モダンボーイズ〜洒落男たち
2016年4月12日 キムラさん コメント (4)最近「つかこうへい正伝」を読みました。
今まで舞台ってほとんど見たことなかったんですけど、すごく見たくなって。
前に友達に貰った「モダンボーイズ」のDVDを見ました。
1994年2月の舞台。NHKで放映されたもののダビングです。
時代は日中戦争前夜の日本。
浅草のレビューの舞台を中心に繰り広げられる笑いあり涙ありの物語。
日本が戦争に突入する直前、嵐の前夜の時代の物語なので、予想してたのより
シリアスなんですけど、陽気なレビューのムードと上手い対比となっていて、物語に
奥深さを添えていたと思います。
木村の役は「共産主義者の帝大生&浅草のレビューのスター」=矢萩雄治
なんのこっちゃ?な設定なのですが、警察に追われて劇場に逃げ込んで身を隠すため衣装を着て舞台に出たら、歌とダンスで一気にスターになっちゃったという(笑)
主演は平田満さん。
舞台の平田さんを拝見するのは初めてですが、ほんっとに素晴らしい。
立ち居振る舞い、台詞の微妙なニュアンスの表現が見事で…上手い役者さんってこう
なんだなぁと感心してしまいました。
(つかこうへい正伝にもたくさん出てきました、平田さん)
さて、木村は当時22歳。
ところどころ台詞が聞き取れなかったり、感情表現のコントロールが難しいのかな?
と思うところはありました。
しかしあの存在感。正直、私の好みからすると青すぎますが(すみません)、
いや〜、やっぱこの人スターの器だな…と思わせる輝きがあるんです。
いきなり劇場に飛び込んできた青年が、いくら歌が得意と言っても突然スターに?
…などという野暮な疑問を一切抱かせない。
とりわけ印象深かったのが矢萩が舞台に立つ喜びを初めて実感した直後のシーン。
カーテンの陰からオスカル様みたいな金髪のカツラでふら〜っと出てくるんですが
その色っぽいこと。
すこし首を傾げて宙に浮いたような足取り、定まらない目線。
禁断の美酒を飲み干した者だけが味わう、麻薬のような陶酔。
エクスタシーの余韻が全身から匂い立つよう。
もう彼は元の共産主義者の帝大生にいは戻れないなと一目でわかる、素晴らしく
雄弁なシーンでした。
そして、やっぱり木村は声がいいなぁ。と再確認。
劇中「マイ・ブルー・ヘブン」を唄うシーン。
情感たっぷりのその声は、まっすぐに青い空へ吸い込まれていくようだった。
そしてダンス。
タップを踏む脚、キレのいいターン、スッと伸ばしたしなやかな腕。
彼が歌い・踊り始めるとまるで魔法のように舞台全体が輝きだす。
スマコンやTVの歌番組で散々見ては絶賛してきたのですから当然と言えばそうですが
…お芝居の中の歌やダンスって違うんですよ。
なんだろうなぁ…。
そうだ。
木村拓哉としてでなく、役(ここでは矢萩雄治)として表現している。
そんな感じなんです。
それがまた絶品でね。
やっぱり役に入ったときの木村拓哉は特別です。
役としてそこに居る。
22歳の彼にこの役を選んだのは大正解。
また楽しそうなんですよね…舞台の上の木村。
何もかもわすれて夢中になってるのが分かるんですよ。
力のある役者さんたちに囲まれて、安心して全力でぶつかってるのが分かる。
むしろ、頑張らないと返って浮いてしまうし、バランスが崩れてしまうし。
「これくらいでいいだろう。」の一切ない現場。
ドラマでも映画でももちろん、今まで見て来た彼はそうでしたが。
ちょっとね、切なくなっちゃいました。
こんなに舞台が好きだったのかー、と。
TVや映画の撮影はワンシーンごとに撮るじゃないですか。
瞬間ごとに架空の世界と現実とを行き来する。
でも舞台は、上演している何時間かは完全に「その世界の人」になれる。
余分なディテールを省いて描きたいことだけを集中して表現できる。
まさに「役を生きる」夢の空間なんだなぁと。
舞台に立って欲しいなぁ。
それこそレビューとかミュージカルとか。
今までは無理だろうなと半ば諦めてたんですけど、何となくこれからはありそうな。
