幸せしかない空間。
麻薬のような多幸感。
光と陰とめくるめく光線。シルエットとライト。
心臓のリズムで刻々と変化する魔法の呪文のようなグラフィック。
あの時の自分のドキドキ感をなぞるような導入。
地面から高く飛び出した姿はさながら召喚された魔法使い。
一曲目がNEW START。
敬愛する人生の先輩から授けられたオールド・ルーキーのキーワード。
このライブのトータルイメージは木村拓哉自身の提案なんだと確信しました。
キラキラの顔。
キレッキレのダンス。
ステージの端から端まで縦横無尽に軽やかに駆け回り跳ね回る。
背中に翼が生えたよう。
声は、時に力強く挑むように。甘く誘うように。温かく抱きしめるように。
少年と青年と熟した男の香り。

ライブでは目まぐるしく動く姿を追うので必死。
映像だと細かいところまでじっくり繰り返し見れて、でも印象自体は変わらない。
一曲目から間髪入れずにブルースハープ。
弱い僕だから。
SMAP時代の映像で見たそれはまだ何となくリアリティのない感じだったけど、
2020年バージョンのそれは彼が歌を引きつけ、心の内から湧いてきた感情を
全身で表現してる感があって抱きしめたくなるような可愛さに満ちている。
あのストレートさは清志郎さんにしか書けない歌詞だ、とインタビューで語っていたけれど、男の弱さ・可愛さに骨太なギターとドラムのロックな音が絡むこの曲を
木村拓哉のリアルな歌に昇華したのは歌とともに彼も成長した証。

そしてyour song。
CDで聴いた時から大好きで、私の中では何故かアイカムのShitaoに重なった。
ライブでも聞いていて涙が溢れた曲。
映像で見るとライティングも音もパーフェクトだったのが分かる。
シンプルで派手な演出は一切ないのが返って心にぐさっと刺さる。
僕は透明な名も無き歌。
君に届いたいま、これからは君のうた。
きみに出会って初めて「きみのうた」として存在できる、だから「your song」。
歌を受け取った、ライブ会場に居るすべての「きみ」に。
君が居るから、透明な僕は「君の歌」で居られる。
木村拓哉という人が常日頃語る
「受け取ってくれる人が居るから」
「僕は配達人」
という言葉と、歌の歌詞がピッタリと重なったのです。
ステージ上で光に包まれながら君の歌を歌う木村拓哉。
「無責任ななぐさめは嫌いだけど、この体はその為にできてるみたい」
そっと自分を確かめるようにTシャツの裾を軽く引っ張る。
「イヤホンを外してよ」
音楽を、狭く暗い空間から明るい大気の中へ解き放つような仕草。
どんな時にも君のそばで鳴り続けるよ。
ぼくに飽きても時々は口ずさんでね。(そうすれば僕は君の歌で居られる)
これは祈りの曲なんだ。
MVでも宇宙や雪に閉ざされた大地のイメージが孤独感を強調してましたね。
ぼくの歌は孤独。だけど空間のどこにでも、きみが聞き耳をさえたてたらきっと
聞こえてくるはず。という解釈で見てたんですけど、どうでしょうね。
木村さんの表現の仕方がとても好き。
そして一瞬の十字架のモチーフやなんかもやっぱりShitaoに見えてしまった。

ダンスコーナー1
前半の初々しさから一転、本領発揮なセクシーさ 笑
衣装替えをあんな風な演出で魅せてしまう、なんて粋なんだ!
セリーヌのスーツだと思うけど、赤のコサージュが色っぽくてため息。
二人目のダンサーさんがハットを手渡して隠しながらのキス。
あのあと、一瞬舌舐めずりするんだよね。油断も隙もない!
12年ぶりのStyle2020年だとご本人仰ってましたけど。
ピースフルで祝祭感覚溢れるSMAP時代のStyleも大好きだったけど、
2020年のダンディでセクシーで銀幕のスターみたいな演出が素敵。
ため息ものの美しさ。
この曲はこの先も毎回ライブで趣向を変えて魅せて欲しい。
きっとずっと好き。
最後の後ろ姿マイケル・ジャクソンの 「 This is It 」じゃないかと思うんだけど。
ポーズが絵に描いたようにバシッと決まるのが木村拓哉だ!って気がする。
からの SHAKE。
これね、正直どうなんだ?と思ってたの。
一人でアレを歌って踊るの?って。でも我らが木村拓哉。さすがです。
一人で!あのゴージャスで!バブリーな!世界観を見事に魅せてくれました。
この曲、もともとジャジーなアレンジで、聞いてるだけで体が動き出す。
ダンサーさんもめちゃくちゃ楽しそうだしビシッと決まるラインダンスのパート。
最後まで見事に歌い・踊りきったスタミナ。
ハッピーでキラキラした世界に永遠に浸っていたくなります。
らいおんハート。夜空ノムコウ。$10。俺たちに明日はある。
どれも新しい魅力で歌が蘇った感。
90年代のSMAPの楽曲は名曲揃いだよねぇ。
歌ヘタイメージがついちゃって曲たちが可哀想だったけど、
泥を洗い流し綺麗に磨き上げて本来の輝きを取り戻した曲たち。
歌たちがこれからもいろんな人に伝わって歌い継がれるといいなぁ。
$10はダンスも印象深い。
昔、スマスマの歌コーナーで「情熱大陸」の曲の時と同じ華麗なるターン。
バレエダンサーのように片手を高く上げフワァっと優雅にまう。大好き!
$10ってもともとファンキーでカッコいい曲なんですよね。
モダスマライブのドラキュラ風演出も好きだったけど、シンプルな分、
今回のが断然曲の良さが光る。
ドラマの主題歌コーナーは懐メロ感もありつつ、やっぱり名曲は褪せないなぁと。
LaLaLa LOVE SONGなんて聞いてるだけで幸せになりますもん。
木村さんもダンサーさんもとっても楽しそうで幸せそうだし。
この曲はフルで聴きたかった気もします。

