何から書こうか?

3月6日横浜ぴあアリーナ。
アリーナを1Fとするならスタンド4Fの後方。
昔のスマコンで言うと「お星様席」ってやつ。
当初、自分のくじ運のなさを呪いました私。
アリーナで無くてもせめてスタンド1Fか2F…でもまぁデベソ真ん前だしな。
と少々(かなり)テンション低めだったわけですが。
いやほんと…神様ありがとう!
木村拓哉の圧倒的なパフォーマンスとダイナミックな演出を一望しつつ、
圧倒的な質量の声と紛れもなく…降り注ぐ愛に包まれた時間でした。
このブログには生木村の輝く美貌や細かい表情、飛び散る汗については
書かれてません。
(だってスタンド最上階ですもん)(嗚呼肉眼で見たかった生木村)
メモも取らずもちろん録音もしてないので(犯罪です)正確なセトリもありません。
私が見たこと、聞いたこと、感じたことの覚書みたいなものです。


開演前、たぶん木村さんの趣味であろう80〜90年代ロックがふっと途切れ
「お〜っ!!」と恒例の気合い入れる声が。
なんと!!ステージ正面の3Fまで聞こえたの感動でした。
ぴあアリーナ、音響良いと聞いてたが、マジだな。変なところで感心。
オープニングのモノクロ映像がめっちゃカッコいい。
大鷲と覇王。
これ、最後の羽根の銀テープと連動してるんですよね。
木村拓哉その人こそ銀色の翼を持つ大鷲の帝王であると。
(注:大天使とか菩薩とか神様とか諸説あり)
ちゃんとストーリーに沿って組み立てられてるんですよね、今回のツアー。
そこは、アルバムと共通です。

Born readyのあのジャカジャーン!とこれぞ純正ロックンロールなオープニング。
どこから来るのかステージを注視してたのですが、そう来たか。
♪過去を彷徨う暇もなく ただひたすらに♪の「かこを」でもうバァーンと!
ドッカーンと!凄い。あの瞬発力はなんだろう?
バンドの演奏も演出のライティングももちろん大きい、しかし。
木村拓哉の圧倒的な声の質量。
SMAPのコンサートで何度も彼の歌声を聞いたけど、段違いです。
声がデカいだけじゃないんですよ。
音のレンジが広くて一音一音の響き方がすごい。
音をしっかりと捉えはっきりと言葉を伝えようとする意思は
前から感じてましたけど、
そのためのテクニックと筋力を身に付けたんだなぁと初っ端から感動…。
衣装も、これまた常人では絶対に着こなせないメタリックなヒョウ柄スーツ。
妖しい。
私はすでに舞い上がってステップ踏みまくりーのペンライトふりーの、
右隣の方に迷惑かけないのが精一杯でした。
左隣はたぬきん師匠だったので気を使わずにすみました(おいw)
ステージもレーザービュンビュンにライトギラッギラ。
上から見るとすっごくよく分かるのですが、まるでクラブのフロアみたい。
このご時世、ダンスフロアで思いっきり踊るなんて絶対無理だけど、
踊れー!!と煽られたらもう倒れるまで踊れます。
木村拓哉の生歌にバンドの演奏で踊りまくるなんて、最高じゃない?
また木村さんの声が煽るんだよなぁ。
たまらなくセクシー。
ぴあアリーナ、ライブのために作られたハコだけあって音響最高です!
スタンド最上階でも音が全方位からキレイに響いてライブ感がすごいんです。
全体が木村拓哉の声に包まれて一体化する感じ。
日産とか東京ドームとか何だったんだ?音が反響して聞き辛いとステージ遠いなぁって置いてけぼり感凄かったし、PAの近くだと難聴になりそうだったし、サイズがデカいだけの会場はもういらないかな。
木村さんも気に入ってたみたいなので、次回もぜひここでやっていただきたい。

次のコーナーでちょっとクールダウン。
鈴木京香さん作詞のbeautiful morning。
青や赤の色彩豊かな歌詞をしっとりと歌いあげる声は、
まさに大人の男のロマンチック。
意表を突かれたのがGood Luck、Good Timeでした。
ザ・山下達郎のあのメロディとちょっとだけロンバケを連想する歌詞で
あんな振付になるとは意外。ウェイブするような手の動きがとても素敵。
木村さん、関節が柔らかく動くからああいうダンス見映えしますよね。
見とれてしまいました。

さて。衣装が変わって若草色のシャツ、なのだけど、どうやらヒョウ柄。
アニマル系大好きだねー。ライダースJKはクロコだし。また似合うんだこれが。
Come Alive、アルバムだとピンとこなかったけど、ダンサーさんと楽しそうに軽やかにダンスするのがちょっとミュージカルっぽくて良き。次のUNIQUEは前作からのお誕生日ソング。振付もたぶんFlowの時と同じ。
木村さんこういうの好きだよね。誰かにおめでとうを伝える歌。
とっても楽しそう。

さて!いよいよ!!個人的お待ちかねのHAが!!!!
歌詞もメロディも大好きでSMAP時代のソロ曲ではStyleと並ぶ私的神曲。
ベッドプレイと聞いて内心エロ待ちでテンション爆上がりだったのですが。
…気づいたら涙が浮かんでました。心外。
ダンサーさん二人との絡みもあるんだけど、やるせないんだよね、歌詞が。
20代で歌ったのとは全く別物。
ステージが薄暗くベッドも灰色のイメージで。
とっても寂しい、哀愁漂う男の独り言。
戻らない愛と希望の光に満ちた日々。
ベッドに横たわり腕の動きで表現する心情。
まるで一人舞台を見ているような。
♪目覚まし かけず 眠る♪で彼はもう二度と起きてこないの?
なんて感じてしまいました。
こんなに寂しい曲だったとは。
同時に凄いなーと。
同じ歌詞、メロディも歌い方と演出一つでガラッと変わってしまう。
歌い手であり役者でもある凄味をひしひしと感じてしまったのでした。
(細かい表情や動きはスクリーンで確認したものです。念の為。)
意味わからんほど重いらしいベッドをダンサーさんと運ぶの可愛かったです。

バンドのメンバーさんとデベソ中央へ移動してきた木村さん。
おお、肉眼でもよく見える!!(喜)
照明を落とした舞台は冬枯れの夕暮れを思わせる。
しっとりと歌う「夜は朝に追われて」胸に沁みましたよ。
生歌の声量と圧倒的な存在感、そして細やかなニュアンスが全然違う。
FLOWで言ってた「The Rolling Stonesが歌いそうな」の意味、よく分かる。
ブルースハープの切ない響きも良きです。
続く「夜空ノムコウ」そして「Triangle」はなぁ。
いやもう歌い手とアレンジで曲の聞こえ方ってこんなに変わるんだな。
シンプルに、必要最低限の楽器とコーラスで歌われる夜空は、豊かで深い。
彼がこんなふうに歌えるのは歌筋を鍛えたからだけじゃない。
この曲を初めて歌った20代と49歳までの間に流れた月日。
味わった全ての感情と経験が、歌声を後ろからそっと支えているのだろうと。
深くて切なくて思わずまた涙が…。
そしてTriangle。
えっ?あれ歌うの?やだなー…正直嫌いなんですよあの曲。
歌わないでくれと思ってたし、前日のセトリに無かったら安心してたのに。
…でも実は今回、いちばん衝撃的だったのがこの曲でした。
語り出したら長くなるので、Triangleについて後で一本書きます。
ぶっちゃけ次のサンセットベンチも好きじゃなくて。
あれに出てくる女の子っていわゆるプロ彼女でしょ。
袖口掴んで俯いたりあなたの好きなラベンダー色着てきたの♡とか…
どんだけ計算高いんだ。女に嫌われるタイプの女。
…それがねぇ。あの声で歌われると。ずるいなぁ。
感動しちまったですよ。悔しい(笑)
このパートでつくづく木村拓哉の声に勝てない自分を実感しました。
好きだからいいけど。

そして!
今回のアルバムでいちばん聴きたかった曲が!!
MOJO DRIVEきたーーーーーー!!!
何だか鳥の羽毛みたいなモフモフの白で袖だけ茶色?の上着が凄い。
儀式の衣装のようです。や、流れ的には大鷲のヒナ?
もう初っ端からドライヴ感凄い。
スクリーンに映し出される荒野のハイウェイの映像と相まって、
ロックに乗って全速力で駆け抜ける木村拓哉の勇姿。
めちゃくちゃカッコいい!
ぴあアリーナが完全にロックのコンサート会場になりました。
声。声の説得力が凄すぎた。
歌詞が、彼自身のあれこれとシンクロして感じられるから、リアリティハンパない。
もし彼が何者か知らない人が見たとしても、きっと伝わるあの説得力。
ぴあアリーナの会場中が圧倒されて熱狂してライト振り回してます。
上から見てると曲につられてライトの動きがどんどん変わってくのが分かるんです。
からのー、MORNING DEW。
アルバムで初めて聞いたときは「ん?ん?ん〜??」でしたが。
完全に化けましたね。
♪モーニングデュー モーニン モーニン モーニン モニンデュ!!♪の
繰り返しのとこのドスの効いた低い声。痺れます。
山下達郎さんもマーシーさんも「ライブ映え」を意識して書いたと思う。
今回のアルバムは全体的にそこが計算され尽くしてたなーと。
Yes,I’mもライブのが数倍良かったよね。
歌詞が生きてる。
軽くこなしてるみたいに見えるけど、ラップであの文字数を詰め込んで、
正確にリズムを刻んで歌いこなすのほんっと凄いです。
ここまで歌い上げてきた曲の数々はジャンルバラバラだし個性的だし、
その上でアイドルっぽくファンサも忘れずしっかり指差し、目線配り。
ダンサーさんもバンドメンバーも、全てのスタッフさんともしっかり
コミュニケーション取って率先してライブを作り上げたんだろうな。
でないとこなせない構成だったし、全員が同じ方を向いて走ってるのが
すごく伝わってきました。
木村さんはお芝居の現場でも、歌の現場でも「座長」なのよね。
あの細くしなやかな身体でどれだけの人の想いと責任を背負ってるんだろう。
それをひしひしと感じたI’ll be thereでした。
MVの振付が完璧すぎたので、ステージでまんま体験できて感激です。
木村拓哉はそこにいる。光の中に立ち、力強く宣言する。
おれはあそこへ向かうんだ、と。
その声はぴあアリーナの天井に反射し、全ての人の頭上に降り注ぐ。
キラキラと散る銀の羽根のように、歌声が私の上にも舞い降りてきました。
銀の羽根を残して大鷲は飛び去る。
次の、約束の地へ。

ということで本編が終わり。
アンコールは見事なジャンプで始まったOne and Onlyでした。
途中から声が枯れてきてOne Chance!で歌えてない?と思ったのですが、
泣いていたとの書き込みを見ました。
私の位置からはわからなかったけど、そうかも知れない。
神戸の二日目終わりで泣いていたってレポ有りましたもんね。
あの歌詞には込み上げるものがあるかもしれません。
コロナ禍での開催に酷い言葉の書き込みも一人や二人じゃなかったし。
完走できたのは奇跡かもしれない。
口を開けて待っていても奇跡は起きない。
日々の積み重ね、緊張、綱渡りのスケジュール。
一緒に作り上げてきた木村さんだからこそ、万感の想いがあったに違いない。
FCのシークレット企画。
顔出し要なので応募しなかったんだけど、たくさんのファンのメッセージ、
そして「キャプテン、愛してる」に
パッと顔が輝いて幸せそうな優しい表情で
「おれも。」
と返したのがすっごく木村拓哉でした。

前から言ってますけど、木村拓哉は愛のひと。
愛し愛され、人から受け取った愛を何倍にもして返す人。
彼の大きすぎる愛情がぴあアリーナの隅々まで包み込んでました。

次のライブはいつだろうね。
次の目的地で必ず会おう!と言ってくれましたし。
有言実行の男だから。
必ず。
Beautiful ThingsのMVを見ながら少しだけ泣きそうになりました。

FLOWで初めてこの曲を聴いた時と同じ感覚が、もっと強く胸を締付ける。
曲も映像も、木村拓哉が愛し・愛される・愛の人なのを強く感じさせたから。

憧れて遠くから見つめ、想いを募らせ、そして幸運にもその人の側に来れて、
ありったけの想いを込めたラブレターを手渡したような、そんな作品。
デジタルでなく16ミリ(たぶん)フィルムで撮った映像は鮮やかすぎず、
モノの輪郭もくっきりしすぎず、挿入された古い写真や映像との相性が抜群で
たくさん撮って試行錯誤しながら磨いてきたセンスと技術なんだろうなぁ。
ものすごくロマンティックで美しく、心が揺さぶられる作品。

メイキングでは九十九里の砂浜で馬とカウボーイハットの木村さんだったから、
あーこれはスマスマ特別編「大西部を行く」っぽく作るんだなと。
映像の感じはクロエ・ジャオ監督の「ザ・ライダース」かしら?などと予想したり。
ドラマBGで共演した斎藤工くんが木村拓哉のファンなのは知ってましたけど、
FLOWに来て、木村さ〜〜んにも出てくれて、本当に好きなのは分かってたけど、
MV完成披露試写会ではご本人を前に物凄く動揺して顔も見れない様子で、
こっちも伝染したのか?見てる私もこっぱずかしくなってしまいました。

で、完成した映像は…斎藤工監督が切り取った木村拓哉のコアの部分だなと。

彼が見た同じ日に私も「大西部を行く」を見て心を揺さぶられました。
木村拓哉は大自然とそこに生きる人や目に見えない精霊的な存在と分かち難く
繋がってるのだ、と勝手に納得していました。
ハワイが好きなのもカウボーイやネイティヴアメリカンの生活にすっと馴染むのも、
斎藤工くん曰く「神憑り的に動物と心を通わせる」のも、さもありなん。
木村拓哉とはそういう人だから、と確信していたのです。(いまでも)
そんな木村さんの、何故かスポットライトが当たってこなかった部分を、
斎藤工監督が目に見える形にしてくれた…感激です。
サーファーが波乗りする九十九里の海辺で、髪も衣装もそのまんまの姿。
リラックスして愛犬を抱き、海を眺める姿はインスタのプラベの自撮りに近い。
しかしカウボーイ姿で馬を走らせ、焚火を静かに眺める姿はまるで映画のよう。
素の木村拓哉と架空のカウボーイの木村拓哉とが同じ映像に居る。
どこまでがリアル?どこからがフィクション?
境界の曖昧さは、ある意味木村拓哉の芝居=演技の本質にも繋がって行く。
「木村拓哉はリアルとフィクションのあわいに存在する男。」
そんな斎藤工監督の想いが伝わってくるようです。
それにしても馬を走らせる海辺の、ハットが吹っ飛んだ次の瞬間、
「イエーイ!!楽しいぜ!!」とばかりにロープを振って見せたカットを恰も演出のように活かしたあのセンス、最高です。
壁に凭れて歌ってるカウボーイが最後、ちょっと照れたようにハットのブリムを指でクイっと引きおろす感じが粋でカッコよくて。

大西部の自然とカウボーイとネイティヴと精霊に出会い、ひとまわり大きく成長した美青年が、人生の光と陰、喜びと哀しみ、あらゆる感情を味わって今、ここに居る。
「どこまで続くんだ?この道は?」
まだまだ続くよ、次の目的地までまだ先がある。
でも、取り敢えず、今はここに居るんだよ。

ありがとう!!斎藤工監督。
大好きです、このMV。
アルバム特典のMV。

MOJO DRIVEとI’ll be there。
アルバムのトップとラストを飾る2曲をチョイスした意味。
一つ前の文章で屋台骨となるのは4曲だと書いた理由の一つ。
曲調も映像も全く異なる二つのMVだけど、仮にこの2曲を入れ替えたり
他の曲を持ってきてたらアルバムのコンセプトが迷子になっちゃうかも。

