万次の肌。
二ヶ月くらい体を洗ってないイメージで肌の質感などわざと荒く仕上げています。
・・・と映画誌のインタビューでヘアメイク担当の方が語ってましたね。
ポスターの万次の足に血が滲んでるのは気づかなかったですけど手足の爪まで
汚して血を滲ませて、泥にまみれたふうに見せて。
とパッと見でわからない部分も細かく作り込んでいく。
カメラに映らないとこまで拘ってく意味あるのかなぁ?と言われるかもしれない。
でもそこまで拘っているからこそ生まれるリアリティってきっと、ある。
無限の住人は荒唐無稽なネオ時代劇であるけれども、いかにもな作り物では
死ねない男の耐えられない存在の辛さがあそこまで伝わらなかったかもしれない。
カメラに映りこまないとこまで拘って。
まさに木村拓哉のアプローチと同じだよなぁ。
しなくてもいいのに利き目を潰し、極寒の中で着流しに草履。
辛いばかりで無駄な労力を費やす無意味な行為といえばそうである。
しかしその辛さが万次に血肉を与えるリアリティに繋がったのかもしれない。
そういえば、アライフの多重結びの練習もだったな。
たゆまぬ影練、リアルへの拘り。
そうだ、殺陣の凄まじさもだった。
宮本武蔵でも体に剣を当ててリアリティを追求する撮影だったが、
三池監督はもっともっと挑発的だった。
300人斬りの撮影前「(万次を)殺しに行ってください。」と言い放ったという。
凄まじい言葉。
全身の毛が逆立つようなピリピリした空気だったろう。
その言葉に木村は、監督が同じ感覚で居てくれるのが嬉しかった、と。
クレイジーな監督とクレイジーな主役。
自分がカメラのフレームに映りこまなくても現場に立っているべき。
そうすることで次に映り込んだ時のリアリティが全く違ってくる、という意味の話を
田中泯さんも語っていらっしゃった。
根っこの部分で木村とシンクロしてらっしゃる、と嬉しかったのも思い出した。
原作ファン、二次元ヲタ、時代劇クラスタの方々の素晴らしい感想をたくさん見た。
三池監督と木村拓哉、そして同じスタンスのスタッフと共に作り上げた日々は
きっと間違いなく幸せなものだったろうなと、語る木村の声で実感した。
操上和美さんがスチール撮影に京都までいらしてふと目に止まった木村の手。
刀の鍔が当たる第二関節部分に剣ダコがある。
「素晴らしいですねぇ。」
撮らせてください、と操上さんの手による木村の手。
その一枚、どこかでいつか見れるだろうか。
大きくて肉厚で長い指の、ギリギリまで爪を短く切りそろえた木村の手に、剣ダコ。

そして早くも次の映画の話題がさらっと出てくるとは。

「検察側の罪人」
あらすじだけは読んだ。
すでに読破した人たちの感想から、最上と木村が一致しないと聞いて少々不安が。
ビジュアルもね・・・どうなんだろうか。とか。
しかし原田監督の過去作品の映像を見、blogでイメージする音楽と映像を知り、
少しずつ楽しみになってきた。
ウォン・カーウァイ監督作ですもの。
薄暗い中に立ち上がる鮮烈な色彩。物憂げでノスタルジックな音楽。
カーウァイ作品では役者の声の良さも大事なエッセンス。
トニー・レオンもコン・リーもチャン・ツイィーも声が良い。
そんな作品を愛する原田監督が木村を40男の香華といい、低い良い声と
太鼓判を押したのがとても嬉しい。
共演の二宮くんとすでに食事した、と。
前から彼のお芝居を褒めてたよね。
彼の役者としての姿勢・資質に不安はない、と。
さらにカンヌのフォトコールでの渋い男前っぷり。
最上、あんな感じかもしれないなぁ。なんて。
「検察側の罪人」が「無限の住人」のような愛おしい作品になりますように。

コメント

nophoto
ゆみ
2017年6月26日23:59

すごくお久しぶりです。
以前「容疑者Xの献身」の感想を書かせてもらった、
小田さんのファンでもあるゆみです。
ゆみって多いですね、、、。

「検察側の罪人」私も読破しました。
~最上と木村が一致しない~ってすごく楽しみじゃないですか。
一致しない役をやる。とてもわくわくします。

本当は極悪人の木村が見てみたいんです。
今だったら、できますよね、、、。
最上は罪は犯しますが、根っこには彼の正義があるわけで、、、。

いままでの木村くんだったら沖野だったと思いますが、
最上をやれる年齢になったんだなあと思うと感慨深いです。
二宮くん以外の配役も楽しみですね。

先に楽しみがあるって、、、幸せ、、、です。

HT
2017年6月27日22:31

ゆみ様今晩は。
お久しぶりです(^^)

「検察側の罪人」読破なさったんですね。
私は読むかどうか迷ってます。
木村のイメージから外れた役、ってのがいいですね。
原田監督がフィルムノワールで、とおっしゃっていたので楽しみです。

>>本当は極悪人の木村が見てみたいんです。

私もです。
ただし強烈に魅力的な人物像の・・・という条件付きでw
例えばシリアルキラーでも完全に破綻した精神異常者なんて面白くないので、
ドクターレクターのように深みのある、とんでもない怪物だけど惹きつけられる、
そんなキャラクターを演じてほしいですねー。
どんなキャスティングになるでしょうね。
楽しみに発表を待ちましょうw

ほんとうに!
先に楽しみがあるって幸せですね!!!

nophoto
たた
2017年7月13日8:13

HT様 昨夜、IHIステージアラウンド東京で、『髑髏城の七人~鳥』を見ました。劇場の情報をいただいていたので、開場に合わせて行ったので、暑い中で待つこともなく、助かりました。『~鳥』は阿部サダオさんを捨之助に据えたことで様変わりしていました。HTさんはたぶん『~花』の方がお好みだったのではと。金曜日まで東劇で『NEXT歌舞伎 阿弖流為』を上映しています。ご覧になりましたか?本当に素晴らしかったです。確か夕刻の部もあったと思うので、お時間に都合がおつきになるようでしたら、是非。

nophoto
たた
2017年7月14日21:30

HT様
 阿弖流為、東劇で8月4日までの上映でした。ご都合がおつきになるようでしたら。

HT
2017年7月15日0:21

たた様、こんばんは。

阿部サダヲさんと小栗くんとでは全くキャラクター違いますもんね。
主役を変え構成を変えても成立してしまうところに髑髏城という作品の力を感じます。
私は染五郎さんの捨之介が見たくてたまりません。

「阿弖流為」先週の土曜に見ました。
いやぁ・・・もう圧倒され物語の世界に吸い込まれ、夢中になりました。
阿弖流為も田村麿もカッコよく、鈴鹿はたおやか。
御霊御前と藤原稀継の邪悪さ妖しさ。
そして蛮行とくまこの純愛。
豪華な絵巻のような世界観に人の喜怒哀楽がしっかり描かれつつ、
人と自然のあり方みたいなものが根底にあり。
もののけ姫を彷彿とさせる深い作品ですよね。
そして歌舞伎役者さんたちの身体能力の高さ、芸の確かさ。
いつか歌舞伎の舞台を生で見るのが夢です。
ぜひ、染五郎さんで。