ジーザス・クライスト・スーパースター [DVD]
DVD ~ グレン・カーター
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フォロワーさんからの大プッシュで買ってみました。
いや〜…これは凄いです。
面白い。色んな意味で語りたくなる作品。
ジーザスとユダ。
2人の複雑で愛憎に満ちたエピソードを、ロック・ミュージカルという手段でドラマティックに見せつけた作品。
神様の啓示=インスピレーションを言葉と奇蹟に変換し、大衆に語りかけ・共有し、世界を変える。
巨大なムーブメントを起こしたジーザスという男。
病める者を癒す<奇蹟>でカリスマとして君臨し、それ故命を落した男。
ユダの裏切り+磔という悲劇が彼を永遠の伝説にした。
キリスト教徒以外には共感し難い物語をユダの視点から捉え直したのは素晴らしい。
ユダの歪んだ愛、そして聖人と祭り上げられた者の苦痛・煩悶、そして死。
これがあったからこそトランアンユンはICWRを思いついたのではないか?
と思わずにはいられないほど、劇中そっくりな場面があります。
そして主役=ジーザスの金髪碧眼に白い衣装。
ダークヘアに暗い髪と目をしたユダ役とのコントラスト。
同性愛的な香りが濃厚に漂う。
1970年代の名作を2000年にリメイクしたもの。
ミュージカルはふだん全く見ないのですが、これはエキサイティングでした。

http://movies.yahoo.co.jp/movie/凶悪/345750/
もう一本はピエール瀧とリリー・フランキーの怪演(?)が素晴らしい『凶悪』
人の痛みを全く感じない、一見人畜無害で優しそうな男にリリー・フランキー。
人殺しが日常の一部となっている凶暴な男、ピエール瀧。
この二人の凄惨な暴力シーンが一応見所かな。
でも暴力シーン自体はそれほどショッキングでもなく。
(*この手の作品を見慣れてない方にはお勧めしませんが)
この作品の一番リアルに恐怖感を煽るのは、全編再現フィルムであるかのような、
映像のざらっとした手触り。
そして一番ゾッとしたのは執拗に描かれたグロテスクな暴力シーンではなく、
最後の…リリー・フランキーと記者との謁見シーンなのでした。
敢えて作り手の意図や主張を抑制し、ありのままの<事実>を再構成した映像。
ワイドショー的に被害者/加害者を単純な善悪論で切り分け、理解し難い心理を
<無かったこと>のように処理して垂れ流す感覚に慣らされてると、ものすごい衝撃を受けると思います。
事実は善悪の二元論で語れるほど簡単ではなく、誰もが心に<凶悪>を飼っている。
リリー・フランキーとピエール瀧はほんとに仕事選び(=役選び)が絶妙。
揺るぎない個性を持つ人でしか表現できない役柄を選んでいる。
個人的に山田孝之のお芝居巧いし好きなんですけど、ここでは完全に喰われてしまってるなぁと思いました。いいお芝居なんですけど…。
お芝居の巧い・ヘタとは別次元の存在感がモノを言う。
以前『その夜の侍』って映画を見たことがあるんです。
堺雅人主演で山田孝之が犯罪者役の。
よく似てるんですよ。撮り方とか映像の感触なんかも。
でも決定的に違うんです。
お芝居が。
凶悪犯罪もの映画の主人公にあまり役者さんっぽくない人が起用されがちで、
なぜかその方が評価が高い理由がよくわかった気がします。

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