どんなに頑張ってオペしても認められない時期が長かった。

沖田の言葉。
医者になりたかったけどたった一度の医療ミスで実家が廃業し、奨学金で
看護学校へ通ってナースになるしかなかった柴田。
「他に行くとこないから。」って1話で言ってた理由はそれか。
沖田先生、オペの腕は最高に素晴らしいのに言葉足らずで気持ちの表現が
最悪に下手くそ。
心の傷を覆った鎧が重すぎる柴田と気持ちがすれ違うのは当然の成り行きだけど、
不器用な者同士だからこそお互いすっと本音が言えたのかもしれない。
「自分を認めるのはそう簡単じゃない。」
子供の頃は壮大に引目を感じ、医者になってから出身大学でコンプレックスを抱え
シアトルではきっと言語や習慣の違いで苦しみ続けながら、黙々とオペをこなした。
知る人ぞ知る凄腕外科医となった今も睡眠以外オペのことを考えて過ごす沖田の
推進力の一つは「認められる自分」でありたいってことだと思う。
だから自分を卑下する柴田に余計イライラしてたんだよね。
彼は柴田の態度に過去の自分を見たのかもしれない。
柴田の代理でオペに入ったナースにわざとらしくため息ついたりして。
それ、完全なる八つ当たりですからね沖田先生。

立ち止まったり迷ったりは必ずある。
でもそこで終わりには絶対にしない。
目の前の命と向き合う。
その素晴らしさと達成感。
苦しむ誰かを幸せにできる自分を、認めること。

その困難さを知っている者の言葉だからこそ、心にまっすぐ届いたと思う。
深く頭をさげる沖田を見た時の柴田の笑顔。
彼女はたぶん、ナースになって初めて「救われた。」と感じたはず。
「僕はちゃんときみを見てるから。」
尊敬する異性にこんなふうに言われたらそりゃ好きになっちゃいますよ。
「沖田先生とオペできるから、」壇上病院に残ったと深冬に言い放つ柴田。
その瞳に恋する女の燃え上がる炎が見えた気が・・・いくら鈍感な深冬も流石に  
気づいたはずだ(笑)
直後、屋上に沖田を呼び出して(古典的w)容赦なく疑問を突きつける深冬。
天然・井川の無自覚なリークが発端とはいえ、柴田の一言に女の意地が炸裂か?
深冬みたいなタイプ時々居るよね〜・・・いい人だけど鈍感ってイライラするw
それは菜々緒弁護士先生も同じなようで、食堂の捨て台詞にはスカッとしましたw
彼女は壮大と不倫してる上、立場上その苦労を目の当たりにしてるから余計だろう。
絶対自分の方が壮大を理解してると思ってるだろうし、深冬はあの通りだもんね。
それなのに、なんだかんだ壮大は深冬に惚れ込んでるようで。
壇上病院次期院長の座を死守したいだけとは思えない。
手術中、深冬の幻覚見てパニックで過呼吸起こすほどですから。
本人の言う通りオペは無理。何か起きたら暴発して暴れだしそうで怖い。
すでに神経衰弱ギリギリのかなり危うい状況です。
不規則発言に菜々緒弁護士も怪訝な表情をしてましたし。
苦労して病院経営を軌道に乗せたのに、評価どころか院長からは邪魔者扱い。
妻はお嬢様育ち故か夫の苦悩を知りつつも専門分野の小児科に拘る。
典型的な娘婿の苦悩。
さらに院長が呼び戻した昔の恋敵は
「病院に残って欲しいなら患者を手術させろ」
「優秀なオペナースをやめさせるな」
と妻の手術を盾に無理難題を言ってくる。
壮大ほんと八方塞がり。そりゃストレス溜まるわ。

その沖田一光。
彼は「自分の」オペのことしか考えてない男。
目の前の患者を救う為に全力をあげ、知力の限りを尽くす姿は本当にかっこいいし、
手術中トラブルが起きても全く動じず処置する姿には惚れ惚れしました。
(脳手術中の「(出血)止まれ、止まれ」の声のトーン最高)
あの冷静さ。リアル。凄腕外科医はああでなくちゃ。
が。
井川先生との焼肉デートwで焼肉に箸を伸ばした途端「動かないで!」と
オペ中さながらの言葉で静止しちゃうとこはなんとも子供っぽい。
柴田にキツイ一言を放ちながら、「本心じゃないって分かってると思ってた。」って
ぜんぜん相手の気持ちに寄り添えてない。
人間関係を維持するためのスキル不足というか、いろいろ欠けている。
この二面性が実に上手いこと沖田一光という人格に収まってるなぁと。
壮大や井川への傲慢さと柴田への共感・柔和さの落差が彼の複雑さを象徴していて、
こういうのは木村の独断場でしょう、なんて思ってしまう。
才能と技術を盾に自分の意思を押し通すのに躊躇しない男。
強烈なコンプレックスを抱えながら全身全霊をかけて戦い、這い上がってきた
ファイティングスピリットを持つ男。
目の前の患者の痛みに共感し受け止める優しさと強さを持つ男。
沖田一光はやっぱり木村拓哉といろいろシンクロしてますよね。

