A lLIFE5 だから僕が切る。
2017年2月15日 TV迷って悩んで山本医師の医療ミスを指摘した羽村先生。
壮大になじられ、自分の手で恩師を葬り去った罪悪感で破裂しそうな気持ちが、
留守電に吹き込まれたその恩師の言葉で一気に堰を切るように流れ出す。
働く男は誰しも一度は暗がりで涙を流すんだろうか。
直前に子供と話す羽村先生が優しくてね・・・そんなことを考えてしまった。
山本医師は調査委員としての教え子の顔を見たとき、腹を括ったのでないか。
自分のやったことは医師としてあってはならないこと。
自分の技術に誇りを持てばこそ、後ろめたさは深く刺さった棘になる。
じわじわ肉に食い込むそれを、誰かに抜き取って欲しかったのかも知れない。
ならば、せめて想いを共有できる者の手で。
医者にとって一番大切なことは何だろう。
一度見失うと、原点に立ち返るのがどんなに困難か。
その羽村先生が「失うものがないから楽だよな!」と引っ叩いたのが沖田先生で、
やったこと自体はひどいけど、気持ちは分かる。
壮大は深冬の病気と壇上病院(=深冬の一部でもある)を抱えて煩悶する。
羽村はそれを何となく察して事情は分からないが助けたいと思っただろうし、
その延長に例のリークがあったはず。
だからこそ山本医師の医療ミスは他人事じゃない。
人間だもの。医師もパーフェクトじゃない。仕方ないだろう。
そんな中、沖田は超然と一人でいる(ように見える)。
彼はパーフェクトな医師ではない。度々感情的になる。頑固。
しかしある一点において、「一番大切なこと」を見失わない点において、
誰よりも強く身軽で正しく存在している。
「守るべきものがないから、そんな風に居られるんだ。」
羽村の言葉。
そうだろうか?
壮大は沖田を『カズ』と愛称で呼ぶ。
それは少年時代のパワーバランスを取り戻そうとする儚い抵抗にも思える。
壮大は沖田の前で取り乱し、泣き、お前しか頼る相手は居ないんだと言う。
俺は、深冬を愛している。
だから、深冬を切れない。
お前はもう昔のカズじゃないんだろう?
だったらきれるよな、彼女を。
冷静に。迷うことなく。精確に。
意識的か無意識的かは分からないが、壮大は沖田に残酷な要求を突きつける。
沖田は彼に同情し、慰め、大丈夫だよと言えない自分を不甲斐なく思う。
壮大はもはやライバルではなく、愛する者を失うかもしれない恐怖に震える、
患者の家族であり、救うべき存在だから。
かつての親友。恋人を奪った相手。そして救うべき患者の家族。
気楽な訳ないだろう!僕だって色々背負ってるんだ。
羽村の言葉にそう言い返したかったかもしれない。
だから、あのシーンが胸に突き刺さった。
井川と沖田の会話。
井川「(壮大は)深冬先生は愛する人だから。冷静にオペなんか(できない)。」
沖田「だから、僕が切るんだよ。」
あの時の沖田・・・ふっと横を向いて言葉を探し、向き直った瞳の哀しい明るさ。
あれは、泣き笑いにとても近かった。
何かを諦めて吹っ切ろうとする人の顔。
僕にしか切れない。
だから、彼女を<愛しい人>と思ってはいけないんだ。
10秒ほどの短いお芝居だけど、木村拓哉の真骨頂を見た気がした。
沈黙と微妙な表情の変化、声で沖田の本当の気持ちを全部見せる。
「一瞬をものすごく細かく分けて演じている」・・・山崎努さんの言葉を思い出す。
ラストで深冬と対面した時のお芝居もよかったな。
自分をなじるような深冬の言葉を黙って聞いている沖田。
未だにオペ方針が決まらず「大丈夫。」と言い切れない医師としての自分。
かつて(多分今も)愛した女を手放した不甲斐ない自分。
そして、救うべき目の前の患者に手も足も出ないこと。
浴びせられる言葉を受け止め、受け入れることしか今はできない。
言いたいことはいくらでもある。
でも今じゃない。その、心の声が聞こえてきそうだった。
それにしても毎回毎回、壮大とのシーンがなぜか一番色っぽい。
浅野くんが感情を爆発させるほど、木村は受けに回る。
浅野くんのアクションを受け止める木村のリアクション。
及川光博さんや松山ケンイチくんとのバランスも絶妙。
アクションを起こす役者さんが力のある人だから、木村も思い切ってやれる。
ふと、写真のセッションを思い出した。
相手が全力で来たらこちらも全力で返す。
そう、彼は本来は攻めでなく受けのお芝居が絶妙な役者さんなんだ。
HEROの久利生もちょっとそんなタイプだったけれど、ぐんとまた密度が高まった感じ。
気がついたら5話。
折り返し地点だね。
今発売中のFRAU。
短期集中連載の三池監督による「木村拓哉論」のようなコラム。
ここまで深く激しく木村拓哉を欲してオファーしてくださったのだなと。
この「本気」に木村が感応しないはずはない。
思わず涙が。
「もう少し後に撮っていたら」凛と万次との関係性が変わっていただろう、の下りも
最高です・・・子供と大人の間、ほんの一瞬の少女の輝きをすくい取る。
