所用でお休みを取ってJR浜松町駅でKonynonちゃんと待ち合わせ。

ギャラリー916で上田義彦氏の写真展「materia」を見ました。

http://gallery916.com/exhibition/materia/

今月号のUOMO、最後のショット。
黒の上下で写真を鑑賞するキムラの身体のラインが印象的な、まさにあの場所です。
http://holidaze.diarynote.jp/?day=20120325

元々は倉庫だった場所をギャラリーにリニューアル。
高い天井、むき出しのコンクリートの床。
がらんとした空間を生かし、壁の白、床のグレイもわざと荒っぽく仕上げた作りが
清潔ながらどことなく廃墟っぽい独特の味わいを醸しだしてます。

1.2×1.0サイズの巨大な写真がぽつぽつと展示されていて、点数は多くないのですが、
返って注意をそがれず一枚一枚に集中できました。

被写体は屋久島の杉。

上田氏のカメラはできるかぎり作為を抑えて、一本一本の苔むした幹や、
それ自体が一個の生き物のように、うねりながら大地を抱え込んだ力強い根が、
自ら語りだす瞬間を見事に切り取っている。
その声は静かで深くてとてもゆっくりしたテンポで語られるので、
聞き取るには写真の前でしばらく足を止めて見入るしかない。
だからこそ、この広々としてあまり手をいれていないシンプルな空間が相応しい。
空間と作品の、見事な調和。
さりげないようだけれど、実は周到に繊細に、隅々まで計算しつくした見せ方。

余談ですが、先日『ブンミおじさんの森』を見たばかりだったので、
ここでも人と森/木々とが根っこで繋がっているのだなぁと、
偶然の一致ながら再確認したのだった。

ギャラリー916のすぐ傍には浜離宮。
150円払って園内へ。
急に温かくなったからか、もう桜が八分咲き。
うっすらと極々淡い紅色の染井吉野。
それよりは随分白く見える大島桜。
時折、強く吹く風にのって幽かな桜の香り。
その花の下の地面を柔らかく覆った緑色の苔。
突然やってきた春の陽気に当てられて意味不明に浮かれる二人(笑)
白い日本水仙や黄色いタンポポ、ぽってりしたボケも花盛り。


人間、素晴しいものをみたり触れたりすると気分が高揚するのでしょうか。
いつもならもう疲れて帰ってしまう自分ですが、Konynonちゃんと一緒に盛り上がった勢いで、ついでに表参道のエスパス・ルイ・ヴィトンへ。
http://espacelouisvuittontokyo.com/ja/#photoGallery

3/20の日記に書いた「コズミック・トラベラーズ」。

http://holidaze.diarynote.jp/?day=20120320

表参道は久しぶり。歩道で交通整理をしてるおじさんに尋ねてやっと辿りつきました。
店内には目もくれず(笑)エレベーターで一気に6Fのギャラリーへ。
入り口で「どうぞ。」と頂いたパンフレットの装丁の豪華さにビックリ!
シルバーでめちゃくちゃカッコイイ...。
さすがルイ・ヴィトン。太っ腹。
 買い物もしない癖にいいのでしょうか(;´∀`)

中に入ってびっくり。
佐藤允(サトウ・アタル)さんご本人がいらっしゃったのでした。
しかもその場で中年の男性をモデルに絵を描いているのです。

佐藤さんの作品は鉛筆を使って極々繊細な線で描き出した人間の関節や内臓や、
昆虫の一部に見える物体が、有機的に絡み合い増殖し膨れ上がりながら、
全体で見ると騙し絵のように、人の顔や目が浮かび上がってくるという幻想的なもの。
キャンバスに隙間無くびっしり詰まった不可思議なディテールが、
いつの間にか白い壁の上にまではみ出して無秩序に増殖していくような空間の使い方は、
アメーバーの増殖のようで不気味といえば不気味なんですが、
ぐぐっと惹きつけられる力をも秘めています。

もう一人、塩保朋子さんという方の作品もとても素晴しかった。
長さ6mの巨大な一枚の紙をレースのように非常に複雑な形に切り抜いた作品で、
離れて眺めると巨大な炎の形のように見え、近づくと無数の網の目の集合体に見える。
切り抜いた穴のひとつひとつの小さな空間に命が宿り、寄り集まって炎のように
渦巻きながら天を目指す。

佐藤さんや塩保さんの作品は見た人全員が「綺麗」と感じるわけではないと思う。
有機的なディテールの集合体は、例えば解剖図や微生物を連想させ、
嫌悪感を覚える人もいるかもしれません。
でもその前に立つと、作品から発せられる強烈なエネルギーに圧倒され、
ただ口をあんぐりあけてボーッと見蕩れてしまう感じなんです。
他人の評価がどうこうでなく、止むに止まれぬ衝動に突き動かされた結果としての作品。
「自分はコレを表現したいんだ!」という思いに囚われた人が全力を傾けたモノ。
そういうモノたちの前にたつと、背中がゾクゾクするような興奮を感じます。
スリリングで快感でさえある体験です。

エスパス・ルイ・ヴィトンは表参道のど真ん中にも関らず、
静かで自然光の溢れる明るく美しい場所でした。
美術館といえば細心の注意を払って管理された閉鎖的空間のイメージですが、
今日訪れたギャラリー916もエスパス・ルイ・ヴィトンも、外に向かって解放された、
ある意味風通しのよい感じの場所でした。
あそこで体験した作品たちと仮に薄暗い美術館の閉鎖空間で出会ったとしたら?
同じ感慨を持ちえただろうか?ちょっと気になります。

どういう場所で・どんなふうに見せるか。
作品の魅力をあますことなく伝えるには欠かせない要素なんだなと実感しました。


折角表参道に来たのだから。

ということで、Konynonちゃんを半ば強引に引っ張って
『PASS THE BATON』『Comme des Garcon D&Department Project』
『Maison Martin Margiela』へ。

いや~...コンセプトのあるお店ってやっぱり面白いです。
モノを売るのが目的なんだけど、場所柄ギャラリーみたいな役割も果たしてるんですな。
表参道ヒルズ周辺は、「売る」ことよりむしろ「見せる」ことを意識してるお店が多かったような。
ブランドのギャラリーって感じでした。

コメント

konynon
2012年4月6日17:41

いやー楽しかったですなo(^▽^)o
昨日はすべて、私にとって目の離せないモノ、でした。
春爛漫の陽気のもと、一緒に圧倒されまくった良い一日でしたv

妹にPC占領されてまだblog書けませぬ〜うきー!┌(; ̄◇ ̄)┘

HT
2012年4月6日18:19

Konynonちゃんやほ。

昨日はほんっとに充実しまくってたよ(人´∀`)
ああいう圧倒のされ方って気持ちいいよな~...なんつうか、感覚がリフレッシュされますな。

>妹にPC占領されてまだblog書けませぬ〜うきー!┌(; ̄◇ ̄)┘

楽しみに待ってるぜw
スマホは長文投稿には向いてなさそーだもんね(;´∀`)