MOJO DRIVEは旅立ちの曲。

Mojoって日常的には耳にしない言葉でしょ?
真島さんはなぜ敢えてこの単語を使ったのか不思議で。

Rolling Stone Japanの記事によると

【タイトルの「MOJO」の由来は「物や人にもともと備わっている力」転じて「パワー・生命力」といった神秘的なものといった言葉が込められている。木村自身がもともと持っている生命力やパワー、内面から溢れ出るオーラを表現するために真島がタイトルを考えた。】

引用元→https://news.yahoo.co.jp/articles/976163e14e705948a2f5bb68eb57944d83690e0c

 映像は愛車のサリーンで走り出すところから始まる。
…個人的にここはハーレーでしょ!?って気持ちはあったけど、
オレンジがかった夕暮れを思わせる色調にはサリーンのスタイリッシュな
ボディがよく合う。
場末のガランとした倉庫でワンマンライブを繰り広げる木村拓哉。
観客は居ない。バンドのメンバーのみのシンプルさが、小さなライブハウスの生演奏のような臨場感を醸し出して、いい。この曲に合う。
オールドタイプのハードロックはこんなシチュエーションがぴったりくる。
シャウトし、ジャンプし、高々とキックしてマイクスタンドを放り出す。
金網を掴んで思い切り吠える姿は昔のグラビアで見たような。
押し殺してきた感情。叫びたい、暴れたい、全身全霊で歌いたいが
熱いカタマリのように直球で向かってくる感覚。
でも私の中で強烈に印象的なのはソファに横たわって気怠く歌うカット。
「たった一つ イツワリだけが 味方の時だってあった」の部分で一瞬、
皮肉るように嘲笑うように冷ややかに眉を上げてみせるあの表情。
次のカットで部屋に入ってくる女の子に向けたものかも知れないけど…
歌詞の意味と彼が今まで心無い言葉やメディアの嘘・捏造に晒されたか、を
ズン…と突きつけられたような、ゾクッとする感じ。
モデルと思しき女の子は綺麗で可愛いけど、ちょっと蛇足だなと正直なところ。
ですが、あすなろ抱きしたドアップがギャツビーのCMみたいでまぁいいか。
旅立ちは夜。
一人で、ハイウェイの風を感じながら走る男がどんな目をしてるのか?
黒いサングラスで隠れて分からない。


I’ll be thereは光の中へ、到着と旅立ち、祈り。

初めて聴いた時、木村さんの声が野太い男声のバックコーラスに乗って
高みへと、ひたすら空へ向かって伸びていくような気がしました。
教会で聖歌の合唱を聴いた時みたいに。
キリスト教会やイスラム教のモスクの内部は言葉や声が反響して
空間を巡り回って頭上の高い天蓋に反響し、再び頭上に降り注ぐような、
音と一緒に心が高揚するような気持ちになるんだけど、それに近い。
あの感覚を見事に映像化したなぁと感動しました。
アルバムの特典カレンダーの写真見本に白シャツ黒パンツの木村さんが!!と
TLが湧き立ちましたが、このMVから切り取ったんだね。
振り付けは s**t kingz(シットキングス)のメンバー。
シンプルなセットにオーケストラとダンサー。
全員が白シャツに黒パンツ。
シンプル イズ ベスト。
強烈な光の中で輝くような白、バックに溶け込む黒。
肉体の美しさをこれほど印象的に・強烈に焼きつける服装は無い。
それだけに四肢の動き、頭のてっぺんから爪先、伸ばした手指の先まで
ピンと張りつめて美しく完璧なパフォーマンスが要求される。
バックダンサーの動きはある種の陶酔状態を思わせる。
その輪の真ん中で激しく高らかに全身で唄い上げる木村拓哉は、
聖なる儀式の司祭のよう。
扉が開いて一人が進み出た部屋には大空を舞う鷲のシルエット。
大きく広げた腕の動きが翼のよう。
闘い、苦悩し、もがきながら先へ進もうとする姿が、舞い上がろうと羽ばたく
鷲の姿と重なる。
ラスト。
目を閉じて顔をあげた表情はとても穏やかで無私の祈りの姿にも見える。
聖堂の聖者。
唄が慈雨のように降り注ぐ中に立つ男。
壮大な音楽を一人で背負って。

真夜中のハイウェイを出発した木村拓哉は光の輪の中に辿り着いた。
その旅は彼一人の力ではなく陰日向に多くの人たちの力と願いと祈りとが
支えている。
「Go with the Flow 意味」で検索する。
出てきた日本語訳は「時代の流れに従う」。
Flowはもちろん木村さんのラジオ番組のタイトルだし、ゲストで訪れた方々に
背中を押されて生まれたファーストアルバムでもあるし、肩の力を抜いて気楽に、
な雰囲気もありつつ、Born readyの歌詞の
「なんとかなるようにじゃなく  なるようになる」に近い感じもあり。
ゼロから出発した彼には手探りのデビューでもあり、
周りの方々の力を借りていけるところまで行ってみよう、な気分もあったかも。
…あの時、コロナ禍が目の前まで迫ってくる予感が有りつつ、
ライブの全日程をやり切った奇蹟。
ステージから見たであろう、幸せな顔、顔、顔。
今思い起こせばあの時、彼の中でカチッとスイッチが入ったような気がする。

そして。
セカンドアルバムのタイトルは「Next Destination」意味は「次の目的地」。
全曲聴いたらこのアルバムタイトルが全てだなぁって。そう思いました。
ファーストのふわんとして儚げでどこか遠くを見つめているような青年が
セカンドではブラックレザーのツナギに身を包み、左手には雄々しい鷲。
射抜くようにこちらを見据えるその目。
カッコいい!美しい!強い!!もう誰も彼に逆らえない!!!
思わずひれ伏す。
そして思う。
…ファーストのふわふわ美青年、どこ行った?

セカンドアルバムのテーマが分かったところで曲を聴いてみる。
一回じゃ咀嚼しきれずもう一回聴く。
どこか統一しきれない、掴み所のない印象のファーストアルバム。
その一曲目がOne and Only。
木村拓哉のソロ活動の幕開けに相応しい力強いロックナンバー。
他の誰でもない、唯一無二のおれはここに居る。
その存在証明からのNew Start。
ここから始まる第二章…の流れではあったけど、スローなラブバラード有り、
ハードロック有りの中にぽつんと挿入された「Your Song」が一番心に響いた。
Go with the Flowのタイトルにとても近くて、当時の木村拓哉の
(いや私の、かもしれないが)心情にピッタリな一曲な気がしていた。
時代の流れに従う。そのタイトルやジャケ写真通りの、遠い目をした青年の
心の内はまだ揺れ動き…
アルバムもどっちに進むのか沢山の可能性を目の前に決めかねていたのか。
そう考えるとNext Destinationのこの統一感は、とにかく前に進むしかない、
おれはおれのままで!との木村拓哉の決意表明にも見える。

で、ごく個人的な独断と偏見からの意見で、全12曲を
*アルバムの方向性をハッキリと提示した、言わば屋台骨と呼べるもの。
*ライブで歌って踊れるステージでの盛り上がりを意識したもの。
*斎藤工監督のいう「ジャンクション的な」曲。
*木村拓哉という表現者の声を通して作り手の想いを託した曲。
の4通りに分けてみた。

それぞれに魅力があって中でもMVになったBeautiful Thingsは大好きな
ジャック・ジョンソンを彷彿とさせる海の匂いのするギターが最高だし、
Beautiful morningの色彩豊かな歌詞はうっとりするし、
(不満で赤く 膨らんだ茱萸 閉じたままで…なんと艶めかしい!)
Born readyのロックンロールっぽいノリのよさ大好きだし。
でも、やっぱりアルバムの方向性を決めるコアとなってるのは
次の4曲だと思う。



1,MOJO DRIVE
個人的に一番しっくりくる曲。昔ながらのハードロックのメロディ、アレンジに
骨太な歌詞。

ボタンが一つ取れてる。大したことじゃないだろう?
裾がひどく汚れてる。 大したことじゃないだろう?

イントロのエンジン音からの、この歌詞で連想するのはどうしたって
Born to be Wildだ。
目つきの悪い言葉に突き刺されて血を流しながら、
風のオオカミが咆哮する夜のハイウェイをハーレーで疾走する。
不穏なスピード感。痛みと自由への渇望。
焼却炉の灰、蛇口から漏れる水のようにじわじわと侵食する偏見や悪意を
飛んできたブルーシートみたいに軽く蹴っ飛ばし爆音を響かせながら去っていく。
「誰にも邪魔はさせない。」
重量感のあるざらっとしたギターの音と山下達郎氏が「セクシーだ」と評した
木村拓哉のバリトンの声が絡み合う。
今風の音じゃなくちょっとマニアックな骨太な曲なところが木村拓哉っぽい。
オールドスタイルだけど古臭くはない。


2.OFF THE RIP
ハーレーを夜通し飛ばして辿り着いた朝。
眠れぬ夜や不安な気持ちに反旗を翻してもっと、もっと先へ進もう。
歌い出しから高い青空へ心が舞い上がっていくようなメロディと声。

開け放て、晴れ渡れ、平凡を積み重ね、特別なその瞬間へ。
予想もつかない結末へ、さあ踏み込め。

休む間もなく次の目的地へと先を急ぐ。
作詞作曲のkjさんの目にはその瞬間の残像が鮮やかに映り込んでいるはず。
一人で出発したMOJO DRIVEが「僕ら舵を取れ」と仲間が加わった。
MVでも武田真治くんとRED RICEさん入れて3人になってましたね。

3.Yes,I’m
木村拓哉が関わった作品をタイトルでなくエッセンスを抜き出して
キッチリ韻を踏み(ライミング)カッコいい!のカタマリに仕上げた言葉のセンス。
アルバムのコメントでDJ松永くんが「絶望した」と言った意味が分かりました。
どこを切り取っても木村拓哉。
その歌唱を細かく分解してもカケラの全てが木村拓哉の色を帯びる。
役者として生きて来た足跡を一遍に纏めた壮大な叙事詩を
本人が歌う痛快で軽やかな構図。
(ちなみにラップを乗りこなす=英語でフロウflow。偶然?必然?)

Yes,I’m HERO 連れて行ってやるぜ
Yes,I’m HERO 見たこともない遠くへ

彼はひたすら先へと急ぐ。
見たこともない遠くへ、次の目的地を目指して。

4.I’ll be there
最初聴いた印象は「壮大……過ぎ。」でした。
この手の曲は全く聞かないのでどっからどう入ればいいのか全く分からず。
(気になったものは理解&咀嚼したくなる悪癖)
MVのショートバージョンの映像を見てなるほど!!となり、
アルバムで最後まで聞いて
ああ。このアルバムの最後を締めくくるのはこれしかないな…と。
Next Destinationの終着点であり、次なるDestinationの出発点でもある。

MOJO DRIVEでたった1人で旅立ったハーレーの木村拓哉が
OFF THE RIPで仲間と出会い、
おれはHERO。見たこともない遠くを見に行きたくはないか?と声をあげて
結果、沢山の仲間が集まってきた。
I’ll be thereと力強く歌う木村拓哉の声はどこまでも高く響き渡り
雲を超えて成層圏まで突き抜ける。
そこはいつも太陽が輝き強烈な光線が閉塞感を焼き払って
聴く人の心を無限へと解き放つ。
I’ll be there
おれはそこへ行く。

どこを目指してるんだ、木村拓哉。
何者にも囚われない絶対的な強靭さを持つ漆黒のレザーの帝王。
左腕の美しくも厳しく鋭い目をした鷲は、彼自身の分身のよう。
京都ロケシリーズ@木村さ〜〜ん

木村さんは「番狂わせ」と言ってたけど、素晴らしくないですか?
俳優会館から太秦映画村へ、陶好堂さんで家紋入りのお皿。
そしてついに!
「教養番組なので」と内部撮影の許可が出たという三十三間堂、しかも時間外。
私、三十三間堂はむか〜し修学旅行で訪れた記憶しかなくて。
薄暗いお堂と物凄い数の仏像がズラリと並んでたな~…程度。
当時十代の私には特に響くものは無かったらしい。ダメじゃん、自分。
時は流れて2021年の今、木村さんの目線で見る三十三間堂は驚きに満ちて、
NHKのドキュメンタリークルーですら思いつかないアングルだろうな、これは。


まずは「無言の説得力」。
1000体の菩薩像を前に発した木村さんの一言。
皮膚感覚に満ちた表現。
彼がそう感じたのも道理で、住職さんの説明によるとここは
「会いたくても逢えない人の面影を宿す菩薩様を探す」場所。
1000体の菩薩像は一つとして同じ顔がなく、参拝者は圧倒的な数の仏様と向き合い、記憶の中に朧に浮かんだあの人の面影を宿す顔を探し求める…
何百年もの間、人々の記憶と祈りと満たされぬ想いとがしんしんと降り積もり
見えないチリのように漂っている。
「無言」の「説得力」は圧倒的な仏の数のみならず、無数の人の想いが漂う
気配そのものを感じ取ったのではないでしょうか。

何か・誰かと初めて対峙した時の木村さんは目の付け所が鋭くて、一気に本質へと
近付く感じがします。
仏像の目の造形に気づいて住職さんから象眼の手法を聞き出すところから、昔は仏像を下から蝋燭で照らしていたこと、三十三間堂全体が国宝認定されるまで45年かかったというお話まで、自然に話が弾んで深いところまで掘り下げられていく。
木村さんが特に意識しなくてもいつの間にかそうなってしまう。
特に印象的だったのは、昔、天井に銅鏡が取り付けられていたお話。
外光を反射し仏像を照らしていたという話に、「いつぐらいの時間ですか?」と
かなり唐突とも思える質問。
すぐに意図を汲んで、三十三間堂が東向きなこと、朝日が昇る時、銅鏡の反射で
金色の仏像が一斉に輝いただろう様子を説明する住職さん。
銅鏡の光が仏像を輝かせるのは何時頃だったのか、つい気になるのも道理で、
彼はまさに今、映画の撮影中。
それもスタジオでなくロケ。
お天気とお日様の輝く時間に支配される日々と思えば自然なことば。
東から昇る太陽の最初の一閃に燦然と輝く1000体の菩薩たち。
ドラマティックで映像的で、まさに極楽浄土と思えるその瞬間が、
木村さんにははっきりと、映像として見えていたのかもしれません。

見ること。

それは物事の本質と向き合うこと。
二刀流の像と向き合った時の言葉が「目が合わない。」
とても象徴的で彼の観察眼の鋭さを感じる言葉。
仏像と向き合って、何となく違和感があるなと思っても、「目が合わない」からだと
見抜く人はそういない気がします。
さらに目が合わないを、「一点を見つめないことで全てを見ている。」と表現し、
「君はあなたはいかほどの者か?と問いかけられている。」感受性の豊かさ。
今まさに剣を振るう瞬間を窺うこの神様は、もちろん剣の達人なのでしょう。
その本質を、敢えて「目を合わせない」ことで表現した仏師。
その意図を、数百年後、直観的に読み取る1人の役者。
時を超え、観る者と仏師とが対峙した気がして、ゾクッとしました。
と同時に、彼がなぜそれを読み取ることができたのか?とも。
木村さんが演じてきた人々…信長、安兵衛、新之丞、武蔵、万次。
彼らを「生きる」時、心中へ深く分け入り、剣の極意に手探りで近づく。
どれだけの情熱とエネルギーを傾け、葛藤してきたのか。
役の目で見、心で考え、身体で感じる。
それが木村拓哉の芝居の本質なのかも知れない。