ダンスコーナー2

シンプルな構成のライブで唯一、大掛かりなセット登場。
ライブ会場でもカッコ良すぎてウワーっと叫んでしまったのだけど、なんせ暗い。
DVD発売されたらよく見てみようと思ってました。
いやー…カッコいい。それ以外言葉がない 笑
リズム感抜群だし、魅せ方が体に染みこんでる感じ。
どんなに動いても体幹がブレないからポーズが決まるんだよねたぶん。
ダンスコーナーだけで10分くらいあってもいいと思う。
そこからのMy Life。痺れます。
難しい曲を、踊りながら、走りながら、息切れどころか声すらブレずに歌い切る。

突然、彼が47歳だって事を思い出す。
奇跡の47歳。驚異のスタミナ。やっぱりもののけ。

スタトロで客席の人々を一人残らず笑顔でなぎ倒す木村さんを見ながら。
神様に愛される人ってやっぱりいるんだ。
神様が精魂込めて美しく声良く仕草まで魅力的になるように作り出して
地上にそっと送り出す。
そういう人が時々いるんだけど、その贈り物を100%活かす人はたぶん少ない。
生まれた時にはまっさらな状態だから、本人はそれを知らない。
その中の何人が自分の使命を自覚するだろうか。
彼が自分の特別さをどれくらい理解してるか私には知る由もない。
でもyour songをあんな風に解釈して表現した彼は、自分が誰かの為に在ること、
無数の「きみ」の目線に晒され、表現し、歌うことで、その場に居られること、を
たぶん誰よりも深いところで理解している気がする。
Alexandros の洋平さんが
「(木村さんは)対オーディエンスの一対一対感を凄く感じる」(雑誌SENSEより)
とおっしゃってたのもそこかなと思います。

きみが居るからぼくが居る。
こんな使い古された表現が、その肉体を通して新鮮に真実味を帯びてくる。

最初から最後までたぶん木村さんが深く関わったからこそのライブ。
これを体験できたのが奇跡のように思えてきます。
これから先ももっとずっと、見れますように。



特典のメイキング最高ですよね。
とにかくどの木村さんもイキイキして楽しそうで、全部が好きでたまらない感。
少年のように無邪気に、全開で。
アーティストさん、ダンサーさん。全員がお互いをリスペクトしてる。
やっと、やっとですよ。
良いものをそのまま「きみ」に届けたい。
願いが実現したんだよね…涙が出そうになりました。
リハからコツコツと全員が同じ方向を目指して作り上げて行く。
それはフォトブックのクオリティにも溢れていて。
あんな鮮明に決定的瞬間を、最高のアングルで。
綿密にチェックしてないと出来ないと思うし。
行ってやって帰るだけじゃ絶対に不可能な世界。
その中で水を得た魚、骨を貰った大型犬のような無邪気な笑顔がある。
尊い世界。


コメント

たぬきん
2020年7月15日11:20

もう、全文同意とはまさにこの事!な文章をありがとうございます!脳裏に浮かぶけども明文化出来ない部分を全部文章にしてくれて感動です!。:+.゜ヽ(*′ω`)ノ゙。:+.゜

ありがとう!それだけを伝えたくて。私にしては短いコメントですがw

>水を得た魚、骨を貰った大型犬のような無邪気な笑顔がある。
尊い世界。

まさに!ついに!やっと!!!それを見る事が出来た悦び。この時期、本当にギリギリでの開催だった。これ見られなかったらと思うとゾッとしますよね。

HT
2020年7月18日23:38

こんばんは。
なぜに突然ライブのコメントがwww

ライブできて良かった。
木村に拍手と熱狂を直接届けることができて本当に良かった。
ライブを成功させたことで、一つ大きな肩の荷が下りたんじゃなかろうか。
自分の選択がファンに受け入れられたことを実感できたのでは。
インスタも始めていろんな環境が木村にとってプラスに働いてる気がする。

>これ見られなかったらと思うとゾッとしますよね。

ほんと!!全然違ってただろうねー。
彼の真っ直ぐな生き方が天に届いたんじゃなかろうか。
いや、本当にそう思ってますよ。
願わくば。またステージに立つ彼を拝めますように。
コロナ退散!!!