「Go with the Flow 意味」で検索する。
出てきた日本語訳は「時代の流れに従う」。
Flowはもちろん木村さんのラジオ番組のタイトルだし、ゲストで訪れた方々に
背中を押されて生まれたファーストアルバムでもあるし、肩の力を抜いて気楽に、
な雰囲気もありつつ、Born readyの歌詞の
「なんとかなるようにじゃなく  なるようになる」に近い感じもあり。
ゼロから出発した彼には手探りのデビューでもあり、
周りの方々の力を借りていけるところまで行ってみよう、な気分もあったかも。
…あの時、コロナ禍が目の前まで迫ってくる予感が有りつつ、
ライブの全日程をやり切った奇蹟。
ステージから見たであろう、幸せな顔、顔、顔。
今思い起こせばあの時、彼の中でカチッとスイッチが入ったような気がする。

そして。
セカンドアルバムのタイトルは「Next Destination」意味は「次の目的地」。
全曲聴いたらこのアルバムタイトルが全てだなぁって。そう思いました。
ファーストのふわんとして儚げでどこか遠くを見つめているような青年が
セカンドではブラックレザーのツナギに身を包み、左手には雄々しい鷲。
射抜くようにこちらを見据えるその目。
カッコいい!美しい!強い!!もう誰も彼に逆らえない!!!
思わずひれ伏す。
そして思う。
…ファーストのふわふわ美青年、どこ行った?

セカンドアルバムのテーマが分かったところで曲を聴いてみる。
一回じゃ咀嚼しきれずもう一回聴く。
どこか統一しきれない、掴み所のない印象のファーストアルバム。
その一曲目がOne and Only。
木村拓哉のソロ活動の幕開けに相応しい力強いロックナンバー。
他の誰でもない、唯一無二のおれはここに居る。
その存在証明からのNew Start。
ここから始まる第二章…の流れではあったけど、スローなラブバラード有り、
ハードロック有りの中にぽつんと挿入された「Your Song」が一番心に響いた。
Go with the Flowのタイトルにとても近くて、当時の木村拓哉の
(いや私の、かもしれないが)心情にピッタリな一曲な気がしていた。
時代の流れに従う。そのタイトルやジャケ写真通りの、遠い目をした青年の
心の内はまだ揺れ動き…
アルバムもどっちに進むのか沢山の可能性を目の前に決めかねていたのか。
そう考えるとNext Destinationのこの統一感は、とにかく前に進むしかない、
おれはおれのままで!との木村拓哉の決意表明にも見える。

で、ごく個人的な独断と偏見からの意見で、全12曲を
*アルバムの方向性をハッキリと提示した、言わば屋台骨と呼べるもの。
*ライブで歌って踊れるステージでの盛り上がりを意識したもの。
*斎藤工監督のいう「ジャンクション的な」曲。
*木村拓哉という表現者の声を通して作り手の想いを託した曲。
の4通りに分けてみた。

それぞれに魅力があって中でもMVになったBeautiful Thingsは大好きな
ジャック・ジョンソンを彷彿とさせる海の匂いのするギターが最高だし、
Beautiful morningの色彩豊かな歌詞はうっとりするし、
(不満で赤く 膨らんだ茱萸 閉じたままで…なんと艶めかしい!)
Born readyのロックンロールっぽいノリのよさ大好きだし。
でも、やっぱりアルバムの方向性を決めるコアとなってるのは
次の4曲だと思う。



1,MOJO DRIVE
個人的に一番しっくりくる曲。昔ながらのハードロックのメロディ、アレンジに
骨太な歌詞。

ボタンが一つ取れてる。大したことじゃないだろう?
裾がひどく汚れてる。 大したことじゃないだろう?

イントロのエンジン音からの、この歌詞で連想するのはどうしたって
Born to be Wildだ。
目つきの悪い言葉に突き刺されて血を流しながら、
風のオオカミが咆哮する夜のハイウェイをハーレーで疾走する。
不穏なスピード感。痛みと自由への渇望。
焼却炉の灰、蛇口から漏れる水のようにじわじわと侵食する偏見や悪意を
飛んできたブルーシートみたいに軽く蹴っ飛ばし爆音を響かせながら去っていく。
「誰にも邪魔はさせない。」
重量感のあるざらっとしたギターの音と山下達郎氏が「セクシーだ」と評した
木村拓哉のバリトンの声が絡み合う。
今風の音じゃなくちょっとマニアックな骨太な曲なところが木村拓哉っぽい。
オールドスタイルだけど古臭くはない。


2.OFF THE RIP
ハーレーを夜通し飛ばして辿り着いた朝。
眠れぬ夜や不安な気持ちに反旗を翻してもっと、もっと先へ進もう。
歌い出しから高い青空へ心が舞い上がっていくようなメロディと声。

開け放て、晴れ渡れ、平凡を積み重ね、特別なその瞬間へ。
予想もつかない結末へ、さあ踏み込め。

休む間もなく次の目的地へと先を急ぐ。
作詞作曲のkjさんの目にはその瞬間の残像が鮮やかに映り込んでいるはず。
一人で出発したMOJO DRIVEが「僕ら舵を取れ」と仲間が加わった。
MVでも武田真治くんとRED RICEさん入れて3人になってましたね。