見ることはまた、会うことでもあり。

一番会いたかった阿修羅像。
興福寺の阿修羅像のような美少年ではなく忿怒の表情を浮かべた修羅の神。
圧倒的な力を持つ帝釈天に闘いを挑み、負け続け、それでも挑む神。
住職さんの言葉通り「戦いの神」であり、終わりなき修羅の道を歩む者。
阿修羅像とまっすぐ対峙する木村さんの目は像と対話しているようでした。
何を問うたのか。
なぜ挑み続けるのか?なぜ終わりなき修羅の道を歩むのか?
その心のうちを探り当てようとしたのかも知れません。
阿修羅との対峙を願ったのは木村拓哉なのか、今生きている役としてなのか。
阿修羅は彼に、何を語ったのか。

撮影中の役と木村拓哉が深いところで繋がっていると思えてなりません。
もともと役に入ると雰囲気の変わる人ですが、今回は特別。
京都にしかない磁場に取り込まれ、行くべき場所・見るべきものと自然に出会う。
UOMOの撮影で立ち寄ったお寺の方がブログで「龍に呼ばれた」と仰ってたのも
京都ならではだなと思いましたし。織田信長の名前が出てきましたが、
前回の訪問はプライベートだったらしいので、やはり呼ばれたのかも知れません。
龍に呼ばれるのがこれほど似合う人もいないでしょう。

まだ正式に発表されてない作品が公になった時、私はどんな感情を抱くだろう。
その日が、楽しみでなりません。

ドアをノックしてすぐに顔を覗かせた木村さん。

すでに目がキラキラしてるんだよね。
月並みな言い方ですが、まるで少年のようで。
この日は撮休とかで人気のない廊下から楽屋、剣の道場を一つ一つ解説付きで
聞いてるだけで面白い。
主役の役者さんだけが使える特別な階段を敢えて使わず、床山さんに近いからと
別の階段を普段上り下りして「そんな人ようおらんわ!」と
スタッフさんに言われてしまう木村さん。
…合理的理由付けがらしくもあり、本当は違う動機じゃないか?とも思う。
スタッフさんに余計な気を使わせないのも、らしいなと思う。

高倉健さんのトレーニングルームで所作指導の峰蘭太郎氏と。
ここで語られるエピソードがまた木村さんらしくて。
「大スターなのにラフで普通」と言われて照れくさそうに笑顔。
「高級なスポンジみたい」と評されてまた笑顔。
峰氏の言葉からも彼が現場でもいつもの木村拓哉なのが察せられる。
ご自分が学んだ技術、作法を次の世代へ伝えていきたいという思いが、
ひしひしと伝わってくる。
「いつまでも一緒にお仕事したい」…役者冥利につきる言葉じゃないかしら。

木村拓哉が時代劇に、京都に戻ってきた。
その意味。
私が思うより相当に大きく意義深いものではないのか?
それは次に訪問した極並氏の作業場で確信に変わった。

「いた!」ってまるで古い知り合いを見つけたみたいに弾む声。
何気なく見ている時代劇の刀。
映像になった時のリアリティだけじゃない、シチュエーションに合わせた創意工夫。
谷垣監督が刀を役者さんに「当てて」撮る常識はずれな撮影手法は宮本武蔵の
番宣で沢村さんと木村さんが話してたけど、大変なのは演技部だけではない。
使う刀を作る側も頭を捻って、役者さんが怪我をしないよう最大限に配慮する。
想像力と創造性と、職人の熟練の技が合わさった作品の数々。
木村さんと極並さんには何か特別な絆があって、極並さんに褒められた時の
木村さん。ほとんどはしゃいでる感じだったよね。
極並さんの後ろでガッツポーズしてたり。
アイコンタクトでちょっとした共犯者気分を味わったり。
中でもあの言葉…「できるんやから、もっとやってくださいよ。」はズシンときた。
これ、木村さんの中の何かに火を点けたはず。
その言葉をかけられたのはどの作品の現場だったのか?
いや、そんなことはどうでもいい。
その言葉がたぶん今のキラキラした彼の原点の一つなのだろうから。

こんな木村さん前にも見たよなぁ。
そうだ、<一分>だ。山田洋次監督の「武士の一分」撮影の日々の密着。
その頃、まだSMAPでアイドルだった彼の、役者の顔を見つめるカメラ。
リアリズムと虚構のあわいを行き来する木村拓哉。
好奇心と喜びと驚きでキラキラ光る目をした少年のような男。
あの時の撮影は京都では無かったけれど、
セットに舞い散る枯葉の一枚に拘る職人気質。
果たし合いシーンのロケで監督の思い通りの風が吹くまで辛抱強く待つ、
贅沢な時間の流れ。
漂う空気感が京都撮影所のそれにとても近しい気がする。
共通するのは<時代劇>と<職人気質のスタッフ>かな。

もしかしたら、これはあくまでも私の想像だけど、今のドラマやTVの現場では
失われてしまったものが、時代劇の現場にあるのかも知れない。
大工さんの手仕事が不思議で面白くてずっと眺めていた子供の、木村拓哉。
そのころの好奇心と憧れが40代も終わりの今また、むくむくと頭をもたげて
内側から彼を突き動かしているのかも知れない。
そんな彼の、純粋で真っ直ぐに向かっていく気持ちが伝わるからこそ、
峰氏や極並氏も懐を開いて受け入れたんだと思う。
彼を見る目が包み込むようで、愛弟子に向けるそれだから。
そして彼も。先輩たちから受け継ぎ伝える志を持って向き合ってる気がする。
信じて信じられて。

時代劇の現場は木村拓哉にとって特別な現場、帰るべき場所。
たとえ数年に一度でも、たぶんライフワークとして。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

コロナは日に日に患者数が増えて毎日の通勤電車、仕事場、日常生活に到るまで
何となく落ち着かず緊張感が抜けない日々でございます。
プラス、教場Ⅱのキャンペーンでの雑誌、TVの怒涛が始まり、
着いていくのがやっと。

ですが、
インスタやweibo、FLOW、木村さ〜〜ん!!に雑誌媒体の素晴らしいグラビア。
風間仕様のアッシュヘアは大人の成熟した色気と包容力を漂わせ、
無駄の無いしなやかな肉体の直線と曲線の生み出すアウトラインの美しさは
エレガントなタキシードでもセクシーなニットでもあからさまに誘惑的で。
年齢を超えた人としての佇まいの色気とはこれほどにまで圧倒的なのだ、と。
シャープなラインの輪郭、きらきらする大きな瞳とスッと伸びた華奢なうなじは
ときおり20代の青年のようにすら見えて、本当に美しい顔立ちは年齢を超えると。
以前から何度か主張してますが、骨格が美しいんですよね、彼は。
スタイリストさんのお気に入りなのか?
ミセスと週刊テレビジョンではスタイリッシュにマントなど纏っているのが
あたかも人の生き血を吸い永遠の青春を生きるヴァンパイアを連想させて…
や、はっきり言って非常に好みでございます 笑
誰かオファーしないかしら…ヴァンパイア木村拓哉。
数あるグラビアの中でもSwitchとanan、TVガイドαは別格かな…
48歳になったばかりの彼の、今の、圧倒的な存在感を見事に焼き付けて。
木村拓哉のグラビア撮影は全てが表紙レベル。とはananの編集の言葉ですが
Switchの操上さん。圧巻の写真数に度肝を抜かれたのですが…
実は操上さんはご自分の納得いく一枚以外は世に出さないという方らしく。
昔、広告代理店から依頼された仕事で選び抜いた一枚を提出したところ、
「他のも見せてください。」と言われ、「お断りします。」と。
そこを何とかと懇願され、目の前でフィルムをハサミで切ってしまったという
エピソードも。
その操上さんが!!あの枚数を!!世に出した!!
…というのが結構衝撃的なのでした。
いや〜木村ヲタ、幸せすぎます。
97年のギフトからかれこれ20年以上ヲタやってますけど今が一番幸せかも。

Switchは毎度の事ながらインタビューも素晴らしいんですよね。
内田正樹氏が本気で考え抜いた質問をぶつけてる感が滲み出す。
木村さんもそれに同じ力で答えて返す。
木村さんはこれまであまりお芝居について細かく語る事は無かったですし、
内面的な話はほとんどなかった気がします。
それがここへ来て変わって来たなと。
役に向かうスタンスの話、共演者との関係性、スタッフとのやりとりなどかなり
突っ込んだ話をしていて、ドキドキしながら読みつつ、
ああ、彼は更に高くて見晴らしの良いところまで一気に駆け上がったのだなと。
SMAPが解散して暫くは手探りで擦り傷だらけになりながら少しずつ登っていた
岩だらけの山道が、パアッと視界が開けて目の前に雄大な風景が広がったような。
眼下に広がる草原、青い湖水、その向こうに聳えたつ未踏の山。
彼は再びそこを目指して歩き出してるのではないか。
後ろを振り返ることもなく。
彼と同じものを目指して寄り添う沢山の人たち。
しかし目指す高みは自分の脚で登りつめるしかない。

…そんな情景が浮かんで来たのは中江監督のインタビューを読んだからでした。

https://www.fujitv-view.jp/article/post-231762/

プライド以来コンビを組むことは無かったのに実によく木村拓哉を見てらっしゃる。
ライブ前後から何だか脱皮したように若返ったなとは思っていたので。
ヲタ並に木村拓哉を見つめつつ、俯瞰の目と客観性。
クリエイターの目線ですよね。

逆境を乗り越え悲しみ苦しみをも糧としてより光り輝く。

そういえば、NISSANのCMがまさにそれで。
木村拓哉の物語。
を、CMを見ている人たちが共有しているからこそ生まれる説得力。
裏打ちするのはゴージャスな存在感と包容力。
華奢に見える身体の、背中は限りなく広く温かい。

という様々な前提があっての教場Ⅱ、前編。
宮坂ショックで色々と吹っ飛んでしまったのですが…。
前作の「死ぬな。」の伏線回収をまさかのここで!?
と、君塚氏の脚本と中江監督の冷酷とも思えるドラマ作りの作法。
今晩の後編では…右眼のエピソードが描かれるとか…。
四方田さんの「私を恨んでますね?」
風間の「私ほど警察を呪ってる者はそういない。」
あの子とよく似た宮坂の「死」
あの子と同じ「殉職」
あの子を失い今また教え子を失った風間の、右眼のあった場所はもしかしたら、
ズキズキと幻の痛みを感じているのではないかとふと。
涙を流すこともない、空虚な穴の中で。

後編、楽しみです。
どこから書こうか。

最初の逃亡者から最後のネクタイが劇的に靡く瞬間まで。
島崎の居る空間ーシーンの全てが意味ありげでスリリングで楽しくて、
色っぽくて切なくて。
画面に惹きつけられすぎて延長20分の実質63分。
あっという間に駆け抜けた感覚。
前にも書いたけどBG続編情報が某紙メディアで報じられた際は正直
「え?いやそれ別にそんな要らないですけど。」でした。
コロナの影響でソーシャルディスタンス。味気ない展開になったりして…などと。
ごめんなさい!!あの時に私に小一時間説教したい。
ドラマはね、見ないとわかんないもんでしょ?

去年グランメゾンのアナウンスがあったときも期待値めちゃ低かったけど
結果的に3ヶ月間夢中で楽しかったじゃん?
学ばないね、自分w

6話のラストで決裂したかに見えた高梨島崎バディ。
劉社長との待ち合わせ場所へ先回りしてる警察。
ルパン三世よろしくサーチライトに照らし出される全身黒の島崎。
謀られたか!?このまま逃亡者に?
…次のカットが炊き立てご飯を混ぜる島崎で思わず「は?」となりました 笑
でもその表情は固くて身支度の姿も緊張が見て取れて。
出動前に炊き立ての白飯。
まるで決死の覚悟の出陣前の武士のようではないか。
ふと瞬の部屋を覗く。いつも通りひねくれた反応の一人息子。
「ああ、ごめんごめん、仕事行ってくるわ。」
(ごめんごめんってハウルかw)
「朝卵かけご飯食え。白飯に生卵。醤油ひと回し。味付けのり5枚。
…これ以上のご馳走はない。」
痺れました。この声。そのリズム、音の強弱。
自分に言い聞かせるように独り言の口調。
やっぱり武士だわ。この人、命の危険を察知してるわ。それでも行くんだわ。
気持ちを表す単語が一つも入っていない。サヨナラもない。
それでも、これは惜別の言葉だと分からせてしまう巧さ。
腹を括った島崎。尋常じゃない様子を察知する息子。
心の深い処で繋がった親子。(似てないけどね)
そうは言ってもまだ中学生。高梨と笠松先生のところを訪れる瞬は
冷静に見えて切羽詰まってる。
助けを求めるのに母親でなくその二人を選んだ心の内…
(前妻が出てきても困るがw)

そして島崎はまたもやハウルの如く「ごめんごめん。」と言ってしまうのだった。
「寝てた?」
高梨雅也。仕事上の相棒。頼れるバディ。
「あたり前だろう。素っ裸だ。」
(ちょっと高梨意味分かんないんだけどなんで嘘つくの?何アピール?)
「ふーん。ワイルド!」
噛み合ってるようないないようないつも通りの2人のやり取り。
島崎の第一声で様子を見てとる高梨。
分かって居ながらわざと軽く振る舞う島崎。
切ないです。お互いに相手の身と将来を案じるからこそで。
「村田さんの一件を忘れたのか?」「忘れるはずないだろう。」
同じ過去、同じ悔しさ・哀しみを抱える者同士だけに通じるやり取り。
それだけに、高梨の歯がゆさ、不安、がビシビシ伝わってくる。
「仕事だ。じゃあ」「じゃあって何だ?続きがないと分からないだろ!」
「島崎章、勝手に死ね!!」
ヤダもうこの2人。通じ合いすぎてるんだもん。
村田さん亡き後高梨はストッパー。島崎はそれを外す。
相手を思えば思うほど、高梨は悪態をつき島崎は黙ってしまう。
その後の劉とのやり取りで島崎は「アイツを解放してやるべきだった。」と言う。
解放。ー島崎は自分の我儘で高梨を縛ってると感じてたんだな。
そうじゃないんだと高梨がどんなに反論しても。
だから高梨は素直になれない。
ここにも切なさがある。
お互いに心の底で分かり合えてるのに。
高梨は繋ぎ止め島崎はそれを断ち切る。
ロケーションも最高にかっこいい。
降りしきる雨の中、フードを被った島崎が寂れた倉庫へ侵入する。
がらんとして薄暗いむき出しの床、壁には中国語のチラシ。
往年の香港ノワールのセットのよう。
高梨、島崎、共に声がいい。映像と声。世界観を邪魔するものが一つもない。
ブロマンス風味丸出しの男二人の最高にハードでロマンティックなやりとり。

劉社長と島崎。
大事な人を目の前で暴力で奪われた者同士。
劉は島崎の過去を調べた筈。どこまで知って居たのだろう?村田さんの一件を。
「ボディガードが身体を張るのを証明してみせたらどうだ?」
劉の挑発を受け流す島崎の、心底うんざりした表情。
「あなたを守ります。用心棒なんで。」
この時点で劉が本当の話をしてるのか嘘をついてるのか私には分からない。
…よくまぁ信じたよね、島崎。
高梨じゃなかったら本気で見捨てたかもしれない。

