代美術のよう。
うねり・盛り上がる水面から立ち上がった波頭が白く砕け散る。
その抽象性、放つエネルギー。
見る者を揺さぶり、心がざわざわするような、どこか不穏でさえある。
江戸時代、1815年、ちょうど二百年前の人が描いた波の絵が心を揺り動かす。
そうだ。
曜変天目についてWikiで調べたら面白い事実が。
実は日本にはもうひとつ曜変天目茶碗があったそう。
それを所有していたのは織田信長で、気に入って常に持ち歩いていたのが仇となり
本能寺の変の際、持ち主と運命を共にした…つまり焼失してしまったとか。
コメント
お知らせ有難うございました。
前回の展示会の際に見てきました。
釉と温度の奇跡的組み合わせで出来た素晴らしい
産物だと思いましたが、きっと照明の度合いに
よってもまた違った景色を見せてくれると思いました。
普通は天目台に載せて供するので普通の抹茶茶碗より
小ぶりですよね。
その時は各種の天目台も展示されてましたが、中でも
堆黒(これは日本製)のそれは見事な造りに魅せられました。
藤田美術館や京都大徳寺内塔頭(今は京都国立博物館
に委託されているとか)の曜変も見てみたいです。
3個の天目が中国でなく日本にしかないというのも面白いです。
一説によると当時の中国ではあの茶碗類は「失敗作」だと思われ、
日本人の禅僧がそれを持ち帰るのに何の支障もなかったとか(笑)。
確かに白磁や青磁を最高品としていた国としてはそれもありなんかと。
もしあの曜変の価値を認めていたなら、もっと量産しようと必死に
なっていて、今もいくつかは残っていても不思議ではなかったかも。
ミステリアスで面白いです。
信長なら絶対に持ち歩いていたでしょうね。
これも面白いです!
しかしいろいろの角度によって違った美しさを見せてひとを
虜にする国宝曜変天目茶碗、まるで木村さんのよう。
彼が偶然油滴天目茶碗を造ったのも暗示だったみたい。
稲葉曜変天目。
ネットで検索していたら、面白い記述を見つけました。
今回のリニューアルで静嘉堂美術館の展示は蛍光灯からLEDになったそうですが、
前の照明ではアングルによって天目が見え辛く、茶碗が小さいのと相まって、気づかず通り過ぎる人も居たようです。
>>一説によると当時の中国ではあの茶碗類は「失敗作」だと思われ、
日本人の禅僧がそれを持ち帰るのに何の支障もなかったとか(笑)。
記事によると中国では陶器の焼き上がりで吉凶を占っていたとか。
そのため予期せぬ斑紋が浮かび上がる天目は凶兆とされ忌み嫌われており、見つけ次第割って破棄されたそうです。現存する数が極端に少ないのはそういう背景もあったかもしれません。
木村の美しさは国宝級。
本当にそうですね。
神様の作った曜変天目的存在かもしれません。