3.Yes,I’m
木村拓哉が関わった作品をタイトルでなくエッセンスを抜き出して
キッチリ韻を踏み(ライミング)カッコいい!のカタマリに仕上げた言葉のセンス。
アルバムのコメントでDJ松永くんが「絶望した」と言った意味が分かりました。
どこを切り取っても木村拓哉。
その歌唱を細かく分解してもカケラの全てが木村拓哉の色を帯びる。
役者として生きて来た足跡を一遍に纏めた壮大な叙事詩を
本人が歌う痛快で軽やかな構図。
(ちなみにラップを乗りこなす=英語でフロウflow。偶然?必然?)

Yes,I’m HERO 連れて行ってやるぜ
Yes,I’m HERO 見たこともない遠くへ

彼はひたすら先へと急ぐ。
見たこともない遠くへ、次の目的地を目指して。

4.I’ll be there
最初聴いた印象は「壮大……過ぎ。」でした。
この手の曲は全く聞かないのでどっからどう入ればいいのか全く分からず。
(気になったものは理解&咀嚼したくなる悪癖)
MVのショートバージョンの映像を見てなるほど!!となり、
アルバムで最後まで聞いて
ああ。このアルバムの最後を締めくくるのはこれしかないな…と。
Next Destinationの終着点であり、次なるDestinationの出発点でもある。

MOJO DRIVEでたった1人で旅立ったハーレーの木村拓哉が
OFF THE RIPで仲間と出会い、
おれはHERO。見たこともない遠くを見に行きたくはないか?と声をあげて
結果、沢山の仲間が集まってきた。
I’ll be thereと力強く歌う木村拓哉の声はどこまでも高く響き渡り
雲を超えて成層圏まで突き抜ける。
そこはいつも太陽が輝き強烈な光線が閉塞感を焼き払って
聴く人の心を無限へと解き放つ。
I’ll be there
おれはそこへ行く。

どこを目指してるんだ、木村拓哉。
何者にも囚われない絶対的な強靭さを持つ漆黒のレザーの帝王。
左腕の美しくも厳しく鋭い目をした鷲は、彼自身の分身のよう。

コメント

nophoto
裕子
2022年1月27日12:50

何度も書かせていただいたのにどういう訳か消えてしまいました。
長いので自動的に削除されたのかも知れませんので、簡単にいたします。

木村さんのソロアルバム2弾目の素晴らしさとそれに対するHT様のご感想と
音楽に対する造詣の深さに(当たり前ながら)感嘆しております!
そして有難うございます!
私もHT様の挙げておられる4曲が方向性をしっかりと示していると
思います。1弾目の曲の中には中高生の合唱コンクールで歌ってもらいたいと
思う曲が数曲あり、それも大変に嬉しかったのですが、今回のは大人に成長した
若者たちの「I’ll be There おれはそこに行く」という確固たる意志が感じられる
アルバムになっているように思えます。

私個人ですが、音楽的に特に気に入っているのが「OFF THE RIP」で、
「開け放て 晴れ渡れ」の「れ」の音の上げ下げ部分です。
Kjさんのセンスが素敵だと思いました。
勿論「MOJO DRIVE」の全てです。
このハ長調とヘ長調(だと思うのですが・・・)の明るくて安定した調性の特長を生かしているのも素晴らしいです。
また「夜は朝に追われて」も心洗われる名作だと思います。

そして様々の調性と詩の内容をもつ全部の曲をこれほどまでに理解し歌いこなしている木村さんのとんでもない才能にただただ感嘆せざるを得ません!!
歌手一本だけの人でも大変なのに!

コンサートが無事に開催されますようにとひたすら神様にお願いしております。


HT
2022年1月27日23:03

裕子様こんばんは。

セカンドアルバムは歌い手としての木村拓哉の方向性がはっきりと感じられ、
いよいよ本格始動かなと思わされるナンバー揃いですよね。
OFF THE RIPは歌詞もメロディも木村さんの声も、まさに晴れ渡った空へ
スーッと立ち昇り広がって行くような明るさと伸びやかさがありますよね。
そうか、あの「れ」の上げ下げでキレイなウェーブを描く感じが、音を波紋のように広げていく効果を生んでいるような気がします。
「夜は朝に追われて」は木村さんも言及してましたが、ストーンズのアルバムにも
ありそうなメロディですよね。あの歌詞の世界も何故かカウボーイやネイティヴアメリカンを連想されるので、糸井さんも斎藤工くんと同じ木村拓哉を愛しているのかもしれません。
G時代から木村さんの歌詞解釈は細やかで的確でしたが、ソロになって一層くっきり目に見えるようになり表現力が飛躍的に深化しましたね。
役者としての訓練が一役買ってるのかもしれないな、などと。

あの歌声と全身の表現を、どうか生で体験できますように。
私もお祈りしています。