劉社長を護ると決めた島崎。
図らずも笠松先生が巻き添えに。
でもあそこで笠松先生が機転を効かせて乗り切れたのは
瞬が先生に会いに行ったから。
学校サボったって島崎は怒ってたけど陰の功労者ですよ、息子くん。
その瞬を意図せず焚きつけたのは正直者の高梨だし。
島崎の近くにいる人は皆、その信念に否応無く巻き込まれ振り回されながら、
彼を愛し、心の底から無事を願っている。
これがシーズン1との決定的な違いかなと思う。
前シーズンの島崎は受け身で常に巻き込まれていた。
面倒は常に向こうからやって来て彼をキリキリ舞いさせて放り出す。
シーズン2の島崎はむしろ、自ら面倒を引き寄せて飛び込んで行く。
攻めて行く姿勢が危機を招き、周りに助けられてクライアントの未来を護る。

そして今回も出ました、ロン毛ストーカーこと加藤一馬。
かっこいいっすね、加藤。武器はナイフ。みるからにヤバめの造形。
加藤と島崎の死闘は間違いなく見せ場で、武器を持たないBGが
凶器を振りかざし殺しも(多分)厭わない男にどうやって立ち向かうか。
シャッ!と耳の後ろ切られたときは「痛っ!」とこっちも身を固くする。
あんなん敵わんでしょう!劉社長は傍観してるだけ。ちっとは手伝え!!
咄嗟に濡れタオルで反撃するも所詮は布切れ。
ガッキーン!と壁に火花が散ってガガッと縺れあってロン毛の凶器が迫る!
と、そこへデカくて黒い猛牛高梨が突進!!!!
ロン毛をぶちのめしてついでに腕まで折っちゃったwwww
加藤一馬、哀れ。
絶体絶命のピンチに高梨。
きっと来ると思ってたぞ高梨。
てか、絶好のタイミングまで待ってたのかもしかして…(それはない)
そんな高梨を、島崎は急流へ突き落とす。
「島崎君、彼を排除しろ。」
の後の、島崎のアップが怖い。
予告で見たとき目が据わって口調が不気味すぎて、
まさか島崎、劉社長に洗脳されるの!?
…とビビってましたが完全にミスリードですね。
ここでも島崎の自分ルールが炸裂。
すなわち【クライアントに絶対服従】
劉社長の命令=「彼を排除しろ」
しかし高梨は自分と社長の窮地を救った恩人である。
高梨という掛け替えのない相棒がいれば鬼に金棒、怖いもの無しである。
両方を成立させる方法を咄嗟に思いついた島崎。
梨を崖下へ投げ飛ばす。
やだー!!島崎のバカぁぁぁぁぁ!!!!
…すっかり騙されましたよ私。
劉社長と高梨、入れ替わったのね。
一悶着あった後、ガシッと組み合って「落ちるなよ。」
クライアントの命令通り彼を排除し、引っ張り上げて、影武者として利用する。
いやこれ、万が一にも高梨が落っこちたらどうするつもりだったのか島崎。
高梨の身体能力、元自衛隊員の履歴考えても危険な賭けじゃないですか?
私が高梨だったら島崎と縁を切ってたかもしれない…
相棒にするには危険すぎる男…。

用意していたレンタカーで高梨と落ち合うまでのほんのひと時。
笠松先生に電話する島崎。
「私には言う権利がある。…仕事で命を落とすなんて、最低。」
ニヤッと笑うんだよね、島崎。すっごく嬉しそうに。
彼女が自分に惚れてるのを確認した瞬間の、男の笑み。
笠松先生がまた可愛いのよねーーーー。
「仕事より好きな女とお寿司を食べるほうが人生にとって大事よ。」
「ありがとう。  めっちゃくちゃ勇気出た。」
これ!この、ありがとう と 勇気出た の絶妙な間。
少し低くて微妙に揺れる声のトーンと目線。
愛しい人が目の前にいるかのような目の動き。声を聞くときの表情。
島崎は笠松先生に心底惚れている。
この手のお芝居やらせたらたぶん、木村拓哉の右に出る人はいない。
役者と役がピタリとシンクロして、島崎章が木村拓哉の声で肉体で語り出す。
それをフワッと受け止める市川実日子さんがとても敏感で繊細なお芝居。
一度は酷く傷ついた男と女が、紆余曲折を経てお互いの気持ちを、
スマホを介して確かめあう。
たったそれだけのやり取りがたまらなく色っぽい。
触れ合わなくてもキスしなくても男と女は言葉と声で抱き合う。

滑走路のシーン。
劉社長をどうしても信用できない3人と信じぬこうとする島崎。
このシーンの島崎はちょっと久利生を思い出した。
人を信じるということと、善人か悪人かは別である。
その人が本当に困っていて助けを求めているのなら護り抜く。
それが人の未来を護るってことじゃないのか、と。
正しいことをやれ。
アライフの沖田先生にも通じるかな。
その人がどんな人なのかは関係ない。
命がけで助ける。
その言葉に劉が決意する。
「誤差なし。」
島崎が空を仰ぐ。
HEROで久利生がそうしたように。
そしてカメラは天空高く舞い上がる。
村田課長の天からの視線のように。


劉社長は島崎にとって単なる依頼人以上の人だったんだろうな。
彼を護り抜くのが大きく危険な賭けなのは重々承知だったはず。
丸腰のBGが本当に依頼人の盾になるのか?
盾になって命を護った村田課長。
自分は、村田さんのようにやれるだろうか?
劉社長は島崎を信じ、彼には【盾になる】ことがどうしても必要だと直感した。
ロン毛こと加藤が拳銃を向けた時、島崎の脳裏にはあの瞬間が…
村田課長が狙撃された、悲劇の瞬間が蘇ったはず。
これは賭け。
島崎の信念が正しいのか間違っているのか。

島崎が目覚めた時に側にいたのが息子の瞬。
「一生治療してやってよ。」
笠松先生の答えは「進展なしでいいんじゃない?」でした。残念!
いやこれはきっと序章に過ぎない。
だって笠松先生は危ない男が好みなんだもん。
結婚後わずか3ヶ月で旅立った元旦那は島崎によく似たタイプに違いない。
「わかったの。あなたみたいな人を一生、縛ることはできない。」
少年のようにキラキラ光る大きな瞳をした綺麗な男。
自分勝手で関わると面倒に巻き込まれるのは分かってる。
でも、楽しい。
ドキドキしてハラハラして、あーもう最低!なんて言いながら、
彼と居ると最高にスリリングで楽しい。
大事なのは距離感。
大人の恋がどんな方向へ進むのか?この先が楽しみ。
(シーズン3があると決めつけてます)

最後は島崎警備の事務所。
あっさり人生の方向転換を決める小次郎に唖然のおっさん二人。
二人しかいない事務所内でわざわざレシーバーで会話する。えらくシュール。
高梨、自意識過剰だよね…面と向かって話すのが照れるらしい。
「ここで粘るわ。」
「大手と業務提携とか。」そうそう、島崎は経営センスゼロの男。
ここで身を固めるとかぽろっと言ってしまって島崎に突っ込まれて「いつもの妄想!」って。
ああ、なんだ妄想か。話になんねぇ。と、でも人のことは言えない島崎。
「こんな時代だからこそ、人の役に立つことができるんじゃないか」
これは島崎の主張と連動する部分もあるんじゃないかな。
悪人でも護る。
いい人なら信用するのか?は「悪人は信用に値しない」「護るに値しない」へと
容易に切り替わる。
病に苦しむ人が居て、善人なら助け悪人なら見捨てるのか?
その人の価値は誰が決めるのか?
どっちかじゃなくどっちも、だろう。
これがたぶん島崎の言いたいことで、高梨はそれを理解したからここに居る。
死が二人を分かつまで?
いや、お互いを信じられる限り、たぶん。

海老蔵様、本当にちらっとでしたね。
もし可能ならシーズン3製作してぜひ、ゲストとして登場していただきたい。
海老蔵様のアクション、凄いから。

全7回。
期間にして1ヶ月半。短かったなぁ。
濃密で萌え萌えで島崎のビジュアル最高でブロマンス大成功だった。
やっぱりシーズン3が見たいよね。

いきなりなんですがカレーのエピソード必要でした?
全7話に短縮され来週は最終回。
劉社長、桑田議員の確執と罠。謎のロン毛の正体に一歩近づくいわば助走回のはず。
自粛後に撮影されたようですが…大人の事情ってやつ?
唯一、島崎が頑なにカレーを断るシーンは興味深かった。
自分のルールに絶対服従の島崎。そう、クライアントのみならず島崎を縛るもの、
それは【ボディガードはかくあるべき】という信念。
毎回面倒くさくてお金にならなさそうな依頼を「助けを求めてる」からと請け負う。
その度高梨が「まぁたこの人は。付き合ってやるのこれが最後だからな!」って
(口に出さねど態度と顔に書いてあるw)サポートに入る。
島崎は我儘な上に経営センスゼロ。支える高梨。という構図。
…実は島崎より高梨のが周りが見えてたのか。
島崎が笠松先生とデートしてたと知った高梨の笑顔、最高に可愛かった。
「なに照れてんだよバツイチの癖にw」
おっさん&バツイチ。
高梨のお気に入りワードw
この2人最高。
男同士でわちゃわちゃ仲良しグループなノリは苦手ですが、バディなら好き。
仲が良い悪いじゃないんです。
バディ=必然の関係なのです。
ナッシーザッキーの熱い絆とアクションに萌えてしょうがないのです。
(メインストーリーがイマイチでも)
とりわけ島崎警備内でのラストシーン大好きでそこだけ何回もリピしました。
「悔しいくらい動きやすかった。」「これでやっと一緒にやっていけるって」
「腹から思いました。」
…くぅーッ堪らんなぁ♡
島崎は劉の依頼を受ける。
罠。その身を危険に晒すと分かっているのに止められない。
歯ぎしりするほど悔しかったはず。
【オレはアンタのかけがえのないパートナーじゃないのか?】
高梨の言葉にならない声はきっと島崎に届いたはず。
心を敏感に読み取る人だから。
それでも彼は、信念を曲げない。
ボディガードを憎む劉社長だからこそな気持ちもある。
銃を向けられても盾になりますと断言したのだから。
一方で、命も危ない賭けに高梨を巻き込みたくない。
…あのシーンの島崎、最上に見えた。
沖野に詰め寄られ嘘で固めたストーリーをでっち上げる最上。
白々しい嘘を見抜く沖野の絶望と失望。
でも最上は島崎みたいな切ない顔はしなかったよね。
沖野は最上にとって対等のパートナーには成り得ない。
対して高梨を見上げる島崎の目はハッとするほど切ない。
【全部俺のワガママだから。】
言葉より、むしろ言葉の外側の沈黙にこそ2人の本音が見える。

進んで危ない橋を渡る島崎を止めようとする高梨の関係性。
「お前に守ってもらうよ。」
「お断りします。」
「冗談だよ。」
口ではそう言うが高梨は島崎を放っておけない。
絶対に助けに走る。全速力で。
そんな2人の関係性がどんな結末を招くのか。
見たいけど見たくないような。
どうか2人が笑ってるラストでありますように。

笠松先生とのシーンも本当にいい。
久々に恋する木村拓哉の醍醐味を味わってる感覚。
島崎の部屋を訪ねてきてカレーをご馳走になる流れ。
関係する・しないで変に先走って意味不明なやり取りする男と女。
カレーを用意しながら島崎の動作も会話も絶妙にギクシャクしてるの可愛い。
大人の男の可愛さ。こういうのほんとに上手いよ木村さん。
お互い意識しまくりなのに素直になれない…傷ついた過去がある大人ゆえ。

その前振からの、屋上の夜景のシーンがまた最高に味わい深い。
あなたのことはよく分かってる。かなり無茶をする性分だってことも。
「あなたは、不死身じゃない。」
島崎の心に小さな小石を投げ込む言葉。動じないはずの心に波紋が広がっていく。
目を閉じお互い手探りで理解しようとしているようなもどかしさ。
手さえ繋がないふたりが言葉の指先で触れ合う、温度。
「東京タワーの先っぽだけが見えてきれいですね。」
テンパってるのか島崎意味不明w
笠松先生のほうからさりげなく距離を縮めてくのも、
それを斜め上から後ろ姿で捉えているのも
素晴らしいです…大人の背中はおしゃべりですね。
「過去があるからあなたも私もここに居る。」
辛さを乗り越えて、でもやっぱり心に傷を抱えたもの同士の切ない温かさ。
木村さんと市川さん。お芝居の相性抜群に良いですね。
ずーっとこの2人のやり取りを見ていたいと思いました。
…しかし今回もキスどころかハグすら無く。
先週のロン毛からバトンタッチで今週の沢口。
ちょっとだけホッとしたような、でもかなり残念そうな笠松先生。
このふたり、結ばれて欲しい。
でも、島崎はたぶん亡くなったご主人と同じタイプな気がするんだ。


泣こうが笑おうが今週が最終回。
7話は、やっぱりあまりにも短いです…。
面白かった!!
ストーリーももちろんだけど、ドラマに引き込む映像の力って大きいなぁ。
常廣監督の演出が冴え渡る。
冒頭、凪子が襲われるシーン。
階段降りるタイミングで下の方から全速力で走ってくる男。
はっとして立ち止まる凪子。男はどんどん距離を詰めてくるけれど身体が動かない。
数十秒のカットで彼女の味わった恐怖と痛みがダイレクトに伝わってくる。
微妙に画面が揺れる撮り方も不安感を煽り立てる。
そこからの島崎の全力疾走の後ろ姿への繋ぎのスムーズさとスピーディさ。
これですよこれ。
セリフがほぼ無くてもバックグラウンドが分かる。
高梨と島崎の巧みなポジショニングを、引きの映像で見せていくのもうまい。
口ではなんだかんだ言い合いばかりの二人だが、いざ任務となるとまるで違う。
一つの感覚を共有してる不定形生物の一部のように、有機的に効果的に動く。
二人が優秀なプロで信頼関係でしっかりと結ばれているのがよくわかる。
監督、空間の使い方が上手いな!と思ったシーンは他にもあって。
例えば凪子が課長を呼び出した部屋。
カメラは凪子の頭上から降りてきて、背中越しにテーブルの上に裏返しで置かれた
赤いスマートフォンを捉える。
部屋に漂う緊張感を映像で伝えること。
それで台詞や役者の芝居が何倍も生きてくる。
高梨と島崎二人のシーンで思うのが、役者のお芝居に頼らず、細かいところまで
気配りしてるなぁってこと。
常に役者さんの顔にフォーカスする必要はないんだよね。
映像全体を見て、より効果的に意図を伝えるにはどう撮るか。
神は細部に宿る。
空間把握に優れた方なんだろうと思う。
撮りたい画が、平面的な二次元でなく恐らく奥行き・高さが加わった三次元で
はっきりと脳内に描けてるから、
カメラの位置、動き、役者のお芝居へのアプローチの精度が高いのかも。
その意味でも木村さんにはぴったり。
彼もまた空間把握に優れた役者さんだから、演出意図が理解しやすいだろうし。
一緒にお仕事するの楽しいだろうな。

今日、ツイッターで「劉社長と島崎は同じ境遇だ」との呟きを見て目から鱗でした。
劉社長は最愛の人を。
島崎は心の支えと目標の人を。
それぞれ凶弾によって失っている。
劉と島崎はコインの裏表、または奔流を挟んで両岸に対面しているようなもの。
お互いが理解し合う日は来るのか?
来週は劉社長直々に島崎に警備を依頼するようで…どんな展開になるかワクワク。
本来、5話から10話辺までがっつり描くはずの内容をどうやって纏めるのか。
試すようにひた、と島崎の額に狙いを定める劉。押し返すように半歩前に出る島崎。
相反する二人がお互いの存在意義を賭けて相見える。
島崎の、カッと見開いた目。半開きの唇。
全くの無防備なのに気迫で相手を圧倒する。丸腰の強さ。
用心棒。
棒は棒でも意志もあればプライドもある。

