2016年のさんタクは素晴らし過ぎてどこから書いたものやら。
冒頭のトークからハイテンションなさんま。
主に聞き役の木村。
聞き上手な人って自然に相手から話題を引き出す。
無理矢理相手をコントロールせず、聞いてますよ、と絶妙に間の手を入れる。
木村のツッコミといい声のトーンといい、さんまとの相性の良さときたら。
携帯の待受の話題から舞台に話が広がってLINEのスタンプからひょいっとむげにんの
共演者名ぽろりまでやっちゃった(笑)
喋りたくてたまらないんだから、アレは確信犯な気がしたなぁ。
さんまの初監督作品の主演は木村拓哉と決めているそうな。
ジミーちゃんの半生の映像化…ううむ。まんまはちょっとノー・サンキューだけど、
ストリッパーのヒモ役は是非チャレンジしていただきたい。
優しくてズルくて怠惰で、いい加減でどうしようもないけど可愛い男。
そんな男を見捨てられない情の厚い女。
まさに今のビジュアルで。ストリッパーは小池栄子。監督は大根仁さんで。
…なぁんて冒頭から既に妄想が膨らみっぱなし。

そこへ木村の提案で居合いを体験することに。
わりと気楽にだるま落としから。模造刀が折れてさんまの脛に命中のハプニング。
いや〜もうこの二人、持ってるなぁ。
あんな絶妙のタイミングでねー…やろうと思ってもできないよ。
そしていよいよ真剣を使った袈裟斬、返し斬。
ギラリと怜悧に光る抜き身を見た二人の反応。
いつになく真面目なさんま。
そして木村は…目つきが変わったと感じた。
冷たい刃。
去年、根津美術館で見た日本刀を思い出した。
焼き付け部分の灰青と刃の青白さのコントラスト。
うっかり手を出せば指の一本や二本、ぽとりと切り落としてしまうだろう残酷さは、
同時に強烈な引力で見る者の目線を捉えて離さない。
たぶん木村も似たような感覚に陥ったのではないか?と想像する。
真剣を腰に携え、すっと抜き放つ。
一瞬視線を落しぐっと目線を据える。
ああそうだ、役に入る時、こんな仕草をしてた気がする。
その目、ぞくっと鳥肌が立つような佇まい。
たかがバラエティのワン・コーナーではないか。
この鬼気迫る感じは何だ?
まさに、目の前に対峙した敵に斬りかかるような。
一閃、見事にスパッと切り落とす。
斬った後もしかし、彼の目に光はなく、輝くような達成感も見えない。
…その理由は指導の先生の言葉で分かった。
先生は常に対峙した相手との<斬り合い>を念頭に置いて話す。
それはつまり居合とは傷つけ合い・殺し合うための技、という意味。
より早く・効果的に敵のカラダに斬り込んで・切り刻むための技術の、無駄を省き
徹底的な効果を追求した先にある、型の美しさ。
真剣を構えた木村の目にはそれはもはや練習用の畳でなく人として映って
いたのかもしれない。
人を殺すではなく殺める・命を断つ、と表現する彼に、真剣を操る経験がいかに重いものだったろうと考えずにいられない。
同時に、これも木村流のポロリか?と思う。
むげにんの劇場公開は2017年だから『今』の彼を目撃するのは『二年後』。
タイムラグはやっぱり大きい。
万次ってこんなヤツ。
百人斬りの万次は、次々と人を殺めながら、<命を断つ>ことの重さをしっかりと
受け止めようとする男。
木村の中に万次が居て万次が木村でもある今の、自分を見て欲しい、と。
それにしても叔父貴ことさんまの木村愛。
もうメロメロとしか言い様がなかったですな(笑)
大丈夫か〜? 無理すんなー。 ええねん、それで!
…ほぼ孫を心配するじいちゃんですよ。
木村が居合いに成功すると我が事のように大喜び。あの、自分大好きなさんまが。
なんだろうなー。
木村って正真正銘の人たらしですなぁ。
ますますヒモ役に相応しい…。