そんな予感がしています。
この二曲が印象的に使われてました。
ラプソディー・イン・ブルー/ガーシュイン
https://www.youtube.com/watch?v=SSKBNiAdlgg
私の青空/歌:榎本健一
https://www.youtube.com/watch?v=AaLNCAArmgo
そうそう。
ワッツでちょっと話題になった「バナナ」
オレのバナナって台詞、ありましたよ(笑)
今まで舞台ってほとんど見たことなかったんですけど、すごく見たくなって。
前に友達に貰った「モダンボーイズ」のDVDを見ました。
1994年2月の舞台。NHKで放映されたもののダビングです。
時代は日中戦争前夜の日本。
浅草のレビューの舞台を中心に繰り広げられる笑いあり涙ありの物語。
日本が戦争に突入する直前、嵐の前夜の時代の物語なので、予想してたのより
シリアスなんですけど、陽気なレビューのムードと上手い対比となっていて、物語に
奥深さを添えていたと思います。
木村の役は「共産主義者の帝大生&浅草のレビューのスター」=矢萩雄治
なんのこっちゃ?な設定なのですが、警察に追われて劇場に逃げ込んで身を隠すため衣装を着て舞台に出たら、歌とダンスで一気にスターになっちゃったという(笑)
主演は平田満さん。
舞台の平田さんを拝見するのは初めてですが、ほんっとに素晴らしい。
立ち居振る舞い、台詞の微妙なニュアンスの表現が見事で…上手い役者さんってこう
なんだなぁと感心してしまいました。
(つかこうへい正伝にもたくさん出てきました、平田さん)
さて、木村は当時22歳。
ところどころ台詞が聞き取れなかったり、感情表現のコントロールが難しいのかな?
と思うところはありました。
しかしあの存在感。正直、私の好みからすると青すぎますが(すみません)、
いや〜、やっぱこの人スターの器だな…と思わせる輝きがあるんです。
いきなり劇場に飛び込んできた青年が、いくら歌が得意と言っても突然スターに?
…などという野暮な疑問を一切抱かせない。
とりわけ印象深かったのが矢萩が舞台に立つ喜びを初めて実感した直後のシーン。
カーテンの陰からオスカル様みたいな金髪のカツラでふら〜っと出てくるんですが
その色っぽいこと。
すこし首を傾げて宙に浮いたような足取り、定まらない目線。
禁断の美酒を飲み干した者だけが味わう、麻薬のような陶酔。
エクスタシーの余韻が全身から匂い立つよう。
もう彼は元の共産主義者の帝大生にいは戻れないなと一目でわかる、素晴らしく
雄弁なシーンでした。
そして、やっぱり木村は声がいいなぁ。と再確認。
劇中「マイ・ブルー・ヘブン」を唄うシーン。
情感たっぷりのその声は、まっすぐに青い空へ吸い込まれていくようだった。
そしてダンス。
タップを踏む脚、キレのいいターン、スッと伸ばしたしなやかな腕。
彼が歌い・踊り始めるとまるで魔法のように舞台全体が輝きだす。
スマコンやTVの歌番組で散々見ては絶賛してきたのですから当然と言えばそうですが
…お芝居の中の歌やダンスって違うんですよ。
なんだろうなぁ…。
そうだ。
木村拓哉としてでなく、役(ここでは矢萩雄治)として表現している。
そんな感じなんです。
それがまた絶品でね。
やっぱり役に入ったときの木村拓哉は特別です。
役としてそこに居る。
22歳の彼にこの役を選んだのは大正解。
また楽しそうなんですよね…舞台の上の木村。
何もかもわすれて夢中になってるのが分かるんですよ。
力のある役者さんたちに囲まれて、安心して全力でぶつかってるのが分かる。
むしろ、頑張らないと返って浮いてしまうし、バランスが崩れてしまうし。
「これくらいでいいだろう。」の一切ない現場。
ドラマでも映画でももちろん、今まで見て来た彼はそうでしたが。
ちょっとね、切なくなっちゃいました。
こんなに舞台が好きだったのかー、と。
TVや映画の撮影はワンシーンごとに撮るじゃないですか。
瞬間ごとに架空の世界と現実とを行き来する。
でも舞台は、上演している何時間かは完全に「その世界の人」になれる。