それにしても井川先生は癒しですよねぇ。
天然なとこもあるけど、基本人の苦しみや悲しみをほっとけないタイプ。
柴田に惹かれたのはオペナースのプロとしての仕事っぷりや外見もあるけど、
彼女が抱える心の傷をなんとなく感じ取っていたんじゃないかな。
多分ご本人は気づいてないだろうけど、周りをいい感じにかき回して少しずつ
変えて行ってる気がします。
彼がこんなに魅力的に見えるのは松山ケンイチくんのお芝居の魅力。
アライフで本当に好きになりました。

コメント

nophoto
はなこ
2017年2月9日20:38

A  LIFE 1話から4話までのHTさんの受け止め方を拝見しいつもながらの奥深いとらえ方に心から敬意を表します。なかなかHTさんの様に上手な表現が出来ずコメントが書けないのですが登場人物が皆魅力的で素敵なドラマです。何度リピしたことでしょう。おっしゃるように木村君と沖田先生はやはり色々シンクロしていますね。これからどう動いていくのか本当に楽しみです。今後も素敵な文章に会いに来させて下さいね。

HT
2017年2月10日23:43

はなこさまこんばんは。

A LIFE、登場人物全員がキャラが立ってていい感じ。
何度リピしても同じシーンでハラハラして笑って、ちょっとホロリもしてしまう。
ドラマが面白いって最高です。
木村と沖田先生は似ている。
性格も境遇も、回を重ねるごとにその思いが強くなっていきます。
明後日は5話。もう折り返し地点だなんて!もっとずっと見ていたいですよね。
そしてこれからもよろしくお願いします。

nophoto
裕子
2017年2月11日17:23

HT様
いつも有難うございます。
4話はそれぞれが持つコンプレックスが分かった回でもあったように
思いました。

「どんなに頑張ってオペしても認められない時期が長かった」
これを言う沖田先生の表情がとても好きでした。
でも今は知る人ぞ知る名人医者。
その二つの状態をあらわすあのカット。
シアトルで手術現場に遅れないように前屈みになって走っていく
未熟な沖田先生の後ろ姿。
そして今、壇上病院での手術場に向かう堂々とした後ろ姿。
あのシーンを見てなぜか涙出そうでした。
(演出がすごく上手です)

コンプレックスは誰にでもあるけど、それをうまく昇華させていく
人間力とたゆまない努力があるひとが成功するのですね。
それをヘンな具合に他人と比べて恨んだり、やっかんだりすると
ルサンチマンに変貌してしまう。それを考えるとコンプレックスって
諸刃の刃かも知れません。

「無限の住人」のチケットゲットして来ましたが、もう特典付きは
売り切れていて、ファイルはもらえませんでした・・・
今日発売ですのに。

明日が待たれます。嬉しくて仕方ないです。
5話のご感想も首を長くしてお待ちしております!
よろしくお願いいたします。

HT
2017年2月11日18:52

裕子様、こんばんは!

無限の住人、特典付き売り切れとは。びっくりです。
嬉しいですが裕子様、残念でしたね。
圧倒的なトレイラーを見て、これは!と思った人が多かったのかも。

シアトルでの沖田、そして、今の。
おっしゃる通り演出が細やか。カメラも演者の全身の動きを捉えるカットが多く、
役者さんのお芝居を丁寧にすくい取っている印象です。
あの贅沢なキャスティングですから、無駄にしてはバチが当たりますよね(笑)

>>コンプレックスは誰にでもあるけど、それをうまく昇華させていく
>>人間力とたゆまない努力があるひとが成功するのですね。

そう思います。
沖田と木村がどうしてもオーバーラップしてしまう。
自ら高いハードルを設定し、苦労も努力も惜しまず必ずそれを超えてみせる。
そこには更に高いハードルが見えてくるわけですが・・・。
彼がもし井川先生のような境遇であったならまた違う人生を歩んだかもしれないけど、
そこは沖田にとってさほど問題ではないんですよね。
今、目の前の患者を救う。
その人の、家族の笑顔のために。
コンプレックスは推進力に昇華すべきで、拗らせてはいけませんよね(笑)

明日の5話、楽しみましょう!!