その島崎の内面を察しているだろう高梨。
不安でもある。
村田さんが殉職し、もしかしたら島崎も?と。
ボディガードを駒としか見てない劉に反発して会社を辞めた島崎。
その心の奥底に潜む闇を、高梨は感づいてるのかもしれない。
「感情的になったら引退だな。」
嘯く島崎に「全然面白くない!」と憎まれ口を叩く。
高梨、押しかけバディですっかりタメ口。
「あんた一人で警備できないくせに。」
「感情的になるのが怖いんだろう?」
「正直になれよ!」
や、高梨が正直すぎるんじゃない?
菅沼には素直になれない高梨。
実は未練たっぷりな高梨。
菅沼ちゃんも高梨を吹っ切れてない様子。
でもこの二人はよりを戻しそうですね(多分)
一方、沢口と凪子は決別。
「距離を置かない?」
そう言って歩き出した凪子が、後ろ姿で一瞬立ち止まるんだよね。
駆け寄って後ろから抱きしめたら違ったかもしれない。
でもそうしなかった。
「自分だけカッコいいすよね。」
沢口、それ完全に八つ当たり。
それを言っちゃうのがまだ子供。


一方、多佳子先生と島崎は着々と進展が。
回転寿しで多佳子先生と同じものを注文する島崎。
同じバツイチと知って動揺する島崎。
元ダンナは自分より強かったと言われ素直にカチンと来る島崎。
島崎、いちいち振り回されすぎwww
多佳子先生、過去に恋愛で痛い思いしたんだろうなーと予想はついてたけど、
痛い思いどころじゃなかった…。
新婚3ヶ月目に殉職したダンナさんに「酷い人ですね。」と言っちゃう島崎。
え?と思ったけど、結果的に多佳子先生の心を軽くする一言に。
多佳子先生、周りの人に気を使って(遣わされて)取り乱したり、悲しんだり、
怒りをぶつけたり出来なかったんだろうなぁ。
周りの人達が【優しさ】【思いやり】でかけた言葉が重荷になる。
あるあるなのよね、意外と。
あのシーンの多佳子先生のサバサバした口調が心の傷の深さを物語っていた。
「あなたに話して良かった。」
つぶらな瞳でストレートに口にする多佳子先生。
そんな彼女の気持ちと瞳の切なさをしっかりと受け止める島崎。
何と言おう?どんな言葉も嘘くさくなるこの状況で。
ああ。
こんなデリケートかつ切ない状況こそ!!木村拓哉の本領発揮なんですよ。
ためらう唇、揺れるまなざし。
その濡れた大きな瞳は言葉の何百倍も雄弁です!!

〔そう、そうよ!!
 島崎、キミに求められてるのは言葉じゃないの!!
 大人の男の包容力と色気なんだよ!!!!
 ハグしろ!!キッスいけーーーーー!!!〕←心の声w

なのに。
何ですか?あのロン毛野郎。
盗撮してんじゃねーよばーーーーーか!!!!!
と思わず画面に向かって怒りを爆発させた木村オタは私だけじゃないはず!
(ロン毛野郎、よく見ると顔もいいしモデル体型。中の人ごめんね)

まぁその後の路地裏アクションがめっちゃくちゃカッコ良かったので許す(何様)

ハイスピードで撮影したのか?と思うほどの超秒殺肉弾戦。
木村さん、カポエラだっけ?格闘技のレッスンの成果が確実に出てます。
はい、こうしてこうなってここでこう!でやれるアクションじゃないですし。
常廣監督のカメラワークと空間把握が冴え渡る。
動きのポイント、アングルを計算し尽くしてます。アクションを分かってます。
「早すぎて何がどうなってるかわからーーーーん!!」なんてことにはなりません。
どんなに激しいアクションでもフレームアウトしない!
と無限の住人のカメラマンに称賛されていた木村拓哉の空間認識力を、
余さず映像に捉えてくださって有難うございます!!

あと2回。
来週カレー屋さんって…ストーリー的には大丈夫なのかしら…。
途中で終わって来年シーズン3でガッツリでもええんやで?
高梨島崎のブロマンス風味バディの活躍ならずっと見ていたいので。

*木村さんが習っているのは「ブラジリアン柔術」とのことです。
4話で島崎が護ったのは「記憶」。

一つは12歳の頃の自分の本当の気持ちを綴った
「タイムカプセルで眠る記憶」
もう一つは
「12歳の頃の自分が犯した過ちの記憶」

前者は「将来の夢を父によって否定された自分」の記憶で、被害者な自分。
後者は「悪意無しに友達の人生を変えてしまった」いわば加害者の自分。

父親は息子の憧れを否定し彼が引きこもる引き金を引いた。
が、島崎に渡された手紙を読むまでそれに気づかずにいた。
「お前の事を思って。」の言葉の裏にあったものは父親のコンプレックス。
息子の自主性を押し潰し結果的に父も子も不幸に陥る。
私、似たような話が過去、身近にあったんです。
そこから立ち直るのには時間がかかるし、親子共に傷は深い。
が、被害者意識いっぱいの大輔も実は親友の心に大きな傷を負わせていた、
という二重構造。
被害者と思ってた自分は加害者でもあった。
…何ともやりきれない展開ではある。
いつの間にかクライアントの人生に深く脚を突っ込む宿命(?)の男、島崎によって
父と子、同級生同士のわだかまりと葛藤とが解決して一件落着ではあるけれど、
親友の彼にしても大輔にしても、失った時間は取り戻せないもの。
新たな一歩を踏み出したであろう二人により良い未来が訪れますように、と
祈らずにはいられませんでした。
正直、予告見た時は「えーと。ああ、三密回避ね。」などと思ったのですが、
岡田義徳さんと父親役の平泉成さんのお芝居が味わい深くて…
ちょっと泣いてしまいました。
私の息子も鉄オタだし本棚には『鉄道ジャーナル』。
他人事とは思えない 笑

島崎は純粋に依頼人を守ることだけを念頭において行動する。
規模が小さくなった分、必然的に依頼者のパーソナリティに踏み込むお話になる。
そこが良い方向に作用していると思える。
前シリーズと比べて1話ごとのゲストのエピソードも味わい深い。
スタート前に主要スタッフと徹底的に話し合ったのが功を奏したのか。

今回のあのシーン良かったなぁ…大輔を殴ろうとする谷口に自分を殴れ、と。
一発目のへなちょこパンチの後の「人を殴ったことありますか?」
拳を握らせ「ここです。」のシーンの目ヂカラすごい。
あの凄み何?…頬に拳を当てさせる時の、有無を言わせぬ仕草、ことば。
圧倒的な暴力に丸腰で立ち向かう島崎。
くぐり抜けてきたであろう無数の修羅場の痕跡が凝縮され、可視化された瞬間。
(一瞬Shitaoがよぎりました。ドンポに銃を向けられた時の。)

そんな島崎ですが、高梨からは「無責任」瞬は「弱いダメ人間」扱い。
高梨といると島崎の大人気ない部分がどんどん出てくるのも良き。
瞬と高梨、似てるんだよね。内心心配で堪らないし危ない仕事は回避して欲しい。
でも素直になれない。
瞬は思春期で納得だけど高梨は何なんだ?
永遠の反抗期、万年少年か?
そもそも勝手に押しかけてきた癖に食わせてもらえてないとか言いたい放題。
単なるツンデレですかあれ?
島崎の扱いも雑というか意地悪いと言うか。
逃げてきただの菅原への当て付けだのそこまで言うか?めっちゃキツい。
なのに事務所に居る高梨、健気。
好きすぎでしょう島崎を。まぁ前シリーズの時から分かってたけど。
痴話喧嘩(?)の後、憂い顔でビールラッパ飲みしてる高梨。
そうか、そんなに島崎のことが…(いや、菅原の事考えてるんでしょう)
あからさまにブロマンス風味。
大好きです、私w
何事にも動じない島崎が高梨と瞬にはムキになる。というのもとっても萌えますw
あ、そうそう。もう一人本気にさせる人がいた。
劉社長には本気で怒りを爆発させますよね。
劉社長、もしかしたら、フィアンセを殺害してたりして。
犯人はトオルw

さて、そして。
ようやくですよ…大人の恋愛。
笠原先生と島崎最高ですわ。
瞬の言葉にときめいてワクワクを隠せない島崎。
絶妙のタイミングで笠原先生から電話。
バックグラウンドの雑音のおかげで島崎には彼女の姿が手に取るように分かる。
息子の怪我にかこつけて電話してしまった気持ちが。
スマホを通して気持ちのキャッチボール。
思わせぶりの打球を見事に拾う島崎。
スマホを一旦外して胸に押し付けた瞬間、
「胸のドキドキを聞かせたいのか島崎!!!」と思ってしまった私w
笠原先生も島崎と同様、恋愛で大怪我した過去がありそう…
酸いも甘いもかみ分けた大人のもどかしさ、最高です。
こういうのはほんと、木村拓哉の独壇場ですよね…繊細な仕草、声のトーンに
一歩を踏み出せない男の迷いと恋する気持ちのワクワク感が溢れてる。
会話のあとにシャツのボタンを留め直す笹原先生こと市川実日子さんも素敵。
市川さんやっぱいいよねー。
お芝居の細やかさとセンスが木村さんと通じるものがあると思う。
あと3話。
二人の恋の行方を細やかに描く余裕はなさそうなのが残念すぎる。
島崎、高梨に笠原先生の3人を軸にスピンオフ作ってくれないかしら。
お願いしますよ、テレビ朝日さん!

毎週思うのだけど島崎章、シーズン1とキャラ違いすぎません?
前シーズンの、警護の腕は確かだが実直で不器用な男で巻き込まれキャラ。
今シーズンの島崎はベテランボディガードで人の気持ちを敏感に察する苦労人、
だけじゃありません。
決定的な違いは色気。
ビジュアルの良さが段違いなのもありますが(これは中の人の問題w)
ちょっとしたやり取りにオトナの余裕すら感じてたまりません。

その目線でいくと3話のクライマックスは屋上でのアクションではなくもちろん!
多佳子先生とのあのシーンですよね。
恐怖のあまり腰が抜けてるのを素早く見て取った島崎。
どうぞ、と手を差し出す。けど、多佳子先生は強がってなかなか手を取らない。
躊躇いながら照れ臭そうにそっと伸ばした指先をグッと!引いてザッと!肩を抱いて
(キスする?と勘違いしたのは私だけでないはず)腰に手を!!
やだ、めちゃくちゃ女の扱い慣れてません?
しかも「クライアントの大事な先生ですから。」って。
強がりを見抜いた上での優しさ。
…多佳子先生みたいなタイプは絶対にグッとくるんですよ!!
(個人の感想ですw)
島崎は昔に別れた妻への未練残してるタイプじゃなかったっけ?
おーい、キャラ変してますよー?
いやいや断然、今シーズンのが好みだからいいのですw
余談ですが多佳子先生とのやりとりでギフトの由紀夫思い出したよね。
桃井かおりさん演じるやさぐれ女医を軽〜く自然と腰に手を回したあの感じ。
「あんた良い感じよ。女の扱いに慣れてるね。」ってやつ。
そういえば市川実日子さん、ちょっと桃井さんと似てる気がする。
女っぽいけど色気あるけど、どこか中性的というかベタベタしてない感じが。
木村さんとのお芝居の相性もいいな〜と思う。
後4話しかないけど、もっと親密なシーンを期待してます。ぜひ。

島崎オトナだなぁと感じるシーンは他にもあって。
例えば菅沼ちゃんの地雷踏みまくって怒らせた高梨とのやり取り。
追いかけろよの言葉に「あんたに言われたくないね。」「バツイチの癖に。」
憎まれ口を叩く高梨に「バツイチだから分かるんだよ。」の見事な返し。
やっぱり置いてけぼりになっちゃった高梨と車内でのやりとり。
「さすが先輩。」「遅いんだよ後輩!」
リズム・言い回し・表情、パーフェクト。
前シーズンの島崎ならあそこで黙っちゃってたと思う。
息子の瞬とのやり取りもだいぶん違っていて。
ケチャップいる?と尋ねただけなのに「子供扱いするな。」と邪険な一言に、
「オレはかけよ、47歳だけどな!」
あの口調と表情にはクスッと笑ってしまう。
大人の男の子供な部分ってたまりませんよね。
ジャンクションの店員、小次郎くんのあしらいも最高で。
毎回邪険に扱われる小次郎くん、今回は勢い良すぎてコケかけた。
あの時の多佳子先生の笑い、お芝居でなく市川さんの素な気がする。
こういうちょっとしたやり取りにこそ、セリフ回しと間の良さが光ります。
細部まで拘る。島崎章ならこうするでしょ?な感じを全て掴んでるからこそ。
木村拓哉は木村拓哉だけども頭のてっぺんから指先まで完全に島崎章。
だからこそ、前シーズンとキャラ変してても違和感ないんでしょうね。

斉藤工さんもどこまでも高梨。融通が効かず愛想がない。
でも誠実。そしてたぶん、島崎が大好きで心配もしてる。
二人でコントをやってくれないかなー。
木村さんはコメディ作品あんまりやってないけど、絶妙なセンスできっと楽しませてくれるはず。やってくれないかなぁ。
個人的には長澤まさみちゃんかお松さん希望。

3話のアクションシーンはピンと来なかったけど、負傷した島崎が自ら手当するのが非常にカッコ良かったです。
道岡氏を問い詰めながらさっと布を取りほぼ手元を見ずクルクルっと布を巻いて
口に咥えてキュッと結ぶ一連の動作の無駄のない美しさ。
あまりにも手馴れてて早くて思わずリピートしてじっくり見てしまった。
どんだけ修羅場くぐってきたのだ島崎。
そういえば激昂した高梨を抑え込む身体の動きもすごすぎた。
ボディガードの前はどっかの国の傭兵でもやってたのか島崎・・・。

道岡の態度と行動から本心を見抜いてた島崎。
1話も2話もそうだった。
人は時に気持ちとは真逆の言葉を口にし行動する。
ボディガードは依頼人の肉体を護るのが仕事。だけど島崎のやり方は結果的に
その心の内に踏み込んで、一番大事なものを護りぬく。
「地獄でもお供します。」の地獄は必ずしも死んで行くところではない。
その言葉を受けたからこその道岡の
「行ったことが無いのは地獄くらいだ。」が出てきたと思うし、道岡にとっては
生きていること自体が【地獄】なのかも知れない。
地獄を生き、死んでから行く先も地獄。
同じ地獄なら生きて、また這い上がってみせる。
それが道岡の野心。
道岡にとっての野心、這い上がってみせるという決意こそが、生きる目標であり糧。腹を括ったからこそ、自分の罪を告発する勇気をもてたのかも。
いい話ですねー。
いやでも!!警護料金52万8000円はすぐ払ってあげて。
島崎警備は自転車操業なんだから!!
多佳子先生も適当だな。たんまりもらえるんじゃ無かったのか。
無事に護ったのだから、病院に請求してもいいと思うよ?
スキャンダルにならずに済んで手術も成功したんだから。

