UOMOのグラビア。(編集しました)
2016年2月28日 キムラさんUOMO。
衝撃的で刺激的でちょっとすごい。
写真もインタビューも情報量多すぎで…何度も本を閉じ、時間を置いて、また見る。
この繰り返し。
篠山紀信氏による木村拓哉。
敢えてコントラストをキツく・イエローを強調した肌色。
反射で表情すらおぼろげに見える時ですらそれとわかる被写体。
いや、でもこれは本当に木村拓哉なのか?くしゃっと無造作に整えた前髪は時に目を半ば隠して輪郭もおぼろげな中に白っぽいピンクに見える唇が妙に肉感的。
見開きページのドリスヴァンノッテンのTシャツにプリントされたマリリン・モンローとシンクロするような顔で、サンローランの超ゴージャスなブルゾンにジーンズ、
履き古したように見せかけたスニーカーとスケートボード。
誰かを待っているのか…路地裏の日だまりでどこか物憂げなその顔の移ろう一瞬を
カメラは素早く切りとる。小さく、しかし鋭いシャッター音で。
ここに居るのは大人になりかけの青年。
実際は43歳の男性なんだけれども…彼のどこか内側にある深い処から呼び出された
青年のムードは、その表情やすこし投げやりで気怠い空気をカラダに纏わせる。
その写真と向かい合う形で配されたのは、着古してポケットが剥がれてなくなったようにわざと見せかけたオールインワンを身につけた若い男。
彼のしなやかなカラダの動き、どことなく不敵な笑みに、ごくカジュアルに見える服が実は慎重に・細心の注意を払って仕立てられたものとわかる。
そして彼が「見たのと袖を通したのではぜんぜん違う。」と語ったスタイリング。
ケミカルウオッシュのデニム。そしてロングコート。有り体に言って<ダサい>服。
これに純白のパンツ、極めつけに裸足に真っ赤なエナメルのビットローファー。
コートもローファーもこれ以上無い位に強烈で個性的で<エグい>デザイン。
余程パワフルな個性がないと完全に服に負けてしまうだろうこのコーディネイトを、
美しい顔をほとんど衿の後ろに隠し、ドラマティックに、印象的に演出する。
カメラが切りとったその瞬間は、パパラッチの不意打ちをかわす映画スターのようで
光が当たって茶色く見える右目はどことなく不穏で、懐に鋭く斬れるナイフを隠し
もった不良少年の気配もあり。
この一枚は着る人=演じる人の、中身の強さが試される。
手強い服を手なずけ・服の声を聞きながら、自分も・服も最高に魅せる。
初見の印象が「攻めてるな」だった。
撮り方もスタイリングも、それを着て・成って・見せてる木村も。
コーディネートを替え、場所を移動するごとに彼は違う顔を見せる。
ナイーブな少年。
自信満々なジゴロ。
二日酔いのミュージシャン。
秘密を暴かれるスタア。
ページをめくり・スタイリングが変わるたびに私は戸惑う。
「この人はどこの木村拓哉なんだ?」
彼がドラマチックに軽々と着こなし・演じる服たち。
あまりに自然すぎるので撮影のため用意された、とは思えない服たち。
中身を問われる服。
デザイナー、スタイリスト、カメラ、そして演じ手=木村拓哉の、服を媒介にした
セッションの記録かもしれない。
もうひとつ。
ヒステリックグラマーを纏ったブレない木村拓哉。
「ロックンロールのカリスマ」
どこに居てもどんな瞬間を、どんなシチュエーションで切りとっても、彼は彼。
若木信吾氏は『%』を撮った写真家さんでもある。
その時の木村の言葉を思い出す。
「若木さんは自分が『ここ!』と思った瞬間にはシャッターを切らない。敢えてそこを外して、え?ここ?って瞬間を切りとる。」と。
ヒステリックグラマーのアーカイブ的コーディネートを纏った木村が演じた、
たぶん何千何万と信者を抱えるカリスマ・ロックンローラー。
それらしいポーズをとりながら、どことなくリラックスモードがあるのは「ここ」を
微妙に外した瞬間を切りとっているから、かもしれない。
ラストページ、右半分の顔を隠した左側の顔が優しい。
そういえば若木氏は『%』でもスマショで発売したモノクロ写真集でも、
この「キムラの半分」を好んで撮ってるのだった。
木村拓哉の顔の、右半分は男性的で凛としている。左半分は女性的で柔和で優しい。
その不思議な見え方に、この写真家は魅かれているのかもしれない。
UOMOの木村のページを見て。
ファッション雑誌のグラビアは服をかっこ良く見せ・購買意欲をそそるための販促
手段であり、見ているものは紙に焼き付けられた画像に過ぎないとしても。
優れた写真は篠山氏が言うように「今一番いいものを、一番いい場所から見る」
…というのを、言葉でなく私の目と心で実感したな、と思った。
その瞬間、篠山氏がシャッターを切った瞬間の網膜に焼き付いた最上の<今>を
私も同じ目線を通して見ている。
レンズの向こうに居るのは木村拓哉。
そして、その瞬間の、彼・彼が表現する服・そして彼が演じる<服を着るひと>
*インタビューもこれまたたくさんの情報量とワクワクせずには居られない今後の
方向性(なんとなく、だけど)が見えてきて、とても一度に書き切れないので、
