http://barfout.jp/codeofthefilm/01.php

とても興味深く読みました。
三池監督ってたぶん感覚的にはパンクなんだけど良い意味でしたたかだなぁ。
今、TVも映画も規制がキツすぎてやりたくてもできないことが多い。
やりたいようにやって、まんま「どうぞ。」と差し出せればどんなにいいか。
市原隼人くんが舞台挨拶で「ばっさりカットされている。」と言ってたのはそこか。
「尸良は捕食者。ハイエナをイメージ。」「快楽の為に人を殺める」と言ってたのに
初見では「え??なんか全然物足りなくない??」と思ってたんですよ実は。
撮っていたのに公開できなかった部分。
そこは是非、DVDでディレクターズカット版で発売していただきたいなぁ。
でね、三池さんのことばがとっても気になったんですよ。

木村拓哉がやることで映画の自由度が上がる。

最初はえっ!?と思いました。
それから、ああそうか。木村拓哉は自由になったんだったな、と。
「木村拓哉がやるんだから。」
「だから」、いろんな条件(主に数字)の縛りがあったのは過去の話。
今は、そのネームバリューや信頼度(共演者の方々の面子を見れば一目瞭然)が
自由度を上げる方向性に発揮される環境になったんですよね。
もしかして。
2015年の7月、FNSの会場で三池さんが出演の直談判に行ったときはすでに
木村拓哉を取り巻く環境が変化しつつあると認識されていたりして(想像ですw)
さて。
三池さんの目論見はピタリと当たって、無限の住人は田中泯さん曰く「新しい!!」
タイプの映画になった。
木村拓哉の生み出す強力な磁場に引き込まれ、渦に巻き込まれながら、
文字通り血と汗の結晶として世に送り出された『無限の住人』
興収はあまり芳しくないようですけれど、革新的なもの・見たことのないものは
時に攻撃的とみなされ、敬遠され・非難され不当な扱いを受けたりする。
その本当の価値が広く認識されるのには時間がかかったりもする。
原作ファンやああいうジャンルの映画が好きな人たちに見てもらえるまで、
随分時間がかかったよなぁと少々残念な感じもありますが・・・
カンヌでの星取り表を見るとかなりいい位置につけていて、海外の公開も続々と
決まってますし、変なフィルターなしに見ていただけてるんじゃないかなぁ。

などと考えながら昨日のワッツのことを思い出す。

木村のドラマがきっかけで日本語を学び始めた台湾のファン。
お父様とGLの影響でパイロットを目指しているという青年。
HEROきっかけで法律の仕事を目指し、実現した男性もいましたね。
沢山の人の人生の選択に影響を与える作品を残しつつ、一方では映倫のコードに
果敢に挑戦するパンクでしたたかな映画監督とスリリングな共犯関係を楽しむ。
これって実は、役者冥利に尽きるってもんじゃないのかな。
面白いのは、こんなにも振り幅の大きい作品に数多くチャレンジし、誰かの人生に
影響を与えるほどの強烈な印象のキャラクターをそれぞれ演じ分ける役者に
「何をやってもキムタク」なんて枕詞がついてしまうこと。
それこそ「キムタク」の放つ強烈な存在感に惑わされてる証拠とも思えたり。

ワッツでちょこっとだけカンヌの話、してましたよね。
冒頭のモノクロシーンと300人斬りで外連味たっぷりに登場するところで
カンヌのお客さんがどよめいたってのを聞いて、三池監督は狙いが当たって
ニヤリとしたんじゃないでしょうか。
感受性の強い木村が会場を埋めた観客のどよめきを聞いてどんな気持ちだったか。
想像すると幸せになりました。
そうそう。
英語の話でインタビュー映像で英語を喋ってたのを思い出したんだけど、木村曰く
体当たり英語、いい感じだなぁ。
難しい単語を使わなくても、伝えたい気持ちがあれば伝わるし、ちゃんと会話に
ユーモアがあって。インタビュアーも笑ってたよね。
オフィシャルな英語を話せるように頑張る!って言ってたけど。
中井貴一さんがおっしゃった言葉を思い出しました。
「これからが役者としてどんどん面白くなりますから。」

コメント

nophoto
裕子
2017年5月29日12:57

HT様

恥ずかしながらこの映画を木村さんが演るというまでこの監督のこと
全く知りませんでした。
でもいろいろなところでの対談を読んで、すっかりファンになりました。
HT様の言われるように日本では珍しくパンクだけでなく、したたかでそしてかなり自由な監督でいらっしゃる。
木村さんが「日本の(TVドラマや映画)は校則が多すぎる」と言っていましたが、そんな思いもあって三池監督とはとてもウマが合ったのではないかと思ったりしています。
カンヌでの評も良いですね、邦画4本のうちで最も評価が高いです。
やはり日本人で日本でしか作れないしかも手造り感満載の時代劇が
認められたのだと嬉しいです。

国内での興収はあまり高くないようですが、これから国外で沢山公開されれば
それも興収になるのでは、と思っています。外貨を稼ぐのですからこんなに
頼もしい「輸出品」はないと。