1、2話の演出が良すぎたせいか、3話は編集の雑さがちょっと気になったかな。
CM入るタイミングが特に。
ライティングもコントラスト強くてセット感が丸出しなところもあった。
美は細部に宿る。
できたら改善してほしいかな。
階段落ち痛そうでしたね…気がついたら息止めて見てました。
恵麻を抱えてサッと脇に隠れた島崎の頭上に粉砕されたプランターが降ってくる。
同時に標的の人相と武器を特定、島崎と連携した高梨がバックアップに入る。
盾で弾除けしつつ全速力で駆け上がる高梨が素早く確実に盾を島崎に渡す。
受け取った島崎が恵麻を抱きかかえて走るが弾を避けようとしてバランスを崩し
そのまま階段を落下。
手に汗を握るシークエンス。
階段の高さ、構造(階段の脇に空間がある)の効果的な使い方、カメラワーク。
そして演者の身体能力の高さがカチッと噛み合って凄いものを見たなと。
島崎も凄いけど高梨の身体能力の高さも凄い。
常廣監督のアクションを見せるセンス半端ない。

派手な見せ場に目が行きがちだけど、繊細な心理描写も素晴らしい。
例えば高梨と菅沼が店の外で電話でやり取りするシーン。
普通ならアップで二人の顔を交互に見せそうですが、高梨も菅沼もあえて画面の
隅っこで少し引きのカメラでとってるんですよ。余白の多い映像。
小説だと敢えて空けた行間。漫画ならバックが真っ白なコマ。
二人の不安定な関係性、揺れ動く男女の機微をセリフだけでなく映像で見せる。
高梨のバックの大きなガラス越しに恵麻と島崎が映りこむのもうまい。
高梨の心は今、誰と・どっちの側にあるのか。
分かっていながら助言する菅沼のいじらしさ。
…思わず「高梨のバカ!」って呟いてしまいましたよ私w

光と陰のコントラストも効果的。
夜の教会のシーンでドアを開けた瞬間に目に飛び込むステンドグラスの色彩。
島崎がなぜ彼女をここに連れて来たのか一目で分かる。
教会という愛と許しの場所でこそ、あの伴奏シーンが生きる。
そして島崎と高梨の最強バディ誕生。
島崎事務所のセット最高ですよね。
ちょっといかがわしくて何かが起こりそうな空気が満ちている。
ありがちなオフィス…例えば蛍光灯とリノリウムの床じゃあの感じは出ません。
そんな島崎の事務所に持ち込まれるのはもちろん一筋縄ではいかない案件で。
大手じゃお手上げのクライアントの依頼を個人事務所ならではのサーヴィスで
見事に護りぬく島崎の事務所。
彼には何か人の気持ちにいつの間にかスッと入り込むところがある。
「あなたは誰でも手なづけられるとたかを括っている。」
いきなり恵麻に本心を看破され、小娘が!と不快になっても不思議じゃない。
素直に詫びる島崎が、腹を括ってからの接し方が素晴らしい。
慣れたところだからと先導を拒否する彼女に「案内、お願いします。」
障害物を伝えるのにクロックポジションを使う。
(世界共通ですからね。の後にへっと笑って恵麻が反応するカット良かった!)
ブティックで「客観的意見?個人的見解?」と聞かれて、これ答えにくいよな…
と思ったら「すみません。私の好みです。」と正直に返す。
小さな積み重ねが彼女の頑なな気持ちを徐々に溶かして信頼を得る。
その過程の描き方が素晴らしくて押し付けがましさがない。
骨太な脚本に細やかなお芝居でより幅や奥行きが感じられる。
川栄李奈さんのお芝居も良かったです。
一分の新之丞を思い出しました。
見えているのに見えないお芝居。
旅立つ恵麻が顔に触れるとこ、ドキッとしました。
「私のボディガードさん。」って愛情たっぷりな声が聞こえてきそう。
前回の依頼と同様、島崎と高梨はクライアントの未来を護ったんだね。

高梨と島崎。
初回からこの二人は組むんだろうなと予想はしてました。
シーズン1でも島崎にやたらと絡む高梨だったけど深く描かれることはなく、
何となくモヤモヤっとが残りました。
シーズン2ではそこがクローズアップされて…というかそこが軸になっている。
結果、BGの世界観がギュッと濃縮されて物語により引き込まれるの、良き。
冒頭の二人のシーン。
「一人でできるのかよ?」
島崎は違う解釈したみたいだけど、高梨は本気で心配してるんだな。
外科医の笠松先生も指摘してたけど【根っからのボディガード】な島崎は
任務の為なら後先考えず身体を張ってしまう男。
階段で襲われた時も危なかったよね?
高梨が居なかったら打撲じゃ済まなかったはず。
前回は高梨の奇行に驚いたけど、実は島崎のが危ういのかも。
人の心の機微を察する細やかさに、苦労人だなぁと思う一方で、
クライアントの気持ちに寄り添い過ぎでつい危ない橋をわたる姿にハラハラ。
で、一番ハラハラしてるのはたぶん高梨。
二人のやり取りの絶妙な間。
「頭下げてやっても良いですよ。」のツッコミのタイミング。
「あ?何話してんの?瞬と?」のノリツッコミ。
腕力だけで愛想がないお前は戦力にならないとか酷い言われようなのに
しっかり食いついて行く高梨もいじらしい。
不気味な作り笑いで誤魔化してもあっさり恵麻に見破られるし。
あの不気味な作り笑いが思わぬ伏線だったのも良い演出。
島崎の後ろで密かにものすごく自然で可愛い笑顔を見せる高梨。
(高梨の拗らせ具合を象徴している)
高梨、そうまでして島崎と一緒に居たいのか。
それはもう愛だよ!
「食わせてもらえればいいっすよ。」ってほぼ愛の告白じゃないですかw
(高梨の純愛に島崎が気づく可能性はほぼ皆無だな)

ベタベタはしてないが心が通じ合った関係。
いざとなったら命がけでお互いを信頼し合える関係。
「誰にも漏らさない?誓える?」
ブラインドから漏れる光をバックに島崎の言葉。
聞いたらあと戻り出来ないぜ。いい? なニュアンスがビシビシ伝わってくる。
そこからの島崎から差し出した手と手の固い握手。
いやもう最強バディでしょこの二人。
「命預けます。」
幸せしかない空間。
麻薬のような多幸感。
光と陰とめくるめく光線。シルエットとライト。
心臓のリズムで刻々と変化する魔法の呪文のようなグラフィック。
あの時の自分のドキドキ感をなぞるような導入。
地面から高く飛び出した姿はさながら召喚された魔法使い。
一曲目がNEW START。
敬愛する人生の先輩から授けられたオールド・ルーキーのキーワード。
このライブのトータルイメージは木村拓哉自身の提案なんだと確信しました。
キラキラの顔。
キレッキレのダンス。
ステージの端から端まで縦横無尽に軽やかに駆け回り跳ね回る。
背中に翼が生えたよう。
声は、時に力強く挑むように。甘く誘うように。温かく抱きしめるように。
少年と青年と熟した男の香り。

ライブでは目まぐるしく動く姿を追うので必死。
映像だと細かいところまでじっくり繰り返し見れて、でも印象自体は変わらない。
一曲目から間髪入れずにブルースハープ。
弱い僕だから。
SMAP時代の映像で見たそれはまだ何となくリアリティのない感じだったけど、
2020年バージョンのそれは彼が歌を引きつけ、心の内から湧いてきた感情を
全身で表現してる感があって抱きしめたくなるような可愛さに満ちている。
あのストレートさは清志郎さんにしか書けない歌詞だ、とインタビューで語っていたけれど、男の弱さ・可愛さに骨太なギターとドラムのロックな音が絡むこの曲を
木村拓哉のリアルな歌に昇華したのは歌とともに彼も成長した証。

そしてyour song。
CDで聴いた時から大好きで、私の中では何故かアイカムのShitaoに重なった。
ライブでも聞いていて涙が溢れた曲。
映像で見るとライティングも音もパーフェクトだったのが分かる。
シンプルで派手な演出は一切ないのが返って心にぐさっと刺さる。
僕は透明な名も無き歌。
君に届いたいま、これからは君のうた。
きみに出会って初めて「きみのうた」として存在できる、だから「your song」。
歌を受け取った、ライブ会場に居るすべての「きみ」に。
君が居るから、透明な僕は「君の歌」で居られる。
木村拓哉という人が常日頃語る
「受け取ってくれる人が居るから」
「僕は配達人」
という言葉と、歌の歌詞がピッタリと重なったのです。
ステージ上で光に包まれながら君の歌を歌う木村拓哉。
「無責任ななぐさめは嫌いだけど、この体はその為にできてるみたい」
そっと自分を確かめるようにTシャツの裾を軽く引っ張る。
「イヤホンを外してよ」
音楽を、狭く暗い空間から明るい大気の中へ解き放つような仕草。
どんな時にも君のそばで鳴り続けるよ。
ぼくに飽きても時々は口ずさんでね。(そうすれば僕は君の歌で居られる)
これは祈りの曲なんだ。
MVでも宇宙や雪に閉ざされた大地のイメージが孤独感を強調してましたね。
ぼくの歌は孤独。だけど空間のどこにでも、きみが聞き耳をさえたてたらきっと
聞こえてくるはず。という解釈で見てたんですけど、どうでしょうね。
木村さんの表現の仕方がとても好き。
そして一瞬の十字架のモチーフやなんかもやっぱりShitaoに見えてしまった。

ダンスコーナー1
前半の初々しさから一転、本領発揮なセクシーさ 笑
衣装替えをあんな風な演出で魅せてしまう、なんて粋なんだ!
セリーヌのスーツだと思うけど、赤のコサージュが色っぽくてため息。
二人目のダンサーさんがハットを手渡して隠しながらのキス。
あのあと、一瞬舌舐めずりするんだよね。油断も隙もない!
12年ぶりのStyle2020年だとご本人仰ってましたけど。
ピースフルで祝祭感覚溢れるSMAP時代のStyleも大好きだったけど、
2020年のダンディでセクシーで銀幕のスターみたいな演出が素敵。
ため息ものの美しさ。
この曲はこの先も毎回ライブで趣向を変えて魅せて欲しい。
きっとずっと好き。
最後の後ろ姿マイケル・ジャクソンの 「 This is It 」じゃないかと思うんだけど。
ポーズが絵に描いたようにバシッと決まるのが木村拓哉だ!って気がする。
からの SHAKE。
これね、正直どうなんだ?と思ってたの。
一人でアレを歌って踊るの?って。でも我らが木村拓哉。さすがです。
一人で!あのゴージャスで!バブリーな!世界観を見事に魅せてくれました。
この曲、もともとジャジーなアレンジで、聞いてるだけで体が動き出す。
ダンサーさんもめちゃくちゃ楽しそうだしビシッと決まるラインダンスのパート。
最後まで見事に歌い・踊りきったスタミナ。
ハッピーでキラキラした世界に永遠に浸っていたくなります。
らいおんハート。夜空ノムコウ。$10。俺たちに明日はある。
どれも新しい魅力で歌が蘇った感。
90年代のSMAPの楽曲は名曲揃いだよねぇ。
歌ヘタイメージがついちゃって曲たちが可哀想だったけど、
泥を洗い流し綺麗に磨き上げて本来の輝きを取り戻した曲たち。
歌たちがこれからもいろんな人に伝わって歌い継がれるといいなぁ。
$10はダンスも印象深い。
昔、スマスマの歌コーナーで「情熱大陸」の曲の時と同じ華麗なるターン。
バレエダンサーのように片手を高く上げフワァっと優雅にまう。大好き!
$10ってもともとファンキーでカッコいい曲なんですよね。
モダスマライブのドラキュラ風演出も好きだったけど、シンプルな分、
今回のが断然曲の良さが光る。
ドラマの主題歌コーナーは懐メロ感もありつつ、やっぱり名曲は褪せないなぁと。
LaLaLa LOVE SONGなんて聞いてるだけで幸せになりますもん。
木村さんもダンサーさんもとっても楽しそうで幸せそうだし。
この曲はフルで聴きたかった気もします。

ダンスコーナー2

シンプルな構成のライブで唯一、大掛かりなセット登場。
ライブ会場でもカッコ良すぎてウワーっと叫んでしまったのだけど、なんせ暗い。
DVD発売されたらよく見てみようと思ってました。
いやー…カッコいい。それ以外言葉がない 笑
リズム感抜群だし、魅せ方が体に染みこんでる感じ。
どんなに動いても体幹がブレないからポーズが決まるんだよねたぶん。
ダンスコーナーだけで10分くらいあってもいいと思う。
そこからのMy Life。痺れます。
難しい曲を、踊りながら、走りながら、息切れどころか声すらブレずに歌い切る。

突然、彼が47歳だって事を思い出す。
奇跡の47歳。驚異のスタミナ。やっぱりもののけ。

スタトロで客席の人々を一人残らず笑顔でなぎ倒す木村さんを見ながら。
神様に愛される人ってやっぱりいるんだ。
神様が精魂込めて美しく声良く仕草まで魅力的になるように作り出して
地上にそっと送り出す。
そういう人が時々いるんだけど、その贈り物を100%活かす人はたぶん少ない。
生まれた時にはまっさらな状態だから、本人はそれを知らない。
その中の何人が自分の使命を自覚するだろうか。
彼が自分の特別さをどれくらい理解してるか私には知る由もない。
でもyour songをあんな風に解釈して表現した彼は、自分が誰かの為に在ること、
無数の「きみ」の目線に晒され、表現し、歌うことで、その場に居られること、を
たぶん誰よりも深いところで理解している気がする。
Alexandros の洋平さんが
「(木村さんは)対オーディエンスの一対一対感を凄く感じる」(雑誌SENSEより)
とおっしゃってたのもそこかなと思います。

きみが居るからぼくが居る。
こんな使い古された表現が、その肉体を通して新鮮に真実味を帯びてくる。

最初から最後までたぶん木村さんが深く関わったからこそのライブ。
これを体験できたのが奇跡のように思えてきます。
これから先ももっとずっと、見れますように。



特典のメイキング最高ですよね。
とにかくどの木村さんもイキイキして楽しそうで、全部が好きでたまらない感。
少年のように無邪気に、全開で。
アーティストさん、ダンサーさん。全員がお互いをリスペクトしてる。
やっと、やっとですよ。
良いものをそのまま「きみ」に届けたい。
願いが実現したんだよね…涙が出そうになりました。
リハからコツコツと全員が同じ方向を目指して作り上げて行く。
それはフォトブックのクオリティにも溢れていて。
あんな鮮明に決定的瞬間を、最高のアングルで。
綿密にチェックしてないと出来ないと思うし。
行ってやって帰るだけじゃ絶対に不可能な世界。
その中で水を得た魚、骨を貰った大型犬のような無邪気な笑顔がある。
尊い世界。


2ヶ月遅れでようやくオンエアとなりました。

コロナの影響で撮影中止になって、これ本当に再開できるの?
なんて思ったりもしました。
正直、シーズン2はシーズン1を超えられないorパワーダウンが多いので
あんまり期待できないなぁ…な気分もありました。
が!  
よい意味で予想を裏切りまくりのシーズン2の幕開け。満足。幸せ。

まずは木村さんのビジュアルが良い!
シーズン1の島崎が色気に欠けるキャラクターだったので(なぜだろう?)
シーズン2の島崎の色気が余計に際立つ。
冒頭から大サービスのフォーマルスーツ。
蝶タイにタックシャツ最高。どこのブランド?ゴージャスで素敵。
親子シーンの黒白ボーダーも可愛かったし、個性的なサングラスもかっこいい。
シーズン1初回の白シャツはディオールオムだったけど、色気で断然2の勝ち。
圧倒的にスタイリッシュな島崎。

シーズン2製作で真っ先に頭に浮かんだのが
【村田さんの代わりに誰がチームを引っ張るの?】でした。
「誤差なし!」はたとえその場に居なくても村田さんあってのセリフ。
村田さん亡き今、決め台詞の説得力半減じゃないの?と。
なので島崎が解雇される設定は上手いしスタッフの皆さん、分かってるな〜と。
古いビルの一室、個人で事務所。ときたら私立探偵を連想するのは私だけ?
ジャッジアイズはまだプレイしてないけど、フリーになった島崎と聞いてふと
断片的に見た映像や八神のキャラクターが脳内で重なったのでした。
そして高梨の存在感。
雑誌インタビューで高梨と島崎が過ごす時間が長くなる、と語っていたので、
おおこれは!もしやバディものくるか?!とワクワクしてました。
ずっと木村さんにバディものやって欲しかったんです。
結果、斎藤工さんの高梨、最高です。
島崎のストーカーですか?と突っ込みたくなるのはシーズン1からだけど、
島崎を追いかけたいばかりに菅沼とあっさり別れるとかほんとどうかしてる高梨 笑
あの執着は何なんだ。
シーズン1から気になって仕方ないんだけど。
さらに進化してツンデレBLみたいなことになってません?