余分なディテールを省いて描きたいことだけを集中して表現できる。
まさに「役を生きる」夢の空間なんだなぁと。
舞台に立って欲しいなぁ。
それこそレビューとかミュージカルとか。
今までは無理だろうなと半ば諦めてたんですけど、何となくこれからはありそうな。
そんな予感がしています。
この二曲が印象的に使われてました。
ラプソディー・イン・ブルー/ガーシュイン
https://www.youtube.com/watch?v=SSKBNiAdlgg
私の青空/歌:榎本健一
https://www.youtube.com/watch?v=AaLNCAArmgo
そうそう。
ワッツでちょっと話題になった「バナナ」
オレのバナナって台詞、ありましたよ(笑)
コメント
つかさんのモダンボーイズのDVDご覧になったのですね。すごく見たいですね。お借りしたいくらいです。
つかさんの本の舞台はいくつか拝見しているんですが、心の血が飛び交うというか、熱があるというか。舞台を見ていてもあまり感動しないといつもつれあいに言われるのですが、つかさんの舞台は熱に圧倒されていく感じです。
平田さんも何度か拝見していますが、いつも素敵です。木村さんがいつの日か素晴らしい役者さんたちと、舞台で共演されるといいですね。
モダンボーイズはつかさんのじゃないんですよ…残念です。
つかさんの舞台、ご覧になったのですね!いいなぁ…。
ほとんど舞台を見たことがないのですが、つかさんの『広島に原爆を落とす日』
を読み、ものすごく感銘を受けてしまいました。
平田さんはTVや映画もすてきですが、舞台だとなおさら魅力的ですね。
木村の舞台。
悲願です…
モダンボーイズは違う方の作品だったのですね。
つかさんの作品、2作拝見していることが分かりました。つれあいはつかさん本人の演出の作品も見ているのですが、キャッチ―な女優さんを使った小劇場のノリの演劇といった感覚があって、拝見していなかったのです。
つかさん追悼公演の『広島に原爆を落とす日』を見て、その作品に圧倒されました。昨年は『熱海殺人事件』を見ることができ、この演劇を最初に見た人は本当に打ちのめされたのでないかと思ったほどでした。もっと早くに拝見できていればと残念です。
平田さんの出演作は3作拝見しているのですが、やはり『熱海』が一番印象的でした。
好きな女優の松たか子さんには『上海バンスキング』を、小池栄子さんにはこの作品を等々、いろいろ想像するのですが、木村さんはあまり思いつきません。やはりオリジナルは作品が似合われるのでしょうか?HT様はこんな作品というのはおありですか?
>>もっと早くに拝見できていればと残念です。
最近『つかこうへい正伝』を読んで、私も同じ思いを味わいました。
熱海殺人事件、まずは小説を読んでみようかと思っています。
もし木村に…なら私は迷わず『広島に原爆を落とす日』ですね。
といってもこちらは本を読んだだけで、たぶん舞台とはだいぶん違うと思いますが、
主人公の犬子恨一郎を。
百合子を柴咲コウで。
朝鮮王族の末裔の青年と、厳しい掟に縛られた孤島にすむ美しい女との、ふれあうことすらないのに恐ろしく濃密でエロティックで精神的にはSM的ですらある愛の形に
一気に読んでしまい、読み終わってからしばらくぼーっとなってしまいました。
木村は感情表現において非常に繊細で濃密な表現をする人です。
ただ、舞台の上と映像でのそれはまた違う。
頭のてっぺんからつま先までずっと視線にさらされているわけですし。
また舞台ならどんな突飛な設定でも見る人の想像力で補っていける面白さがある。
そこを、彼がどんなふうに自分の中に取り込み・放出していくのか。
彼の舞台でのお芝居を見たことがなかったので、正直想像もつきませんでしたが、
モダンボーイズの映像を見て、なるほど!と。
松たか子さん、小池栄子さん、お二人とも大好きです!
木村と舞台でがっつり組んでいただきたいなぁ…。
もう、願望ばかり膨らんで大変ですが(笑)