魔女の部屋には奇妙で美しく年月を経たモノたちがひっそりと息づいている。
角のあるケモノの剥製。骸骨。異教徒の匂いのする怪しげな十字架、キリスト像。
それらが真っ赤な魔女の部屋の真っ赤な祭壇に飾られている。
男は怪しげな祭壇に歩み寄り巨大なクチバシを持った奇怪な鳥の仮面を手に取ると
無造作に被ってみせる。
「どう?」笑いを含んだ声。
引き締まったしなやかな体つきできれいに筋肉のついた肩、小麦色の滑らかな肌。
仮面から覗いた瞳が光を反射してちかっと輝いた。
「それには力が宿っている。」と魔女は言った。
「太古の時代から人は神に近づこうとケモノを象った仮面を被ったのよ。」
ふぅん。
と男は興味無さげに言って仮面を脱いだ。
祭壇の前に腰掛け、脚を組む。
「行くの?」
「うん。」
「ずっと居れば?ここは安全よ。少なくとも悪意で傷つくことはない。」
男は答えずゆっくりと扉の方を向いた。
窓から差し込む淡い光が斜めから男の顔を照らす。
そのとき、男の身体の内側で揺らめく炎が魔女の目にはっきりと映った。
「行くね。」
「わかった。じゃあ、またね。」
「うん。また。」
男は扉を開け、振り向かずに出て行った。
角のあるケモノの剥製。骸骨。異教徒の匂いのする怪しげな十字架、キリスト像。
それらが真っ赤な魔女の部屋の真っ赤な祭壇に飾られている。
男は怪しげな祭壇に歩み寄り巨大なクチバシを持った奇怪な鳥の仮面を手に取ると
無造作に被ってみせる。
「どう?」笑いを含んだ声。
引き締まったしなやかな体つきできれいに筋肉のついた肩、小麦色の滑らかな肌。
仮面から覗いた瞳が光を反射してちかっと輝いた。
「それには力が宿っている。」と魔女は言った。
「太古の時代から人は神に近づこうとケモノを象った仮面を被ったのよ。」
ふぅん。
と男は興味無さげに言って仮面を脱いだ。
祭壇の前に腰掛け、脚を組む。
「行くの?」
「うん。」
「ずっと居れば?ここは安全よ。少なくとも悪意で傷つくことはない。」
男は答えずゆっくりと扉の方を向いた。
窓から差し込む淡い光が斜めから男の顔を照らす。
そのとき、男の身体の内側で揺らめく炎が魔女の目にはっきりと映った。
「行くね。」
「わかった。じゃあ、またね。」
「うん。また。」
男は扉を開け、振り向かずに出て行った。
コメント
もう最高に素敵!!
私は真っ先にハウルの部屋を連想してしまいましたが、
あの空間に座る男はもっと大人の風格を漂わせていますね。
「行くね。」
「わかった。じゃあ、またね。」
「うん。また。」
何があってもひるんだりはしない、という静かな覚悟を自らと魔女に
再認識させ、これからも戦いの場に臨むであろう男の姿に目頭が熱くなりそうです。
降り立った天使、と表現して下さった編集部の方の感性も素晴らしい。
人類の財産だからとつぶやいて下さったUpさんも素敵。
素敵なおひとには必ずや素敵なお仲間がいて下さる。
心強い限りです!
ごめんなさい、Uepさんでした。
お詫びして訂正させていただきます。
私もハウルの部屋を連想しました。
次に何となくShitaoを。
優しく繊細な顔をしているけれど瞳はまっすぐ外の世界へ向いている。
豪奢で恵まれた生活を捨て過酷な異境の地へと癒しの(そして恐らくは贖いの)旅へ
向かうShitaoの表情を連想したのでした。
蜷川実花さんは女性ならではの感性で木村のある部分を鮮やかに切り取り、
編集長の八巻氏はその姿に天使を見、
植田Pはかけがえのない財産と呟く。
それらこそ、彼が今まで築いてきたものの証ですよね。