「みんなが木村拓哉のストーリーを見てるわけですよ。」

稲葉浩志さんの言葉。

「お帰りなさい」

リハーサル日、スタッフの誰かが貼り紙に残した温かい一言。


この二つが全てだなぁと思いました。


初見。
感情と感覚が揺さぶられ過ぎて、めちゃくちゃ長いジェットコースターに
連続で3回くらい乗ったみたいな…ノックアウトされた気分でした。
動揺してたのかも知れない。
これ程に赤裸々というか。
木村拓哉という存在に近すぎるんだよね、カメラが。
(クローズアップが多過ぎたけど、そういうのとは別で)
リハで見せたどこか寄る辺ない少年のような…胸が痛くなるような顔。
(たぶんノーメイクだと思う。ほんのり赤い頬とアイボリーベージュの肌)
サンセットベンチで一瞬、唇でチュッと親指を吸うような仕草。

そして、夜空ノムコウ。

前奏が終わりやや間があって、覚悟を決めたように歌いだす。
揺らぐ目線。
力を振り絞るように、万感の想いを込めて。
歌の世界が広がるにつれ、彼の両脚は大地を探り当て、踏みしめ、
「夜空の向こうには、もう明日が待っている。」で東へ向かって歩み出した。
微かに明るくなってきた空、徐々に薄れていく星、日の出はもうすぐそこ。
歌い終わった後も映し出すカメラ。
そこに居るのは甘酸っぱい青春の迷いをとっくに過ぎた男。
これこそが稲葉さんの言う「木村拓哉の物語をみんなが見てる」。
見る人はその表情に「私の知っている木村拓哉のストーリー」を重ねてしまう。
受け取ったそれぞれの見るストーリー。
それがどんなものだろうと構わない。
全ての目線を受けて立つ。
彼の「夜空ノムコウ」は私にはある種の決意表明に見えた。

One and Only。

大事なものが壊れるのは あっけない 夢みたい。
のフレーズを力強くサラリと歌う彼にはもはや「壊れたもの」への未練はない。

失うものがないなんて言えない。
何かを背負って走り抜く姿、悪くなくない?

「お帰りなさい。」
と書き残したスタッフ。
彼を支える沢山の人たち。
(ライブの為に物凄い頭数の人が動いてくれてた)
そして、アルバムを受け取った人たち、ライブに足を運んだ人たち、
SONGSを見ている人たち。
稲葉さんが言葉に託した彼の在り様を、歌い切った。
ライブの後、やり切った歓喜と安堵と自信で輝く顔と
One and Onlyを歌い切った後のハイタッチとが答えだと思う。

音楽のフィールドに帰還した彼を祝福する、全ての人たちへ向けて。

コメント

nophoto
coco coro
2020年3月3日0:11

HT様

こんばんは。
とまたご挨拶だけになってしまったらごめんなさい。
HT様の素晴らしい文章にウンウンと頷きながら、今またSONGSをリピしていました。

息子と木村さんのライブに参加した後の一番の楽しみがこの番組でした。
音楽番組の中で木村さんに出て欲しいと思っていたのはもちろんですけど稲葉浩志さんとの対談まであるとは。
息子はB’zファンでもありますから、本当に嬉しそうでした。
Flowでゲストの方々と話す木村さんがそうであるように、稲葉さんとのお話もどちらかと言えば稲葉さんの方が饒舌な感じで木村さんは穏やかな笑顔で本当に素敵な二人の関係性が垣間見られて息子と一緒に喜んでいました。
男と女だったら交際していたというだけあって、期間はそんなに長くなくても濃密な付き合い方とわかるくらいお互いをリスペクトし理解する者同士の信頼感と温かさが感じられました。
歌に対する木村さんの背中を押してくれた稲葉さんからの手紙は常に現場のバッグに入っているらしく、稲葉さんは「早く捨てないと」って言ってる感じがまるでラブレターみたいで大人の二人がとても可愛いらしかったです。

稲葉さんの口から自分がB’zを離れてソロデビューした時の気持ちまで語っているのを聞いて「本当にキムタクが好きなんだよな」と息子は驚いていました。
以前息子が録画していた稲葉さんのライブ前の合宿の様子を見た時、夏でも喉のためにエアコンを使わず冷たい飲み物も飲まず黙々とトレーニングしているストイックな稲葉さんを見てアスリートみたいな人なんだと思ったことがあります。トップスターであり続ける稲葉さんと木村さんだからこそ分かる二人だけに通じるものがあるんでしょうね。
木村拓哉が背負ってるストーリーを皆が知っていて見ていて、どんなものが出てくるかプレッシャーも大変だろうけど、このキャリアで初々しさを持てるのもラッキーだと思うという稲葉さんの言葉がとても優しく響きました。

あのスマスマに稲葉さんが出演して『羽』を歌ったのはやっぱりキムタクを応援するためだったんだよなと息子が思い出したように言ってました。
One and Only は木村拓哉を知ってる稲葉さんからしたら苦労して捻り出した言葉ではなく、あの歌詞はめちゃくちゃリアルですよと。
そんな稲葉さんの気持ちを見事に歌い上げたソロシンガー木村さんの本当の意味でのNew StartがSONGSで見られて本当に嬉しかったです。