また明日。(か明後日)
衝撃的で刺激的でちょっとすごい。
写真もインタビューも情報量多すぎで…何度も本を閉じ、時間を置いて、また見る。
この繰り返し。
篠山紀信氏による木村拓哉。
敢えてコントラストをキツく・イエローを強調した肌色。
反射で表情すらおぼろげに見える時ですらそれとわかる被写体。
いや、でもこれは本当に木村拓哉なのか?くしゃっと無造作に整えた前髪は時に目を半ば隠して輪郭もおぼろげな中に白っぽいピンクに見える唇が妙に肉感的。
見開きページのドリスヴァンノッテンのTシャツにプリントされたマリリン・モンローとシンクロするような顔で、サンローランの超ゴージャスなブルゾンにジーンズ、
履き古したように見せかけたスニーカーとスケートボード。
誰かを待っているのか…路地裏の日だまりでどこか物憂げなその顔の移ろう一瞬を
カメラは素早く切りとる。小さく、しかし鋭いシャッター音で。
ここに居るのは大人になりかけの青年。
実際は43歳の男性なんだけれども…彼のどこか内側にある深い処から呼び出された
青年のムードは、その表情やすこし投げやりで気怠い空気をカラダに纏わせる。
その写真と向かい合う形で配されたのは、着古してポケットが剥がれてなくなったようにわざと見せかけたオールインワンを身につけた若い男。
彼のしなやかなカラダの動き、どことなく不敵な笑みに、ごくカジュアルに見える服が実は慎重に・細心の注意を払って仕立てられたものとわかる。
そして彼が「見たのと袖を通したのではぜんぜん違う。」と語ったスタイリング。
ケミカルウオッシュのデニム。そしてロングコート。有り体に言って<ダサい>服。
これに純白のパンツ、極めつけに裸足に真っ赤なエナメルのビットローファー。
コートもローファーもこれ以上無い位に強烈で個性的で<エグい>デザイン。
余程パワフルな個性がないと完全に服に負けてしまうだろうこのコーディネイトを、
美しい顔をほとんど衿の後ろに隠し、ドラマティックに、印象的に演出する。
カメラが切りとったその瞬間は、パパラッチの不意打ちをかわす映画スターのようで
光が当たって茶色く見える右目はどことなく不穏で、懐に鋭く斬れるナイフを隠し
もった不良少年の気配もあり。
この一枚は着る人=演じる人の、中身の強さが試される。
手強い服を手なずけ・服の声を聞きながら、自分も・服も最高に魅せる。
初見の印象が「攻めてるな」だった。
撮り方もスタイリングも、それを着て・成って・見せてる木村も。
コーディネートを替え、場所を移動するごとに彼は違う顔を見せる。
ナイーブな少年。
自信満々なジゴロ。
二日酔いのミュージシャン。
秘密を暴かれるスタア。
ページをめくり・スタイリングが変わるたびに私は戸惑う。
「この人はどこの木村拓哉なんだ?」
彼がドラマチックに軽々と着こなし・演じる服たち。
あまりに自然すぎるので撮影のため用意された、とは思えない服たち。
中身を問われる服。
デザイナー、スタイリスト、カメラ、そして演じ手=木村拓哉の、服を媒介にした
セッションの記録かもしれない。
もうひとつ。
ヒステリックグラマーを纏ったブレない木村拓哉。
「ロックンロールのカリスマ」
どこに居てもどんな瞬間を、どんなシチュエーションで切りとっても、彼は彼。
若木信吾氏は『%』を撮った写真家さんでもある。
その時の木村の言葉を思い出す。
「若木さんは自分が『ここ!』と思った瞬間にはシャッターを切らない。敢えてそこを外して、え?ここ?って瞬間を切りとる。」と。
ヒステリックグラマーのアーカイブ的コーディネートを纏った木村が演じた、
たぶん何千何万と信者を抱えるカリスマ・ロックンローラー。
それらしいポーズをとりながら、どことなくリラックスモードがあるのは「ここ」を
微妙に外した瞬間を切りとっているから、かもしれない。
ラストページ、右半分の顔を隠した左側の顔が優しい。
そういえば若木氏は『%』でもスマショで発売したモノクロ写真集でも、
この「キムラの半分」を好んで撮ってるのだった。
木村拓哉の顔の、右半分は男性的で凛としている。左半分は女性的で柔和で優しい。
その不思議な見え方に、この写真家は魅かれているのかもしれない。
UOMOの木村のページを見て。
ファッション雑誌のグラビアは服をかっこ良く見せ・購買意欲をそそるための販促
手段であり、見ているものは紙に焼き付けられた画像に過ぎないとしても。
優れた写真は篠山氏が言うように「今一番いいものを、一番いい場所から見る」
…というのを、言葉でなく私の目と心で実感したな、と思った。
その瞬間、篠山氏がシャッターを切った瞬間の網膜に焼き付いた最上の<今>を
私も同じ目線を通して見ている。
レンズの向こうに居るのは木村拓哉。
そして、その瞬間の、彼・彼が表現する服・そして彼が演じる<服を着るひと>
*インタビューもこれまたたくさんの情報量とワクワクせずには居られない今後の
方向性(なんとなく、だけど)が見えてきて、とても一度に書き切れないので、
また明日。(か明後日)
コメント