「革新的なもの、見たことのないもの。。。」
これはいつの時代でも東西を問わず起こる現象のようです。
あのベートーヴェンの「第9」シンフォニーでも今でこそ世界の名曲だと
言われていますけど、初演当時は長すぎる、途中で合唱の入るなんて、等々
と散々でワーグナーが再演するまでの約26年間お蔵入り状態だったとか。
一般大衆とはそんなものだと思っていますが、しかしいつの時代でも解るひとは必ず存在するのですから「無限の住人」をずっと応援していきたいです。

nophoto
SKY
2017年5月29日17:35

HT様

この記事で三池監督の映画への思いを少し垣間見れたような気がしました。

私も「映画の自由度が上がる」という部分に最初「え?」と思いました。
今まで「縛り」の方が多いのかと思っていたので。
使い手が「彼を呼べただけで大成功。木村拓哉だぜ?あれもこれも出来る。説得力も波及力も半端ない。出来る限りやってやろうぜ」という意味でしょうか。
口出しする人がいないって素晴らしい..本当に「去ってくれてありがとう」ですね。

「木村拓哉を一瞬たりとも退屈させないというのが私の闘いでした」
監督の言葉で一番心に残っています。

最高にロックな現場ですよね。痺れます。
何度も「木村拓哉でなければ」と仰ってくださった監督。
それがまた、これからの木村さんの強力な武器になりますね。
あのMaster Filmmaker Miikeが惚れ込み、彼を奮い立たせた人物と世界に発信されましたから..


興収は、GW公開で家族向け映画が大盛況の中、箱割が最初から不利だったという事もありましたが、全国キャンペーンで集まった層(Gファン)が口コミ戦力にならなかった事、ピンクのポスターにむげにんキャラ(原作ファンは若干引いてた..)、どこ向けの展開なのか、映画の良さが本来響く層に届けられなかったんじゃないかという点が勿体なかったかなと思いました(ICWRよりは格段に素晴らしかったですが)。ネガキャンにやられてしまったのも悔しいですが、試写の感想で上映前に盛り返せたはずなので..今の絶賛ツイの数々を見てると..。
生木村さんに会っての感激ツイじゃなくて、もっと感想呟いてよー映画サイトに投稿してよー映画の宣伝してよー何のための試写よーと思ってました(-_-;)

着火は遅れましたが、原作ファンの方々からの熱いコメントが本当に多くて何より嬉しいです。日本でのロングランが実現し、海外公開で更に火が付くんじゃないかなーと思ってますヽ(^o^)丿
しばらくは丸の内ピカデリーの住人になりたいと思います。大きなスクリーンで見れるうちに..

HT
2017年6月1日19:06

裕子さま。

私も三池さんの作品は映画館で見たの初めてです。
木村と三池さんは年齢も生きてきた背景も全く違いますが、根底で通じるものがありそうですね。
木村もよく「ロック」って言葉を使っていましたが、まさにそれ。
既成概念を壊し、自由に、全力で、何より演者も楽しむ。
血と汗を流しながら、苦しみながら、作り上げたものを差し出す。
もちろん映画はお金がかかりますし、人手もいるし、監督というのはそれらをコントロールしながら表現を追求するという、ある意味クレイジーな存在です。
木村にもこのクレイジーな部分があるなと私は思っているので。

無限の住人、続々と海外配給が決まってますね。
たくさんの方に見てもらって、日本の時代劇の面白さをアピールして、そして
木村拓哉の名前が印象に残ってくれればいいなと思ってます。

HT
2017年6月1日19:14

SKY様、こんばんは。

やっぱりそう思われましたよね?
「自由度が上がる」は、SKY様の解釈通りだと思います。
そうなんです。
事前のキャンペーンのまずさも結構響いてるなーと。
試写会をあれだけやって、映画の感想がほんの数えるほどなんて前代未聞ですよ。
ほんっとーーーーに役に立たない人たちですよねぇ。
スイーツw向けですか?な生ぬるいラインナップばかりだった元マネのせいなのか。
それともファンの質を元マネがきっちり見抜いていたのかわかりませんが。
「去ってくれてありがとう!!!」に尽きますね。

nophoto
裕子
2017年6月1日22:01

HT様、

少し興味ある本を購入いたしました。
ツイッターで「キムタクの演技力はこれまで不当に・・・」と書いて下さった
ら、アンチからバッシング受けた、と言っておられた中川右介さんの「世界の10大オーケストラ」(幻冬舎新書)を読んでみましたが、音楽の世界だけでなくその当時の政治、社会情勢に絡めた歴史的記述が大変に優れていると思いました。帝王カラヤンでさえも全て順風満帆とは行かないこともたびたびあったようで、なんだが安心いたしました(笑)。
どんな分野でもトップを続けていくというのは並大抵ではないようです。

関係のないことを書いてしまいましたこと、お許し下さいませ。

HT
2017年6月2日22:53

裕子様こんばんは。

その方のツイートは拝見しました。
映画にしろ音楽にしろお金をいただくプロならば基礎知識は当然のこと、作品への
自分なりの解釈や見解は必須ですよね。
それなくして悪口ややたら褒める文章なら素人にも書けるわよ。と思ってしまいます。