木村さんがこれまで自分を支えてくれた沢山の人達にいつも感謝していて、一緒にステージを作り上げてきた絆が『おかえりなさい』というあのメッセージに込められていたんでしょうね。テレビで見ていた多くのファンもまた心から「おかえりなさい」と画面にむかって言っていたと思います。

夜空ノムコウは本当にSMAP時代の歌とは全く別な彩りと響きを感じて不覚にも涙が出てきました。木村さんの潔いほどの覚悟が感じられて、この人は本当に武士みたいでそんなに背負わなくてもいいのよと言ってあげたくなります。

個人的にはほんの少しでしたけど、Your Song を聴けたのも嬉しかったのです。
エル・ジャポンの森山さんが写し出した新宿の街の木村さんはまさに Judge eyes の世界であり、Your Song は私にとってソロシンガー木村拓哉さんそのものと思えるほど心震わされる歌です。本当に木村さんの声で聴くと堪らなくなります。
あの世界観を是非映像で残してくださいと切に願っています。

とにかく木村さんの今のビジュアルは最高です。
あんなモノクロの世界で見事に唯一無二の存在感を出しながら、少年のように笑うなんてズルいです。

nophoto
裕子
2020年3月4日21:15

HT様

いつも素敵な文章で語って下さり有難うございます。
「SONGS」をリピートする毎に、そういうことか、と納得させていただいております。
今回のソロコンサート、稲葉さんの後押し嬉しかったでした。
”完璧な準備をしてからやりたいだろうけど、それではどんどん時が
経ってしまう、今出来ること100%やればいい”
という意味を木村さんに言ってくれましたよね。
ふと「生きている間は何事も延期するな、なんじの一生は実行また実行であれ」
というあるドイツの文豪の言葉を思い出して、それと同じようなことを木村さんに言って鼓舞して下さった稲葉さんに感謝、感謝でした。
そして素直にそれを受け取り、考え実行してくれた木村さんにも感謝です!

途中「NEW START」「Your Song」「My Life」も少し入ってとても嬉しかったでした。
「サンセットベンチ」「夜空のむこう」も木村さんが歌うと、どうしてこんなに
感動するのだろう、と思いました。恐らく彼はこれらの歌をシャンソンと同じ意味合いを持たせて歌っているのではないかと思いました。シャンソンは、一遍の短いドラマであって歌詞が物語性を持っているものが多いとされていて歌い手は自分の個性を活かし、歌を演じそして歌うことで歌に生命を吹き込む、とされています。まさに木村さんの歌がそれではないかと(もしかして勝手な解釈かも知れませんが)。
歌は何度も歌い続けることで、歌に限らず、自らのものになっていきますよね。
One and Onlyが森田大道さんの写真と共に圧巻でした!MVよりも感動しました!

これまでGの歌は好きでありませんでした。どの曲も声質の違う五声が
時に地声で時に音を外し、まるでそれぞれ素材の違う布のバラバラなパッチワークのようで、聴いてられるか、って感じでした。
甥たちの「木村以外はまるでド素人じゃないか」という嘲笑にも耐えねばなりませんでしたから(笑)。それが今回ソロアルバムを贈ったところ、「いいね!」って感心してくれました。
木村さんの歌の上手さには定評があります。それが分からない御仁もいるようですが、その人自体が音〇なのかも知れませんね。

これからは木村さんのソロなら昔のGの歌もアレルギーなしに聴けそうです。
それにしても森田氏とのセッション、アルバムにして欲しいです。
SONGSに出ていた写真、まだ見たことのないのもありました。勿体ないです。
是非ソロアルバムにしていただきたいです!

HT
2020年6月19日20:36

coco coro様こんばんは。

超遅いレスでごめんなさい。
SONGS最高でした。
稲葉さんとの関係性のほのぼのと温かくてでも馴れ合いにならない感じとか。
スタッフさんの心遣いとか。
プロとプロの心地よい距離感が感じられます。
B’zファンの息子さんの言葉、嬉しいですね。
SENSEのインタビューでドロスの洋平さんが「木村さんは一人一人に語りかけるように歌う」と仰ってたとのくだりで、ああ!まさに私が感じてたのはそれだ!と。
もうすぐライブDVD発売ですよね。
あの世界にどっぷり浸りたい!!

HT
2020年6月19日20:45

裕子様こんばんは。
レスがこんなに遅れてごめんなさい。

>>シャンソンは、一遍の短いドラマであって
歌詞が物語性を持っているものが多いとされていて歌い手は
自分の個性を活かし、歌を演じ歌うことで歌に生命を吹き込む、とされています。

まさに木村さんの歌はこれですよね。
彼の歌には伝えたい心がある。情景がある。
人生の積み重ねから湧き出すものを思い描きながら歌っていると感じます。
その表現の精度を何年もかけて磨き上げたんだろうな。
彼は役者なので歌も写真もその延長上にある表現なのでしょう。
表現に自分自身と人生の積み重ねがにじみ出るのを肌で感じているからこそ、
時間と手間をかけ全力で作品に挑む。
そんな木村さんの姿勢にただただ感動です。