・島崎が心配だけど素直に会いに行けなくて息子を待ち伏せする高梨(怖い)
・自分で電話できなくて息子に電話させる高梨。
・車に乗り込んで「タクシーじゃないんだけど。」と嫌味言われる高梨。
・島崎と連絡が取れなくてヒステリーを起こす高梨。
・絶妙なタイミングでドアを開ける高梨(しかも二回)。
・一件落着後、いきなりタメ口になる高梨。
・「僕は死にませ~ん!」と車の前に立ちはだかる高梨(危ない人)

…突飛な行動に驚きながら結局は受け入れてしまう島崎。
なんだかんだ常識派で理性的な島崎と変人で突飛な行動を取りがちな高梨は、
見事なコントラスト。
二人の身長差と体格差もいい感じです。凸凹コンビ。
バディもの定石ですね!

そんな二人の行く手に悪の権化:劉が立ちはだかる。
仲村トオルさんのキャスティングも分かってるな!って思わせます。
ラスボスに相応しい怖さがあるのよね、この方。

井上由美子さんの脚本、良かったです。
依頼人の秘めた真意を読み取りながらも最後まで守りきる島崎。
「未来を守ってくれたんです。」の言葉がまさにで、心に響く。
アクションと仲間の絆と、島崎個人の心の変化を絶妙に絡めつつ丁寧に描いてます。役者のお芝居を細やかに拾いあげ、アクションシーンは思い切り派手にカッコよく。
最初から最後まで惹きつけて離さないのは、タイトでスピーディな計算された演出と
カメラワークの高い技術とセンス。
編集も上手いよなぁ、って常廣監督なんですね、さすが。
アクションシーンは綿密に打ち合わせとリハーサル重ねて撮ったんでしょうね。
木村さんの動きに無駄がなくプロ!と思わせる説得力。
あれをスタント無しでやれる木村さん、ほんと凄い!
役者さんの身体能力と現場のポテンシャルの高さが伺えます。
木村さん、斎藤さん、制作スタッフと徹底的に話し合った結果が
初回の完成度の高さに反映されたのかも知れない。
主演がそこまで前のめりだと現場のスタッフも自然と気合い入るよね。

木村さんと斎藤工さん。いいコンビなんだろうなぁ。

二人が乗り込んだ車が夕暮れの海岸線を走っていくラスト、
引きの映像がスタイリッシュで何だか海外ドラマ見てるような気分になりました。

来週も楽しみです。
「みんなが木村拓哉のストーリーを見てるわけですよ。」

稲葉浩志さんの言葉。

「お帰りなさい」

リハーサル日、スタッフの誰かが貼り紙に残した温かい一言。


この二つが全てだなぁと思いました。


初見。
感情と感覚が揺さぶられ過ぎて、めちゃくちゃ長いジェットコースターに
連続で3回くらい乗ったみたいな…ノックアウトされた気分でした。
動揺してたのかも知れない。
これ程に赤裸々というか。
木村拓哉という存在に近すぎるんだよね、カメラが。
(クローズアップが多過ぎたけど、そういうのとは別で)
リハで見せたどこか寄る辺ない少年のような…胸が痛くなるような顔。
(たぶんノーメイクだと思う。ほんのり赤い頬とアイボリーベージュの肌)
サンセットベンチで一瞬、唇でチュッと親指を吸うような仕草。

そして、夜空ノムコウ。

前奏が終わりやや間があって、覚悟を決めたように歌いだす。
揺らぐ目線。
力を振り絞るように、万感の想いを込めて。
歌の世界が広がるにつれ、彼の両脚は大地を探り当て、踏みしめ、
「夜空の向こうには、もう明日が待っている。」で東へ向かって歩み出した。
微かに明るくなってきた空、徐々に薄れていく星、日の出はもうすぐそこ。
歌い終わった後も映し出すカメラ。
そこに居るのは甘酸っぱい青春の迷いをとっくに過ぎた男。
これこそが稲葉さんの言う「木村拓哉の物語をみんなが見てる」。
見る人はその表情に「私の知っている木村拓哉のストーリー」を重ねてしまう。
受け取ったそれぞれの見るストーリー。
それがどんなものだろうと構わない。
全ての目線を受けて立つ。
彼の「夜空ノムコウ」は私にはある種の決意表明に見えた。

One and Only。

大事なものが壊れるのは あっけない 夢みたい。
のフレーズを力強くサラリと歌う彼にはもはや「壊れたもの」への未練はない。

失うものがないなんて言えない。
何かを背負って走り抜く姿、悪くなくない?

「お帰りなさい。」
と書き残したスタッフ。
彼を支える沢山の人たち。
(ライブの為に物凄い頭数の人が動いてくれてた)
そして、アルバムを受け取った人たち、ライブに足を運んだ人たち、
SONGSを見ている人たち。
稲葉さんが言葉に託した彼の在り様を、歌い切った。
ライブの後、やり切った歓喜と安堵と自信で輝く顔と
One and Onlyを歌い切った後のハイタッチとが答えだと思う。

音楽のフィールドに帰還した彼を祝福する、全ての人たちへ向けて。

昨夜の事が現実なのか夢だったのか。
夢現(ゆめうつつ)ってこんな心持ちなのだね、って思う。


波に挑むサーファーが空と波の交わるラインへと漕ぎ出して行くような
そんな気持ちの高まりと、
波に乗ったサーファーの高揚感と浮揚感を音でスケッチしたような
「FLOW」が流れる中で、
ステージにポッカリ空いた四角い奈落からジャンプして生まれ出たような。
地上に降りたつ覇王のような、天使のような。
そこからは歓声とダンスと歌声。
光とリズムとメロディの作り出す夢の中のような出来事。

華奢で容易く折れそうにほっそりした脚と腰。
だが急峻な斜面を軽やかに跳ねる牡鹿のように、しなやかで強靭。
ステージの上を縦横に駆け回ったかと思うと、
何かを思い詰めたように佇むシルエット。
私の位置から肉眼では大まかな表情しか分かりませんが、
全身で表現する彼ですから。
(巨大なスクリーンで表情は確認できますし)
喜びは喜びに。
寂しさは寂しく。
叫びも囁きも、全てがメロディとリズムに乗って、ホール全体の高い天井から
ステージからバックステージまで一つのエネルギーと光の塊と化して
駆け巡っていた。

歌は彼と共にあり、音楽は彼の中で融合し、声と体とで目に見える形、
頭とハートで感じることのできる【実在するもの】へと変換され、
ステージから観客へと手渡しされたと感じる事ができました。

彼の幸せ、哀しみ、苦悩、喜び、抵抗、融合。
全てが渾然一体となり、その場にいる人たちを圧倒した気がします。
それでいて決して人を威圧したり引っ張ったりする事がない。
暖かく照らして心地よさで全ての人を包み込む春の太陽のような。



アルバムでこれ好き!!と思ったYoursongとMy Lifeはやっぱり最高。
歌う木村拓哉の、リアルタイムで聞く声の熱量。
Your songは歌詞の「僕」が木村拓哉の肉体を通じて語りかけてるように感じて。
途中から泣いてました…「僕」の孤独と強さと温かさに包まれるような気がして。
役者の木村拓哉だからこその表現。
包まれながら自分も「僕」を抱きしめたくなるような。
My Lifeは楽曲の格好良さがビジュアルと演出で強化され、あの歌詞を軽々と
歌いながら軽々とパフォーマンスしてみせた木村拓哉に魅了されて。
(*川上洋平氏と木村拓哉の歌解釈の関係性。個人的には井上陽水氏と玉置浩二氏の「ワインレッドの心」みたいだなぁと。すみません、個人的感想です)

SMAP時代の楽曲はらいおんハートと夜空ノムコウ。
らいおんハートは昔、ワッツでソロバージョンを聞いたのですが、
47歳の今、更に深みを増し揺るがぬ男の背中の大きさすら感じさせる、
暖かでセクシーな曲へと変貌し、夜空ノムコウの口笛に感動し。
さんまさんの「アーティストだけのものやない。ファンとの共有物や」の言葉で
これらの楽曲を、今歌う。
楽曲に魅力と力があれば、歌う人の解釈や時代の空気を受け入れ、染まりながら
新たな命が吹き込まれ受け継がれて行くのだなぁと実感しました。
今の木村拓哉が歌う、過去の楽曲。
叶う事ならもっとたくさんの曲を歌って多くの人に届けて欲しい。

圧巻はStyle、2020年バージョン。
黒ハット、黒スーツ、黒Tに左胸には真っ赤なコサージュ。
彼自身の「この曲を歌ってから干支が一回りしました。」の言葉に愕然としつつ、
同じアレンジで同じ人がパフォーマンスしてるのにこんなに変わるの?と。
声の艶。
佇まいから溢れ出る官能。
歳を重ねて色気を増すってこういうこと。
あの頃ならたぶんキメすぎだと思われるだろうスタイリングがピタッとはまって
40男の香華(by.原田監督)にカウンターパンチ食らった気分。
場面場面でそんな感覚に陥ること多々あり。
(*ジュリーの「サムライ」「カサブランカダンディ」を思い出したり)

何度も涙が溢れる場面があった。
嬉しさと、木村拓哉という人が背負ってきたものの重み。
歌を、自分の肉体を通して受け取って欲しいという真摯な想い。

そのあたりは糸井重里氏が見事な洞察と言葉とで描いてらっしゃいます。

https://www.1101.com/darling_column/yesterday.html


アーティスト・アイドル・スター・アクター。
彼が持つ複数の顔の集合体としてのGo with the Flowライブ。
たくさんの方々が様々な形で表現してましたが、
これは木村拓哉自身のイントロダクションとも言えるライブ。
木村拓哉にしかできないライブ。
過去を大切に心の中に抱えながら、しなやかに強靭に今を生き、
進むべき未来を指し示したもの。



これから参加される方。
ペンライトとパンフレットをぜひ手にとることをお勧めします。
会場でブルー・ライトブルー・ソフトホワイトのペンライトが織りなす光の波。
彼が望んだ色彩が、海と空、光と雲のように会場を埋め尽くす光景は
美しく、優しく、儚くも力強い。

パンフレットは国籍不明な時間の止まったホテルに囚われた男の
ミステリアスな物語を想像させる素晴らしくセクシーで仄暗いムードが最高です。
個々のアーティストのカラーが強く出た楽曲の寄せ集めが第一印象。
けれど、歌い手の声が絶対的で力技で押し切ったようなアルバム。

一曲目のFLOWがいい。
歌詞は無い。
でもサーフボードにワックスをかける音のテンポが心臓の鼓動のリズムに高まって、
波打ち際を走って海へ滑り込む瞬間の高揚感へと繋がっていくようで。
その後の繰り返し出てくる浮遊感のある旋律は砕ける波頭をスローモーションで
見ているような、溶けて波と一緒に流れ出すような感覚。

その永遠の白昼夢にOne and Onlyのゴリゴリっとしたギターが割り込む。
リアルな音。リアルな肉体。
そう、One and OnlyはMVがリアルでかっこ良すぎて、
最早曲単体では存在できない。
映像が出てきちゃうんです。

同様の感じがローリングストーンにも。
MVで曲の世界が強化され完成したなと思いました。
冒頭モノクロ部分では意図的なのか、音も小さめ。
時の流れの外側に佇み、誰に向けてか、小さな声で歌う男。
「なにひとつ確かなものなんて ないってことなんてないさ」
この部分をふくらませてあの映像になったのかも?
時の流れの外で歌う男に、幼い少年だけが気づいて立ち止まる。
声に気づいた少年は人に歌が届いたのを象徴しているのか?
聴く人を得た男の存在に、色が着いて彼を取り込んだ世界に色が蘇る。
バックから光に照らされカラーに変わる瞬間の木村さん。
至高の美しさ。
曲を演じる木村拓哉。
彼の解釈が深く的確だからこそ光る、シンプルな演出。
あの木村さんとっても色っぽいと思いませんか?
台詞なし。全身で表現する彼を、アップと引きの絶妙なバランス。
森山直太朗さんと水口紋蔵さんとで描き出す「木村拓哉」を木村拓哉が演じる。

曲単体でいい!!と思ったのはyour songとMy Lifeです。

your songの歌詞、聞いても読んでも胸がギュッと掴まれる感じ。
川上洋平さんも歌っているので聴き比べてみました。
川上さんは歌詞の世界観を歌を通じて描き出す。
木村さんは歌詞の「僕」になって歌う。
この曲を初めて聞いた時「僕」が木村さん自身だと感じました。
木村さんもその声も「適当なコードで紡がれた透明な」存在ではないのに、不思議。

透明なカラダに生まれた「僕」が「きみ」の心に届いてきみの歌になる。
もしも世界中から音が消えて周り中が敵になっても、僕は味方さ。
いつか…僕に飽きても、時々は思い出して歌ってね。

この「僕」を、アイドルの儚さと読み換えてみたり。
ゲームの中のキャラクター:八神と読み換えることもできる。
私は…あの切なさでShitaoを思い出してしまいました。
木村さんの声が切なくて一途で、母性本能がくすぐられます 笑
のびの良い高音と独特のビブラートが色っぽい。
可愛らしさと色っぽさが同居している。
47歳でも変わら無いですねぇ、そういうところ。

My LifeはLOVE PSYCHEDELICO全開。
レッチリ・リスペクトと一部で言われてるのすごく分かる。
初聴きでかっこ良すぎて倒れました。
ここまでアーティストのテイスト全開で攻めてくるとは驚きですが、
NOKIさんのラジオによると
木村さん自ら「らしさ全開で!」とリクエストしてたらしい。
難しいと思うよ、あの曲は。
G時代は曲提供のアーティストさんたち、かなり個性を薄めてたんでしょうね。
LOVE PSYCHEDELICOの提供曲あったなー。好きだったけど。
歌詞カードないと聞き取れない部分が多いけど、
流れる雲のように、風のように、花びらが舞うように、振り返らずに…と
旅立ちを促すような歌。
聴いてると何故か万次が浮かぶ。
声も自由で力強くて、何ものにも囚われない永遠の旅人を連想させるから、
かもしれません。


弱い僕だから。
最初と最後にスタジオの生の音が入ってるのはセッションならでは。
パートごとに録音しミキシングすれば仕上がりもパーフェクトだけど、そうせずに
生々しさに拘って、余計に曲が輝いたと思う。
ライブ感が違う。
今の47歳のリアルな木村拓哉をくっきりと焼き付けること。
それは忌野清志郎さんへのメッセージ。
この曲を贈られた頃より強くて大きな大人の男に育った今だからこそ、
気負いなく素直に言える。
「弱い僕だから」と。