三池監督、とてもロマンチストです。
壮大になじられ、自分の手で恩師を葬り去った罪悪感で破裂しそうな気持ちが、
留守電に吹き込まれたその恩師の言葉で一気に堰を切るように流れ出す。
働く男は誰しも一度は暗がりで涙を流すんだろうか。
直前に子供と話す羽村先生が優しくてね・・・そんなことを考えてしまった。
山本医師は調査委員としての教え子の顔を見たとき、腹を括ったのでないか。
自分のやったことは医師としてあってはならないこと。
自分の技術に誇りを持てばこそ、後ろめたさは深く刺さった棘になる。
じわじわ肉に食い込むそれを、誰かに抜き取って欲しかったのかも知れない。
ならば、せめて想いを共有できる者の手で。
医者にとって一番大切なことは何だろう。
一度見失うと、原点に立ち返るのがどんなに困難か。
その羽村先生が「失うものがないから楽だよな!」と引っ叩いたのが沖田先生で、
やったこと自体はひどいけど、気持ちは分かる。
壮大は深冬の病気と壇上病院(=深冬の一部でもある)を抱えて煩悶する。
羽村はそれを何となく察して事情は分からないが助けたいと思っただろうし、
その延長に例のリークがあったはず。
だからこそ山本医師の医療ミスは他人事じゃない。
人間だもの。医師もパーフェクトじゃない。仕方ないだろう。
そんな中、沖田は超然と一人でいる(ように見える)。
彼はパーフェクトな医師ではない。度々感情的になる。頑固。
しかしある一点において、「一番大切なこと」を見失わない点において、
誰よりも強く身軽で正しく存在している。
「守るべきものがないから、そんな風に居られるんだ。」
羽村の言葉。
そうだろうか?
壮大は沖田を『カズ』と愛称で呼ぶ。
それは少年時代のパワーバランスを取り戻そうとする儚い抵抗にも思える。
壮大は沖田の前で取り乱し、泣き、お前しか頼る相手は居ないんだと言う。
俺は、深冬を愛している。
だから、深冬を切れない。
お前はもう昔のカズじゃないんだろう?
だったらきれるよな、彼女を。
冷静に。迷うことなく。精確に。
意識的か無意識的かは分からないが、壮大は沖田に残酷な要求を突きつける。
沖田は彼に同情し、慰め、大丈夫だよと言えない自分を不甲斐なく思う。
壮大はもはやライバルではなく、愛する者を失うかもしれない恐怖に震える、
患者の家族であり、救うべき存在だから。
かつての親友。恋人を奪った相手。そして救うべき患者の家族。
気楽な訳ないだろう!僕だって色々背負ってるんだ。
羽村の言葉にそう言い返したかったかもしれない。
だから、あのシーンが胸に突き刺さった。
井川と沖田の会話。
井川「(壮大は)深冬先生は愛する人だから。冷静にオペなんか(できない)。」
沖田「だから、僕が切るんだよ。」
あの時の沖田・・・ふっと横を向いて言葉を探し、向き直った瞳の哀しい明るさ。
あれは、泣き笑いにとても近かった。
何かを諦めて吹っ切ろうとする人の顔。
僕にしか切れない。
だから、彼女を<愛しい人>と思ってはいけないんだ。
10秒ほどの短いお芝居だけど、木村拓哉の真骨頂を見た気がした。
沈黙と微妙な表情の変化、声で沖田の本当の気持ちを全部見せる。
「一瞬をものすごく細かく分けて演じている」・・・山崎努さんの言葉を思い出す。
ラストで深冬と対面した時のお芝居もよかったな。
自分をなじるような深冬の言葉を黙って聞いている沖田。
未だにオペ方針が決まらず「大丈夫。」と言い切れない医師としての自分。
かつて(多分今も)愛した女を手放した不甲斐ない自分。
そして、救うべき目の前の患者に手も足も出ないこと。
浴びせられる言葉を受け止め、受け入れることしか今はできない。
言いたいことはいくらでもある。
でも今じゃない。その、心の声が聞こえてきそうだった。
それにしても毎回毎回、壮大とのシーンがなぜか一番色っぽい。
浅野くんが感情を爆発させるほど、木村は受けに回る。
浅野くんのアクションを受け止める木村のリアクション。
及川光博さんや松山ケンイチくんとのバランスも絶妙。
アクションを起こす役者さんが力のある人だから、木村も思い切ってやれる。
ふと、写真のセッションを思い出した。
相手が全力で来たらこちらも全力で返す。
そう、彼は本来は攻めでなく受けのお芝居が絶妙な役者さんなんだ。
HEROの久利生もちょっとそんなタイプだったけれど、ぐんとまた密度が高まった感じ。
気がついたら5話。
折り返し地点だね。
今発売中のFRAU。
短期集中連載の三池監督による「木村拓哉論」のようなコラム。
ここまで深く激しく木村拓哉を欲してオファーしてくださったのだなと。
この「本気」に木村が感応しないはずはない。
思わず涙が。
「もう少し後に撮っていたら」凛と万次との関係性が変わっていただろう、の下りも
最高です・・・子供と大人の間、ほんの一瞬の少女の輝きをすくい取る。
三池監督、とてもロマンチストです。
コメント