キネマ旬報

2016年11月21日 キムラさん
【異形】
普通でない怪しい姿・形をしていること、またはその様。

真ん中に「普通のヒト」を置き、例えば「清らかー邪悪」「美しいー醜い」の基準に
従って磁石のS極とN極のような両端を持つ連続体を想像する。

例えば天使と悪魔。天女と鬼。聖人と悪人。

一見正反対に見えるが、実はある規則に従って連続する端と端である。
端に近づくほど姿形・あり様は極端になり、「普通の人」から遠ざかっていく。
そして「普通の人」との遠ざかり具合が同じであるという点において、
天使と悪魔は同質の存在であり、普通でない怪しい姿形は「異形」と呼ばれる。
目が眩むほど美しい人はありえないほど異様な姿をした人であり、
ひれ伏したくなるほどの聖人は大悪人と同じくらい異常者に見えるかもしれない。

異形。

と木村拓哉を表現した文章は感動的だった。
ロイドと家路久を例に出していらっしゃったのだが、異形の木村拓哉のイメージに
一番ぴったりくるのはICWRのShitaoだと思う。
腐臭漂う洞窟の子宮で蘇り、蛆虫と熱帯の雨に祝福されながら生まれた聖人。
人の痛みを背負い続け常に死にかけながら、血まみれになっても生き続ける。
私はその姿に木村拓哉の深い深い処にある「ある部分」を見たのだった。
それはまさに「異形」の姿。

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