そのメロメロの叔父貴もいざ「お笑い」となると目つきが違う。
口調はやんわりしてるけれども、ナニゲに高度なこと要求してないか?
「お前なら覚え早いから二時間で大丈夫や。」いやいやいやいや。
お笑いの殿堂で初コントなのに、それは酷ってもんだ。
木村が「吐き気がしてきた。」「急に眠くなってきた。」って初めて見た。
さんまの絶対的信頼感にも驚きだけども。
舞台前の、独特の緊張感。
「緊張する〜」「お前の緊張がうつったやないか。」←去年のスマコン舞台裏と同じ
舞台ソデで出番を待つ木村の可愛いこと!ヒゲあるしおっさんなのに。
舞台に出て来たときの、恥ずかしそうなばつの悪そうな姿がたまらない。
お笑いには詳しくないけど、今回のコントはネタもさることながら、二人のやり取り、河本と三人のやり取り、プラス客席という3パターンの構成でいかにテンポよく・飽きさせず・間の絶妙さで繋げていけるか?だった気がする。
さんまの「お前なら大丈夫や」の妙に自信満々の言葉の裏には木村のセンスへの
強い信頼感があったと思う。
それにしてもアリクイのかぶりものの木村のキュートなこと。
「受けてるw」のハイタッチ。
アリクイのくちばし同士をくっつけてキス。
基本無表情なキャラでボケまくりつつ、あとはさんまの絶妙なツッコミで見事に乗り切ったなぁ。
あの『LINEでいっぱい返信きてる♪』はアドリブだったのね。
後でさんまが「コイツ上手いこと受けやがって。」と悔しがってたのがツボ。

ラストの歌。
いや〜今日4回か5回目を見たんですけど…そのたびに泣きそうになるわ。
ブルースってね、声の良し悪しでガラッと印象が変わる音楽と思う。
若い頃の木村の声はブルースを歌うには甘過ぎたけれども、今は。
もともと少しだけハスキーな声が更に枯れて哀愁が加わった。
「悲しい色やね」は情景が目に見えるような歌詞だと思うんです。
あたしとあんた。
女の目線で男が歌う。
だからこその、歌詞と声との適度な距離感。
木村はそれを情感たっぷりに唄う。
女の目から見た男。
女の目からみた大阪湾の夜景。
切なく胸を締めつける歌詞を、女の心をなぞるように木村が唄う。
柔らかく丸く響く美しいギターの音色で彩られた別れのうた。
カメラに抜かれたさんまの目が、涙で潤んで見えたのは気のせいかな。
「また来年。」
の文字にホッとしつつまた切なくなる。

CM後のリハーサル風景はだから、すごくありがたかった。

コメント

nophoto
ハル
2016年1月6日14:02

本当に素敵な文章に感動しています。さんまさんと拓哉君の絶妙な関係が浮かび上がってきます。居合抜きコント唄どれを取ってもレベルの高さは他の追随を許しませんね。私も何度もリピしていますが飽きない。それほど素晴らしい番組でした。この拓哉君の才能をもっともっと生かす企画が欲しいですね。いつも読ませて頂き有難うございます。

HT
2016年1月6日22:20

ハル様こんばんは。

さんまさんと木村の関係性って唯一無二だなぁと再確認させてくれるのがさんタク。
例年ならパワー全開のさんまを木村がお守りしてる感じになるんですけど(笑)、
今年は居合もNGKも木村がいっぱいいっぱいだったので、さんまが見守る側。
木村にメロメロで可愛くてしょうがないんだろうなぁ…という関係性にめちゃくちゃ萌えました♪いいものみせていただきましたね〜。
木村はダンスも歌もコントも上手い。運動神経も抜群。
肉体を使って表現するために生まれてきたような人。
これら全てを生かし切るのが<演じる>ことだと思っています。