階段落ち痛そうでしたね…気がついたら息止めて見てました。
恵麻を抱えてサッと脇に隠れた島崎の頭上に粉砕されたプランターが降ってくる。
同時に標的の人相と武器を特定、島崎と連携した高梨がバックアップに入る。
盾で弾除けしつつ全速力で駆け上がる高梨が素早く確実に盾を島崎に渡す。
受け取った島崎が恵麻を抱きかかえて走るが弾を避けようとしてバランスを崩し
そのまま階段を落下。
手に汗を握るシークエンス。
階段の高さ、構造(階段の脇に空間がある)の効果的な使い方、カメラワーク。
そして演者の身体能力の高さがカチッと噛み合って凄いものを見たなと。
島崎も凄いけど高梨の身体能力の高さも凄い。
常廣監督のアクションを見せるセンス半端ない。

派手な見せ場に目が行きがちだけど、繊細な心理描写も素晴らしい。
例えば高梨と菅沼が店の外で電話でやり取りするシーン。
普通ならアップで二人の顔を交互に見せそうですが、高梨も菅沼もあえて画面の
隅っこで少し引きのカメラでとってるんですよ。余白の多い映像。
小説だと敢えて空けた行間。漫画ならバックが真っ白なコマ。
二人の不安定な関係性、揺れ動く男女の機微をセリフだけでなく映像で見せる。
高梨のバックの大きなガラス越しに恵麻と島崎が映りこむのもうまい。
高梨の心は今、誰と・どっちの側にあるのか。
分かっていながら助言する菅沼のいじらしさ。
…思わず「高梨のバカ!」って呟いてしまいましたよ私w

光と陰のコントラストも効果的。
夜の教会のシーンでドアを開けた瞬間に目に飛び込むステンドグラスの色彩。
島崎がなぜ彼女をここに連れて来たのか一目で分かる。
教会という愛と許しの場所でこそ、あの伴奏シーンが生きる。
そして島崎と高梨の最強バディ誕生。
島崎事務所のセット最高ですよね。
ちょっといかがわしくて何かが起こりそうな空気が満ちている。
ありがちなオフィス…例えば蛍光灯とリノリウムの床じゃあの感じは出ません。
そんな島崎の事務所に持ち込まれるのはもちろん一筋縄ではいかない案件で。
大手じゃお手上げのクライアントの依頼を個人事務所ならではのサーヴィスで
見事に護りぬく島崎の事務所。
彼には何か人の気持ちにいつの間にかスッと入り込むところがある。
「あなたは誰でも手なづけられるとたかを括っている。」
いきなり恵麻に本心を看破され、小娘が!と不快になっても不思議じゃない。
素直に詫びる島崎が、腹を括ってからの接し方が素晴らしい。
慣れたところだからと先導を拒否する彼女に「案内、お願いします。」
障害物を伝えるのにクロックポジションを使う。
(世界共通ですからね。の後にへっと笑って恵麻が反応するカット良かった!)
ブティックで「客観的意見?個人的見解?」と聞かれて、これ答えにくいよな…
と思ったら「すみません。私の好みです。」と正直に返す。
小さな積み重ねが彼女の頑なな気持ちを徐々に溶かして信頼を得る。
その過程の描き方が素晴らしくて押し付けがましさがない。
骨太な脚本に細やかなお芝居でより幅や奥行きが感じられる。
川栄李奈さんのお芝居も良かったです。
一分の新之丞を思い出しました。
見えているのに見えないお芝居。
旅立つ恵麻が顔に触れるとこ、ドキッとしました。
「私のボディガードさん。」って愛情たっぷりな声が聞こえてきそう。
前回の依頼と同様、島崎と高梨はクライアントの未来を護ったんだね。

高梨と島崎。
初回からこの二人は組むんだろうなと予想はしてました。
シーズン1でも島崎にやたらと絡む高梨だったけど深く描かれることはなく、
何となくモヤモヤっとが残りました。
シーズン2ではそこがクローズアップされて…というかそこが軸になっている。
結果、BGの世界観がギュッと濃縮されて物語により引き込まれるの、良き。
冒頭の二人のシーン。
「一人でできるのかよ?」
島崎は違う解釈したみたいだけど、高梨は本気で心配してるんだな。
外科医の笠松先生も指摘してたけど【根っからのボディガード】な島崎は
任務の為なら後先考えず身体を張ってしまう男。
階段で襲われた時も危なかったよね?
高梨が居なかったら打撲じゃ済まなかったはず。
前回は高梨の奇行に驚いたけど、実は島崎のが危ういのかも。
人の心の機微を察する細やかさに、苦労人だなぁと思う一方で、
クライアントの気持ちに寄り添い過ぎでつい危ない橋をわたる姿にハラハラ。
で、一番ハラハラしてるのはたぶん高梨。
二人のやり取りの絶妙な間。
「頭下げてやっても良いですよ。」のツッコミのタイミング。
「あ?何話してんの?瞬と?」のノリツッコミ。
腕力だけで愛想がないお前は戦力にならないとか酷い言われようなのに
しっかり食いついて行く高梨もいじらしい。
不気味な作り笑いで誤魔化してもあっさり恵麻に見破られるし。
あの不気味な作り笑いが思わぬ伏線だったのも良い演出。
島崎の後ろで密かにものすごく自然で可愛い笑顔を見せる高梨。
(高梨の拗らせ具合を象徴している)
高梨、そうまでして島崎と一緒に居たいのか。
それはもう愛だよ!
「食わせてもらえればいいっすよ。」ってほぼ愛の告白じゃないですかw
(高梨の純愛に島崎が気づく可能性はほぼ皆無だな)

ベタベタはしてないが心が通じ合った関係。
いざとなったら命がけでお互いを信頼し合える関係。
「誰にも漏らさない?誓える?」
ブラインドから漏れる光をバックに島崎の言葉。
聞いたらあと戻り出来ないぜ。いい? なニュアンスがビシビシ伝わってくる。
そこからの島崎から差し出した手と手の固い握手。
いやもう最強バディでしょこの二人。
「命預けます。」

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