そんな気がしました。

「お正月にこのドラマを放映する意味」

試写会での木村さんの言葉を何度も何度も反芻する。
「教場」関連のインタビューで、再放送の「ぼくらの時代」でも語ってましたよね。
ハラスメント。
モラハラ・パワハラと略称されたぶん手軽に・なんの気無しに使われることば。
風間公親の行動はハラスメント行為そのものと断定されても仕方がない。
ドラマで、警察学校という特殊な閉鎖空間での出来事として描かれていても
現実としてあの状況を目にした時、第三者はどんな反応を見せるのか。
これを2020年の、オリンピックを控えた日本の新年に放映する。
スタッフもフジTVにとっても挑戦的な企画だったはず。
フジの60周年記念ドラマを木村拓哉でやる、と決まった3日後にご本人から連絡が
あって二人とも事務所に内緒で警察学校を見学に行ったという話。

https://news.mynavi.jp/article/20200104-kyojo/2

凄いですよね。
君塚良一氏の脚本もまだ打ち合わせの段階で。
中江氏のインタビューでこのエピソードを知った時に思ったのは…
中江さんも木村さんもこのドラマが見る者に与える衝撃や社会的な意義、
つまり「ハラスメント肯定ドラマと受け取られ批判される可能性」を十分に理解した
上で、それでも2020年に。正月に。放送する意義を見出したんだろうなと。
2019年、初夏の頃だったかな?
weiboに「読書しています。」とアップしてた日がありましたよね?
あれがたぶん教場のことだったのだろうかと。

中江功監督も木村拓哉も思いつきやノリで作品を作る人じゃないんですよね。
当たり前ですけど。
でも、その当たり前が感じられないなぁと思ってしまうことも結構あったりする。
SNSの呟きを拝見してたら何となく人となりが分かってしまうのってありますよね?
スタッフも、役者さんも。
お二人ともそんな適当なスタンスとは全くの無縁。真逆。
だからこそ。
できあがった「教場」は尋常じゃない密度と衝撃力のある作品だったと。
見終わった時、
「やるじゃん!フジテレビ!!」
「底力あったね!!」
と思わず口をついて出た。
並みの料理人が怖くて手を出せない素材に敢えてチャレンジして、
誰も見たことがない一皿で刮目させるような力わざ。
(尾花夏樹のマグロ料理のようなもんですw)

「このドラマはフィクションです。」とちゃんとクレジットしてたのにも関わらず、
風間教官の銃の持ち方ガー!!使い方ガー!!といちゃもん付けてる人を
何人か見かけましたが…子供の頃ドリフのコントにケチつけてた無粋な
PTAのおばちゃん達を思い出しました。
曰く「子供が真似をする!」「品がない!」「馬鹿になる!」そっくり。
大人向けに高い志を掲げてしかもエンタメとしての完成度も申し分ない作品に。
この手の人々がいるから日本のエンタメは萎縮し自己規制という名の足かせを
自ら嵌めてつまんなくなっていくんだなーと実感いたしました。
アレはキムタクが勝手にカッコつけで改変したんだ!!などとほざく輩には
「風間のやり方は変態的じゃないか?と思う部分もあって」
という木村さんの一言を教えてあげたいものです。

追記)銃の扱いを批判するツイートを読んで真っ先に思い出した記事を。
「ジョーカー」が暴力行為を誘発するとの批判に反論する
トッド・フィリップス 監督とホアキン・フェニックス。

https://www.iza.ne.jp/smp/kiji/entertainments/news/191002/ent19100212540015-s1.html

中江監督が仰る通り、キャスティングも大正解だと思いました。
不器用さが悲しさに、素直さが危なっかしさに。
抜け目のなさが鋭さに。自己陶酔が尊大さに。
可愛い女性はより可愛らしく。
どの生徒を演じた役者さんも個性がまんま生かされるなーと。

そして、風間公親。

私には彼が木村さんそのもののように感じられました。
正確には、木村拓哉という役者さんの持つ個性の、ある部分そのものだと。

かつてさんまさんが
「軍人みたいやからなぁ。」
「他の人はしんどいかもしれへんで?」
と語ったというエピソード。
秩序を重んじ、周りを細やかに観察し、認識し、素早く適切に反応する。
ある種の完璧主義ゆえかも知れませんが、その言葉が想起させる人物像は
まさに風間公親そのものです。
実際、撮影時は彼が居るのといないのでは緊張感が全く違っていた、と。
若い役者さん達の空気感を変えちゃうんですよね…
木村拓哉をキャスティングした時点で、中江氏の目論見の半分は達成された、
ということなのかも。
都築とのシーンも印象的でしたね。
本音を隠すために心の鎧で覆われていた彼が、ついに本音を語りだす。
味方君は舞台が主戦場で映像作品は初めてだとか。
前編は台詞回しの癖がちょくちょく気になりました。
で、問題のシーン。
風間に罵倒され、力づくで押さえつけられた都築の言葉は、挑みかかるよう。
もろに舞台っぽいセリフ回しが、言葉の意味を際立たせる。
ここ、木村さんちゃんと合わせてるなと思いました。
いつもよりずっと「お芝居してます」感のあるリアクション。
彼のお芝居は結構細かく見てるので分かります(謎の自信w)
味方君の全力を受け止め、反射する。
お芝居は共演者とのコミュニケーションとの言葉通りでした。

余談:
【あのシーンを見てつい沖野の取り調べを連想してしまいました。
 二宮君、やっぱ凄い。
キワキワを攻めて見事に収めるスキル…場数で身につくのだろうか…?】

話が逸れてしまいました。

風間公親を木村拓哉の新境地!!と評価なさってるのを見かけると本当に嬉しい。
そして、自分がいかにディープな木村拓哉ヲタなのかを改めて教えられる。
ドラマの、大ヒット作でしか見たことのない方々には、そう見えるのですよね。
あのビジュアルがとにかく効果的ですし。
白髪。色眼鏡(グラサンだなんて言えない)。そして、義眼。
初見で魔力があると思った、右目。
人一倍黒目が大きく光を反射する木村さんの眼球。
若々しさも可愛らしさも美しさも、あの大きな瞳と澄んだ白目あってこそ。
1/3ほどのサイズで輝きのない瞳は、まるで妖魔が取り憑いたよう。
前編はそのビジュアルの異様さをフル活用したサスペンス風味。
一人剣道場で瞑想する彼がカッと目を見開いたカットは、
空から降る一億の星の涼を連想する思わせぶり。
【この男には魔物が憑いている】 
超自然的な力さえ感じるような。
そこからの狂気を孕んだ射撃場でのシーン。
あくまでも「玩具です」と言い張る生徒に銃口を向ける。
「暴発したら腕が吹っ飛びますよ?」
「構わん。既に右目を喪って居る。」
木村さんが「変態的」と言ってたのはこのシーン。
風間の言葉には単なる脅し以上の狂気が見えた。
内なる闇。絶望と、怨念とが。
逆説的に「拳銃を撃つ」ことの重さを、ズシリと感じさせる。
制作側の意図は、まさにそこだったのだと思います。
そこからの、女子二人の淡い恋心のエピソードを入れ込む流れ。
風間公親が木村拓哉だからこその圧倒的な説得力。
一本指でくいっと菱沼の顎をあげる横顔の端正さ。
涙ながらに一礼する枝元を無言で受け止める背中。
風間公親、実は女にモテるはず。(妄想)


都築の涙の告白を正面から受け止め、全員に合格を言い渡し、卒業式。
一人一人にかける短い労りの言葉が心に沁みこむ。
常に冷徹に容赦なく接していた風間の、人間性の芯に触れた生徒たち。
きっと、一生忘れられない。
辛くて挫けそうな時にふと思い出すに違いない、風間の伝言。
風間公親は父性のひと。
子供の前に大きく立ちはだかり、試練を与え、乗り越えろと突きつける。
まるで崖から我が子を突き落とすライオンのよう。
その時、私はふと思う。
これはハラスメントと言えるのだろうか?
風間のやり方はもちろん、閉鎖空間の外では絶対に通用しない。
一般的なサラリーマンの仕事の場でも、決してあってはならない。
しかし。
警察官という仕事の特別な厳しさと過酷さを知った後では、世間一般の論理を
そのまま当てはめるのが果たして公平なのかどうか。
一面だけを見て断定したり一様に均一的な有り様を求めるのが平等なのか。

「私ほど警察を恨んでる人間もそういない。」
生徒に過酷な試練を課すやり方には、過去の出来事が絡むのは間違いない。
その謎めいた過去を、木村拓哉の風間公親で見てみたい。
「あんたに星を獲らせてやるよ。」

星を「獲ってやる。」じゃなく「獲らせてやる」の意味。
倫子が、自分の手で、星を掴む。
尾花の役目は、彼女の中に眠る才能を引っ張り出し、育て、背中を押して、
自分を信じ、前へ歩いていけるようにすること。
いや、自分を信じて前を向けたのは倫子だけじゃない。
京野も相沢も、祥平も萌絵も、芹田も久住も。
丹後も柿谷も、江藤オーナ−さえも。
そして、リンダも。

尾花がどこまで意識的していたかは分からない。
過去の自分への落とし前をつけたかったのは確かだ。
発表を会場内で見届けられずに入口の壁に寄りかかっていた尾花。
「届いた…」
万感の思い。潤んだ瞳。
その時。
重い十字架から解放されて、尾花夏樹はもう一度歩き始める。

どうしても手の届かない三つ星。
苛立ち、当たり散らし、何を作っても楽しくない。心が動かない。
そんなエスコフィユ時代から急転直下、アレルギー食材混入事件。
店を失い、仲間を失い、何もかも失って彷徨った3年間。
一番辛かったのは、思うように料理できなかった事。
初回の、ランブロワジーの小さな厨房で自ら調理したソースを味わった…
あの時、深くふかく息を吸い、全身に喜びを行き渡らせた横顔を思い出す。
それからテナガエビのエチュベに涙した倫子を見つめる表情。
倫子が作ったハタのローストに、静かに瞳を潤ませる尾花。
出会った時の二人と交わした約束が成就するかどうかの瀬戸際。
「この料理で三つ星が獲れると思うか?」
倫子は自信がない。
自分を信じられない者に三つ星は獲れない。
尾花は、素晴らしいマグロ料理を完成させる。
倫子か?尾花か?
尾花はもう一度倫子を試す。
自身のプライドの為にグランメゾンに星は与えないと断言したリンダに出す一皿。
この魚料理が倫子の、尾花の、グランメゾン東京の命運を握る。
「私の魚料理で行く。」

倫子は、自分の舌を信じた。

尾花は、賭けに勝った。

「おれはもうこの店の人間じゃない。」
冷たい言葉?決別?
いや、違う。
確信したのだ。
グランメゾン東京はきっと三つ星の店になる。
おれの役目は終わった。


氷の女王のようなリンダ。
自分のプライドの為。キャリアの為。そしてたぶん、嫉妬の為。
グランメゾンに星は獲らせないと宣言する。
その彼女が。
一皿ごとに表情が和らぐ。
きつい目元はふわりとやわらぎ、唇が喜びにほころんでいく。
グランメゾン東京の料理の、骨格は尾花夏樹がデザインした。
そこに相沢と祥平のアイデアと絶対味覚を持つ倫子のセンス。
久住チョイスのワインのマリアージュに京野の細やかなサーヴィス。
萌絵の夢見心地の甘いデザートで完成する。
それは舌と目と鼻の、官能の喜び。
氷の女王は一粒の涙を流す。
温かい幸せの涙を。
涙が、氷の心を溶かした。
「美味しい!」は、それに魅せられた人にとって、それほどまでに、強い。
天から射すひとすじの光のような。
リンダはボスの機嫌を損ねるかもしれない。
マリクレールダイニングの編集長の地位を失うかもしれない。
それでも、彼女は自分の舌に忠実でいることにした。
私は自由。
フューシャ色の鮮やかなコートとルブタンの赤いヒールとが決意のあかし。


尾花は傍若無人で自信家で歯に衣着せぬ率直な男だが、
クズでもないし無神経でもない。
エスコフィユ時代、自分を見失い仲間を失い、全てを失ったが、
発端となった出来事は仲間を侮辱されたことと、才能ある若者を護ろうとしたこと。
彼は仲間を思う気持ちと人を見抜き・育てることのできる人。
美味しいか・美味しくないか。
才能があるか・ないか。
彼の選別はシビアだ。が、人を見る目と料理にかける情熱は本物だ。
その情熱と絶対的な天才が人を集める。
グランメゾンはエスコフィユを超えた。
「出来たな。最高のチームが。」
言葉通り、グランメゾン東京は三つ星になった。
二つの店の何が違ったんだろう?
尾花が祥平に語ったことば。
プレッシャーに打ち克つのは、
「自分を信じる力と、自分の料理で星を獲ったっていう揺るぎない手ごたえ。」
料理人のメンタルが料理の味に影響するのか?
少なくとも尾花は、三つ星に手が届かなかったのはそのせいだと思っている。
だから、グランメゾンは揺るぎないチームでなければいけなかった。
尾花の才能と人を信じる力が倫子のカリスマ性と結びついた時、奇跡が生まれた。


早見倫子とリンダ・真知子・リシャール。
尾花夏樹に二人の女。

リンダは尾花に愛憎半ばの感情を抱き断ち切れずにいる。
3年間音信不通だった男が、いきなり東京に現れる。
オーナーシェフは美しい女。
女に手が早い尾花、を知っているリンダに嫉妬が芽生えるのは必然。
アレルギー事件の犯人を庇って居たと知れば怒りも余計に、だ。
そのリンダに店にもう一度来てくれと懇願する尾花。
強引にエレベーターに乗り込み、女の目を覗き込むようにして、
甘く深い声で落しにかかる。

もう一度あの感動を味わいたくないか?
きみは知ってるだろう?
あの美味の快楽を味わいたくないか?
口にして舌で味わえば、身も心も蕩けるだろう。
天にも昇る心地にしてあげる・・・。
…それはもう色恋の駆け引き。
尾花の目線。手つき。
リンダは動揺していた。
打ち消すように胸ぐらを掴み、甘い言葉で誘惑する男を押し込み、扉を閉める。
私を3年も放っておいて、今更?
プライドと生粋のフーディの好奇心と、昔の男への愛着がせめぎ合う。


三つ星を手にした倫子はためらいもなく尾花を抱きしめる。
気っ風が良くて姉御肌な倫子も、女。
尾花は、抱きしめようとして一瞬、腕が躊躇う。
二人を繋ぐのは料理への情熱と信頼。
でも胸の中の、ほんとうの感情は?
二人は、それ以上踏み出そうとはしない。
男と女の関係になった時、二人のバランスは崩れるだろう。
でも、最後の最後に尾花が言う。
悪い男の顔で。
「お金ある?」「二人で世界中の星を掻っ攫う、ってのはどう?」
そして倫子は、ズルくて女を泣かせる男とばかり付き合って来た過去がある。

尾花夏樹は女に手が早い。
リンダと倫子。二人の女へのスタンスにその片鱗が垣間見えた。
もっともっと見てみたい。
もし、続編があるのなら、ぜひ。


グランメゾン東京を見て。
フレンチとエンターテイメントは似てると感じた。
素材を吟味し、最良のものを選び、調理方法・ソースで演出し、
選び抜かれた皿と盛り付けで目と舌と鼻を刺激し、楽しませる。
素晴らしいフレンチのコースは極上のエンターテイメント。
どんなに選び抜いた言葉より食べてもらうことで料理の素晴らしさが伝わるように、
グランメゾン東京の面白さは、言葉では表現しきれない。
手のひらいっぱいに掴んでも指の間から零れだす表現たち。
連続ドラマだからこそ丹念にディテールを積み重ねて描きうる世界。
2019年、このドラマに出会えて、本当に幸せでした。

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